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指パッチンで殺めましょう~ピエロと赤い彼岸花~

自己紹介

おれ、音也。小六の男子。

昼休み

昼休み、おれが今年から片思いしている凜を意地悪な男子がからかっていた。
「なんだよこの変なキャラ~。」
意地悪な男子は凜の筆箱ケースを手に取った。凜は
「・・・・・・。」
と俯いた。凜と仲良くしている正義感の強いルコが
「ちょっと!それは無いでしょ!」
と意地悪な男子に向かって言った。意地悪な男子は
「変なのに変って言って何が悪い?」
と開き直った。おれの友達の勇気が、
「ま~たやってるよ。」
といった。そうだ。意地悪な男子はしょっちゅう凜に絡んでいるのだ。
その度に凛とルコは嫌な顔をして話すのだ。おれは
「なあ、おれらにできることってあるか?」
と聞いてみた。勇気が答えを知らないのは承知の上。勇気は
「ないんじゃないか?アイツに口答え出来る奴なんかいないし。」
といった。
勇気って名前なんだから勇気出せよ!自分は何もしないくせに、勇気に頼るとか。情けないよな・・・・・・。凜は
「辞めて。」
と静かに言った。意地悪な男子は
「なんでだよ?せっかくおれが絡んでやってんのに。」
と上から目線で言った。
おれはイライラした。
そして、怒りを抑えるために何時もの癖で指パッチンをした。こんな奴、頭に金魚のフンが落ちればいいのに。

””ペチャっ””

ん?意地悪な男子は音のした頭を見た。その後、ルコが
「金魚のフンじゃん!バチが当たったね♪」
と楽しそうに言った。凜は
「臭い。近づかないで。」
といった。勇気は笑って
「臭い、近づかないでだって。意地悪な男子、ドンマイ過ぎ!」
といった。

人の不幸なんて、どうでもよくて人間は笑うんだ。キ~キッキッキ。

嫌な声がした。よくわかんないけど、嫌な声。おれは
「五月蠅いっ!」
といった。勇気は
「は?なんでだよ!話題振っただけでそんなこと言うな!」
と言って自分の席に行った。おれは手を伸ばして言った。
「あっ。待っ────────────────」
皆が、見てる。凜も見てる。おれはゆっくりと手をおろした。
意地悪な男子は職員室で金魚のフンを先生に取ってもらっているからいないが。
沈黙が続く。 ・ ・ ・ ・ ・ ・
「う~わ、話題振っただけでキレたの?短気~。付き合ったら苦労しそう~。ね、凜。」
沈黙を破ったのはルコだった。話題を振られた凜はあわあわとしていたが、すぐにピシッと背を正し、
「う、うん。」
といった。なんだよ。助けてやったのに。

助けてやったのに、恩を忘れる。所詮人間なんてそんなもんさ。キ~キッキッキ。

まただ。また、嫌な声が聞こえた。ルコは
「あ~もう冷めた。」
といった後、普通に凛と話し始めた。
「~~でさー、笑えるよね~。後、意地悪な男子の事、面白かったよね~。音也の事も。」
イライラしてきた。ルコを睨むと、ルコがおれに気付いて
「う~わ、見てくる~。ガチで無理。」
といった。
・・・・・・あんな奴、ガムテープで体の毛が抜けたらいいのに(独特な嫌がらせ)。
おれは気分を落ち着かせるために指パッチンをした。

””ビリビリ””

「ナニコレ!」
ルコは言った。何があったんだ?おれは近づいたらまた嫌なこと言われるだろうと思い、周りの人が何があったかを言うのを待った。女子たちは大丈夫⁉と言いながらルコに群がった。
「⁉ガムテープが足についてる?」
と誰か、男子の声。ルコは
「ガムテープ外す!」
と言って外し始めた。痛そうだった。ガムテープにはたくさんの毛がついてあった(らしい)。女子たちはクスクスとバレない様に笑った。

大丈夫⁉なんて口だけなんだよ。結局は笑うためにそんなこと言ってるんだ。
醜い人間たちに呆れたか?キ~キッキッキ。

嫌な声。
でもそれよりも考えないといけないことがある。おれの思った通りになった・・・・・・?
おれは指パッチンをして思った。 あの短気勇気野郎にケーキが降ってきて顔がべちょべちょになればいい。

””ベチョッ””

勇気の顔にケーキが落ちて来た。
「なんでこんなとこにケーキが⁉」
と勇気。おれはもう一個指パッチンをして思った。
美味しいカップケーキを凜の席において。

あれ?なんも起こらない。

誰かが不幸になる事しか出来ない能力なんだよ、お前の能力は。
どうだ、自分の能力にも失望したか?

