Yuzunoki

50歳女性 久々の帰省で実家の片付けをしていた時に出てきた一冊の日記帳。すっかり忘れて…

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50歳女性 久々の帰省で実家の片付けをしていた時に出てきた一冊の日記帳。すっかり忘れていた20代の私の心の叫びに再会しました。こっそり捨ててしまおうかと思ったけれど、それでは当時の私が可哀想かなと思いこちらに書き写して処分しようと思います。。

最近の記事

青いノート ドイツ旅行

ドイツで一番最高だったのはマリアというパブだ。 そこは、Kの住んでいる学生寮の地下にあり、狭い店内にはいつも音楽が流れ、古びたテーブルや椅子が並べてある。それがなんとも言えず良い雰囲気だ。 一番奥のフロアの壁にはブルーノベルベッド生地でできたカーテンが掛けてあり、その真ん中にMariaと書かれた銀色の金属プレートが吊るされている。 天井にはミラーボールがありドリンクを持ってきたアレックスが、それを手で回してくれた。すると壁のあちこちに白い水玉ができてキラキラと光った。 店内は

    • 青いノート 1995年4月1日

      海外旅行から帰ってきた。 その旅行で2年ぶりでKに会った。彼が日本に来ていた時はとても素敵で、天使のような人だと思った。再会してみるとそれは少し変わってしまっていた。 日本に来ていた時は、涙をこぼしてなぜ別々の国に住んでいるんだと悔やんでいたくせに、彼は自分の国で長く付き合っている彼女と生き生きと暮らしているではないか。 しかも手紙には、早く会いたいだのいつこっちにくるのなどと散々書いていたっくせに、会ってみれば目線さえ合わない。 私がまだ自分の事を忘れられずにいたら困るとい

      • 青いノート 1995年1月28日

        今日もTに会えなかった。 私はTを好きだということははっきりと分かる。 ただどこまでのめり込むことが出来るかが問題だ。今は本気でTの事が好きでもまた少し近づくと拒絶してしまうのではないかと不安に駆られる。 今は精神的に少し追い詰められているので、Tのことは好きだが、色々と考えたりするのが嫌になったりもする。これ以上考え事を増やすのが嫌なのだ。とりあえずゆっくりと考えたい。彼のことは後回しにしてもきっと対して変わることはないだろう。とにかく今は現実から離れてどこかへ逃げてしまい

        • 青いノート 1994年11月23日

          今の人間関係は最悪だと思う。 Sは他人に厳しすぎるような気がする。 確かに彼女もしっかりした人間だ。 彼女は決して他人に心をゆるしたりしない。 人間は、他人に心を許すと自然とわがままになったりルーズになったりする。深く付き合うとそれを許せたりするのだ。しかし彼女の場合は決して許せないのだ。ある意味ではしっかりしていると言えるがある意味では他人に入り込む隙を与えない孤立した人間とも言える。 だから少し彼女が怖いと思った。 自分のこともどこかで、誰かと批判しているのだろうかと思う

        青いノート ドイツ旅行

          青いノート

          7月に久しぶりに長期で実家に帰省したので、前々から姉たちに頼まれていた納戸の片付けを始めた。母も85歳になって体が思うように動かなくなり2階に上がることも滅多になくなったので、家の中を私達姉妹で少しづつ片付けなくてはという話になっていた。20年前に亡くなった父も、母も昔の人でなんでももったいないと取っておきたいタイプの人で、実家はとにかくいまだに使わないもので溢れかえっているが、それにプラスして私の学生時代の物が思った以上にまだ残っていたことに改めて気がつかされた。 高校を

          青いノート