嫌な声。凜はおれに近づいてきた。ルコはガムテープを外すのに苦戦している。
「その、ありがとう。」
え?
「ちょっと来て!」
と凜はおれの手を引っ張って黒い空間らしきところに入れた。

黒い空間とピエロと赤い彼岸花

ピエロ
赤い彼岸花

赤い彼岸花の花言葉はGoogleで検索に掛けてください!

「何、ここ。」
とおれは凜に聞いた。
「凜?」
凜は居なかった。代わりに居たのはピエロっぽい女の子・・・・・・かもわからない子供・・・・・・かもわからない人・・・・・・かもわからない奴がいた。ソイツは不気味に笑って
「レア。」
といった。嫌な声の正体だ。よくわからないが、分かった。でも、実物の声は透き通った綺麗な声だった。
「え?」
と私は聞き返した。
「名前。」
とソイツは不気味に笑いながら言う。レアはずっと笑っている。
「おれは音也。」
とおれは一応?自己紹介した。レアは
「お前、ね。」
と言った。ね?
「お前の名前。」
といった。なんで、ね・・・・・・?
「ね・音。」
名前に音が入ってあるからってこと⁉レアは
「お前、仲間、なる?」
と聞いてきた。おれは
「なんのことだかさっぱり・・・・・・。」
とわからなかった。すると後ろから
「レアッ↑ちゃんは言葉が足りないからなぁ。」
と声が聞こえた。
「あ、おれは凪。」
と後ろからの声。凪は事情を説明してくれた。
「この腐った人間界を変えようって事だ。」
腐った世界。正直者が馬鹿を見る世界。理不尽に怒られる世界。
「仲間。なります!」
と乗り気でおれは言った。
その途端、黒い空間から学校に戻って来た。

「断った?」
学校に出た瞬間、凜がおれの手を握り、聞いてきた。おれは動揺しながら
「ううん、断らなかった。」
凜は目をキランっとさせた。

””トントン””

ん?せっかく凛と楽しく話してるのに、邪魔するなよ。
「っ。ルコ⁉」
ルコだった。怖い目をしている、ルコだった。
「何その手。」
と不機嫌そうにルコ。あ、これ・・・・・・。まだ繋いでた。ルコは何か勘違いしたようで、
「さいってい!人が嫌がってるのに手ぇ繋ぐとか!」
といった。え?凜は
「辞めて、ルコ。そういうんじゃないから。」
と小さな声で言ったが、ルコは
「行こ、凜。あんな奴、ほっといた方が良いよ。」
と聞かずに言った。おれはイラっとして指パッチンをした。
あんな奴、氷で足が一時的に止まればいいのに。

””カッキ~ン””

凍った。凜はルコを片目で見た後、気づいてないふりをして先に教室に戻っってしまった。おれは凜の後を追った。ルコは
「ちょっと!助けなさいよ!」
と言っていたが無視だ無視。

教室までの廊下で凜は少し先に立っていた。そして凜は突然後ろを向いて、少し考えた後言った。
「今すぐ仲間、抜けてきな。」
と。そして、凜はおれを引っ張り黒い空間に入れた。

「どうした?」
と凪。おれは何故だか声が出なくなった。
「辞めたい?何故だ?あんなに乗り気だったのに。」
それもそうだ。凜に言われたから?
「本能が・・・・・・。」
とおれは言いかけた。言い訳がスラスラと出てくる。
「そうか。大丈夫だ、何も怖くない。」
と話を聞かずに凪。おれは
「そうだな。怖くないもんな。」
と言った。その後はもう、記憶にない。ただ、契約書を書いたのは覚えている。

おれは家に帰って何時もの事をし、何もなかったように寝た。

幼稚園の記憶


「音ちゃん。お願いっ!」
と彼が言った。音ちゃんって言うのはおれのあだ名みたいなものだ。ちゃんだから女の子かと思ったか?違うんだよなぁ。
「ごめん、今日は門限とかがアレだから・・・・・・。」
とおれは答えた。彼は
「今日じゃないと、ダメなんだよ・・・・・・。今日じゃないと、ダメなんだ。」
と意味不明なことをつぶやいていた。おれは意味不明すぎて
「バイバイ、また明日。」
と言って帰ろうとした。彼は何かを訴えたそうな目でおれを見ていた。おれは居心地悪くなって帰った。

次の日~
彼はもう、公園には来なかった。


ん?おれ、寝てた・・・・・・?久しぶりに、幼稚園の時の記憶が夢に出たな。この夢を見た後はネガティブな感情が心の周りを廻っている。

・あぁ、あの時に、言葉の意味に気付けたらよかった。
・軽々しく明日。なんていわなかったらよかった。
・何か訴えたいことがありそうだったから話を聞けばよかった・・・・・・

のような。まだ眠い。今何時だ?5時かぁ。じゃ、もうちょい寝よ。

最初のミッション

コードネームね、応答せよ

嫌な声で目が覚めた。コードネームね。ねは気に入らないけど、コードネームって・・・・・・かっけー!
「なんだよレア。」
とおれはクールに言った。おれ、かっこよくなかった、今の感じ!

あぁ、そういう事か。
・・・・・・初ミッションだ、コードネームね。

初ミッション!少年の心くすぐる楽しそうな単語!
「どこで待ち合わせ⁉」
とおれは楽しみさを隠しきれずに言った。

凜は居るか?

近くには居ない。

凜、出番だ!

え?
「やほ、””音ちゃん””。」
凜が後ろに立っていた。
「何時の間に?」
とおれは聞いた。凜は
「私の能力が、テレポートなの。音也は指パッチン能力でしょ?」
といった。指パッチン能力・・・・・・www
「あ、飛ばすね。」
と凜は言っておれを黒い空間に飛ばした。

「凜は行かないのか?」
そう言った時にはもう、黒い空間に居た。
「あ、来た。N、来たよ。」
とレア。凪は
「あ、おれの事は今からコードネームNって呼んでね。」
といった。
「Rっていう。」
とレア。RとN。ずっる~!おれだけね?かっこよくな~い!ジタバタしようか迷っていると、凪が
「そういえば、凜は来ないかって話だったよね?」
といった。おれは首をブンブンと縦に振った。凪は
「来てるよ。」
といった。え?どこを見ても凜は居ない。おれはまさかと思って言った。
「この人形?」
おれの見た先には少し怖い黒の熊がいる。
「なわけあるか~!失礼すぎ!」
と凜の声がした。
「えっ。凜・・・・・・?」

凜は熊の人形を両手で抱き上げて言った。
「私にもくみゃたろうにも失礼だよ。」
くみゃたろう?
「この熊の名前。」
と凜。おれは
「くみゃたろうさん、すみませんでした!」
と言って土下座しようと座った。凜は
「土下座までしなくていいから!」
といった。おれは
「どっから出て来た?」
と聞いた。ホントにこれ疑問。凜は
「まぁ、ここって黒いでしょ?身を縮めてたら見えないんだ。」
といった。おれは紛らわすように
「そういえば、RとNには何の能力があるの?」
と聞いた。レアは
「言葉。」
といった。どういうことだ?凪は言葉の足りないレアに代わり、
「脳内に話しかけたり、想っている事を読み取れたりする能力。
 おれ?おれは、そうだな。姿を変えたり、透明人間になれたり?後、この空間を造っているのはおれだな。」
といった。想っているってところを思うって書いてないのはまさか?
「そうそう。」
と凪は言っておれに近づき、耳元で言った。
「ねの凜ちゃん好き好きオーラは感じ取ったから。」
⁉凜は衝撃的なことを言った。
「ねぇ凪兄。」
⁉兄・・・・・・?
「なんの話してるの~?」
と凜は凪の顔の下に潜り込んだ(?)
「いや、なんも?」
と凪は言った。よかったぁ。おれは上がっていた方をおろした。バラすつもりはないみたい。
「それじゃ、戦闘開始だ。」
と言って凪はシャキッと背筋を伸ばした。そして、目を瞑った。ん?おれは凪たちの姿が見えなくなった。
「どこ行ったの?」
とおれは不安過ぎた。凪は
「透明の効果だよ。Nはもしかして、慣れていないのかな?」
といった。誰だって慣れないだろ!急に能力持って黒い空間に連れ去られた後、初ミッションだとか言われても。すぐに理解できる人、居るかな?おれに理解できないよ。
「出勤!」
とレアは落ち着いて言った。凜がおれとレアと凪の方を触って、

””テレポート””

と呟いた。普段の凜から出そうな声とは到底思えない声。その声は大きくないが、よく響く声だった。と思っている間に、視界がピッカーンと白くなって、おれは思わず目を閉じた。

目を開くと景色がかわっていた。銀行の裏路地だ。凜は来ていなかった。
「あれ?凜は?」
とおれは言った。凪は
「ここ。」
と言って丸い物体を取り出した。なんだこれ。凪は
「hiマリーマリー?凜を映して。」
と言った。
「イェーイ!マリーマリーの出番だよ~ん。凜ちゃんを映すのね?凜ちゃ~ん!出番だよ~ん。」
とマリーマリー?が言ったら、凜の顔が丸い物体の上に映し出された。この人大丈夫か?色々と。怪しい匂いがプンプンするんだが。
「私は基地(?)で待機しておくから。頑張ってね、ね。気を付け」
と凜は言っている途中でプツッと電話が切れた。凜がそういってくれたんだ。おれは気合を入れた。そしたらレアと凪が消えた。おれ、一人?嫌だよ嫌だ!泣きはしないけど。おれはその場に座り込んだ。そこへ、謎の男の人の二人組が歩いてきた。おれはよくわからないが、本能で隠れた。
「ここで合ってるよな、〇〇〇〇銀行。」
「はい、ボス!」
「おい川端。””アレ””、ちゃんと警察から盗んできたか?」
警察から盗む・・・・・・。銃⁉ってことは、銀行強盗?
「はい、ボス!」
川端って人はい、ボス!としか言ってないな。と言うか、おれ危ない?その後、レアの嫌な声がした。

困ったときには指パッチンをしてこう思うんだ。
「思い返し!」
そしたら相手が危害を加えようとした事が実行される。

「今から潜入するか?・・・・・・いや、まだだ。」
「はい、ボス!」
「川端。これで戻れなくなるが大丈夫か?お前はまだ若いんだし。」
「はい、ボス!私にはもう、何もないので!ボスに一生ついていきます!」「じゃ、潜入するか。」
おれは思わず、
「ダメだ~!」
と言って川端さん達の前に出た。
「ボス、コイツ、銀行強盗の話を聞いていましたぞ!」
と川端さん。ボスは
「よし、殺るか。」
と言って銃口を向けて来た。おれは焦りすぎて指パッチンをし、

””思い返し!””

と思った。思っているときの声は、小さい声だけど、響く声だった。川端さんとボスは倒れた。おれは戸惑った。そこへ、レアがやってきて
「よくやった。」
といった。凪も
「よくやったよ。コイツら、根っからの悪党だわ。」
といった。え?でも、川端さんは初めてって言ってたし、ボスはちゃんと人を心配する心が残ってたよ?おれは
「死、死んでるの・・・・・・?」
と不安で聞いた。凪は
「コラ、上品な人は生きているの?って聞くんだよ。まぁ、答えは変わらず死だけどな。」
といった。って事は死んでるんだ。レアは
「人、殺そう、した人、人間、じゃない、だから、根っから悪党。」
と途切れ途切れに言った。
「なんでレアはカタコトの日本語なの?」
とおれは聞いた。凪が代わりに答えて(?)くれた。
「それは聞いてはいけない、沈黙のルールだよ?」
怖い。闇が深そうだな。って、
「「沈黙のルールじゃなくて、暗黙のルールだっ!」」
あれ?おれと声が重なった。
「まさかレア?」
とおれは聞いた。凪は
「レアは人が言葉を間違っていると篤くなって語るんだ。」
といった。へ~。そうなんだ。
「じゃ、撤退だぁ!」
とマリーマリーが丸い物体としてピョンッと凪のポケットから出てきた。くみゃたろうといえ、マリーマリーと言え、人間なのかわかんない物体が仲間(?)にはいっぱいいるなぁ。レアは
「マリーマリー、人間。黒い空間、くみゃたろう、凜、一緒。」
といった。ホントにわかんない。が・は・と・で、を使って欲しい。
「マリーマリーは人間で、黒い空間でくみゃたろうと凜と一緒に居るよ。」
と凪が翻訳してくれた。おれは理解した。
「凜、テレポ、使う。」
とレアは言った。テレポ?そしたら凜が突然ピョンピュンミョン(?)と出て来た。そしてすぐに、

””テレポート!””

と唱えた。聞いていて気分が良い声だった。

マリーマリーの能力

「マリーマリー、様子はどうだ?」
「はい、ボス。凜ファミリーは思っていた通り、指パッチン能力持ちを独り占めするつもりでしょう、ボス様!」
「あぁ。今日行くかぁ。」
「はい!お待ちしております。」

あ、この人がマリーマリーさん?
「あわわわわわわわわわわわわわわわわ。ま、マリーマリーで、す。」
思ってたのと違う・・・・・・。
「ひ、人見知り、なので。」
キャラ違うくね?丸い物体の時と全く違う!
「あ、失望しましたか・・・・・・。そうですよね、私なんか、一生喋れないまま丸い物体でいたらいいですよね。」
とマリーマリーはまくしたてた。すっごいヒステリック構文だ。
「ご、ごめん。」
おれもなんか謝ってしまったし。
「音ちゃ────────────────おとおと!」
と凜。
「おとおとっ?」
驚き過ぎて変な声が出た。レアが代わりに
「あだ名、光栄、思え。」
と上から目線で言った。
「文句あんのか?あぁ?」
うん、何時の時代のヤンキーかな?
「ないですっ!レアさん!」
おれは敬礼した。
「よろしい。」
とレアは言った後、咳をした。
「大丈夫?」
とおれは聞いた。レアは
「お前、私、無理、言った。お前、せい。」
といった。え?お前が私に無理を言った。お前のせい?だいぶ読み取れるようになったわ。
「じゃ、おとおとっ!帰ろっか!」
とにっこりとして凜は言った。おれは頷いた。そして、凜がおれの肩に手を置いた。おれが目を瞑ろうとしたその途端、銃声が響いた。

””パァーン””

おれは瞑ろうとしていた目を開けた。黒い空間は崩れかけていた。凪を見ると、凪は腕にかすり傷がついていた。レアは銃を片手に持っていた。隣にいる凜は困ったように言った。
「またこの手を汚すの?そろそろ飽きてくれたんだと思ってたんだけどなぁ。」
怖い。おれは逃げたい気持ちで胸がいっぱいになった。おれに向かって銃弾が急に飛んできた。何とかよけれたが、一歩間違えれば死んでいた。おれはあわあわとした後、指パッチンをして思った。
殺意を持つ奴らが全員、水を頭からかぶりますように。
あたり全体に水柱が立った。皆殺意があったみたいだ。凜にはかかっていなかった。
「あっちゃ~。凪兄とレア姉に怒られちゃうな~。」
と言って凜は苦笑した。ん?ん?ん?凜には殺意が無かったって事か?
「何してくれてるんだ~!」
沢山の銃弾がおれめがけて飛んでくる。なんとかよけていたが、一個よけきれなかった。もう終わりだ。おれは目を瞑った。

ばぁぁぁぁぁか!
コードネームね!思い返しだ!

おれはポケ〇ンかって。でもサンキュー。思い出したよ。おれはすぐに乾燥した指で指パッチンをした。

””思い返し!””

皆バタバタと倒れて行く。おれは近くの倒れた人の心臓に手を当てた。脈がある。寝てるだけだ。ってことはこいつら、おれを殺すつもりはなかったのか?
「よく、やった、コードね。」
とレア。えっと?よくやった、コードネームね。おぉ、完璧に理解したぞ!
「これで、独り立ち・・・・・・はさせないけど、独立するのも許さないけど、自力で解決できそうだね。」
と凪は笑って言った。そして、マリーマリーを見ると、二ッと笑った。マリーマリーは
「な、ん、で?私、裏切ってたのに。」
といった。凪は
「そんなのとっくに知ってたさ。指パッチン能力を独り占めするつもりはなかったんだ。ホントはな、すぐにでもボスさんに伝えたかった。でも、初ミッションもさせないまま対面させるとボスさん怒るからなぁ、というわけだ。」
といった。話の展開についていけない。
「そういうことだったのか。」
と倒れて・・・・・・寝ていた人。
「あ、ボスさん!」
と凪。
「どうも、初にお目にかかります、ボスと申します。以後、お見知りおきを。後、呼び捨てでお願いします。」
とボス。ボスって名前なんだ・・・・・・。紛らわしっ!
「だがなぁ、お前。おれの黒い空間の方に指パッチン能力もちは送れと言っていただろうが!」
と凪に説教をするボス。凪は
「すんませんでした。」
と全く反省してないよう。ボスは
「・・・・・・まぁいい。指パッチン能力をおれの軍に入れることはあきらめるとしよう。それはいいとして、凪。音也と言う人間と言うのは実に興味深い。情熱が合って、昔の記憶をよく覚えている。誰かさんに一途で、しょっちゅう諦めている。面白い、面白い、実に面白い。」
といった。おれは
「あのぅ。そろそろ帰りたい。」
と控えめに言った。ボスは
「そうかそうか。まぁ、先祖様がやっていたことを継いでただけだったんだが、今の日本はだな、結構法律とかも頑張ってる(?)からな。もう。良いんじゃないか?と思っていてな。」
といった。じゃ、この犯罪者を殺すみたいなことは辞めるって事?
「ボスさんがそのつもりなら・・・・・・。」
と凪。ボスは
「それじゃ、会議開くか。」
といった。おれはもう一度、
「あのぅ。そろそろ帰りたい。」
と控えめに言った。ボスは
「あ、すまんな。もうちょっとだけ。」
と言って帰してくれなかった。

そして色々説明会などがあった。

お別れ

おれが帰されるとき、凜が
「もう、人間界にいる理由が無くなっちゃったんだ。後、皆の私に関する記憶もなくなる。」
と言った。
「え?」
とおれは聞き返した。
「これからは、魔界で暮らさないといけないの。」
別れって事か?ってことは告白する機会もなくなる。なら、今しかない?

おいコードネームね!ここで告白しなかったら男じゃないぞ!頑張れ!

レア・・・・・・。おれは体中の勇気を振り絞った。
「あのな、凜。」
とおれは言った後、深呼吸をした。
「その。す、す、す・・・・・・。」
いざいうとなると、緊張するもんだな。
「す?」
と凜が聞き返してきた。

おいおとおと!まさか告白もできないほど意気地なしだったのか?

レアが煽ってくる。そこまで言うならやってやるよ!おれは半分やけくそになって
「好きだ!」
と伝えた。凜は
「・・・・・・うん。それで、どうしたいの?」
と意外にも冷静に言った。おれは
「付き合ってとはいわない。だから、、、記憶に残っていたい。結婚式にも出席できるならしたいし、一緒に友達としても遊びたい。」
といった。凜は
「ホントにあの時と一緒だなぁ。」
と言った。あの時?
「私とおとおと────────────────ここでは、音ちゃんって呼んだ方が良いかな?」
音ちゃん。まさか、
「凜、なのか?」
昔、一緒に遊んでいた凜。同じ名前だとは思っていたが、同一人物だとは思っていなかった。だって
「凜って男・・・・・・だったよな?」
「やだなぁ。誰も男なんて言ってなかったよ。まぁ、男っぽく振舞ったりもしてたけどね。」
とクスクス笑いながら言った。
「なんで?」
と思わずおれは聞いた。
「そういう家の方針でね。後は、男の気持ちも理解しておこうと思って。」
と凜は言った。
「で?」
と凜が言った後の言葉は、おれにとって夢みたいな言葉だった。

””付き合っちゃう?””

「遠距離恋愛って事。」
と凜。おれは
「い、い、のか?」
と聞いた。
「だって私も、好きだったもん。音也の事。」
「え?何時から?なんで?」
おれは問い詰めた。凜は苦笑して
「全部答えるよ。幼稚園の時に一目ぼれして、性格も好みだったって感じ?」
といった。嬉しい。
「付き合いたい。」
とおれは言った。おれは
「あ、連絡先交換しよう。」
と言った。

””ピコン””

良い音がした後、連絡先に凜が追加された。おれは名残惜しいが、帰らないといけないから
「バイバイ。」
と言って凜にテレポートさせてもらった。最後に凜は、
「また会う日を楽しみに。」
といった。おれは期待した。思い出した。おれは大声で
「おれの記憶は無くさないで!」
と言おうとしたが、泣いていて
「うぉれのぎおぐはだくざないで!」
になってしまった。この言葉が届いたかはわからない。でも、信じてみようと思う。

end


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