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製菓理論とワルサーP38



yuzuです


ちょっとした小説仕立てでお送りします
(完璧に気分です悪しからず)
(赤子の真似事ですすんません(びびり))



部屋中に広がるバターの香り

表面にちらしたグラニュー糖が
カラメルに変身し

食欲をそそる芳ばしい香りが
部屋中に広がる

幸せの象徴と
言っても過言ではない

それが手作りお菓子だと思う

初めておうちで作ったのはクッキー
まだ5歳とかだったと思う


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※写真はお借りしてます

確かこんな感じのやつをよく作ってた


ひとりではじめてちゃんと本を読んで
作ったのはシュークリームだった

シュークリームの皮の焼き上がりを
ワクワクしながら待っていた
(なんせオーブンに入れるまでが非常に大変だった)

ふっくらと
膨らんでる様子を想像しオーブンの前で
ドキドキしながら観察する


しかし
そのワクワクは困惑に変わり
最後には諦めとため息に変わる
もはや泣きそうだった

なんだろう?
あんなに頑張って本のとおりに作った
シュークリームが全く膨らまない 


シュークリームとは決して呼べない
それなりにいい香りがするもんで
家族が楽しみにしている
こんなもの見せたくない


ブヨブヨした物体がオーブンから出て来た

(何回か作ったのだが
かっちかちのものもあった)

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※写真はお借りしてます

丁度こういった感じのもの↑
(もはやどんこ椎茸だよ)

高校生のころ
休みの日はヒマをみつけてはお菓子作りをしていた


沸騰してから粉を入れないとダメ! 
とか
生地が冷える前に作り終えなきゃダメ! 
とか
焼いてる途中でオーブンを開けちゃダメ!
とか
とにかく工程ごとにあれこれ注文と
ワナが仕掛けられている
(ほんとはオーブン開けるよ)
(ガンガン開けるよ)
(天板の向き変えたりする為)

ちゃんと
お菓子の本どおりにやったのに
失敗するのがわからない


見事にどこかの
落とし穴に落っこちた
(どこにあるかも分からない穴)

かといって
うっとりするほど膨らんで
嬉しすぎてニヤケてしまうシュー皮が焼けることも

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※写真はお借りしてます

そうゆうときは
必ずと言っていいほど粉糖をかけたもんです←
見栄え大事


しかし
どのワナをどのタイミングで回避できたのか


その理由もわからない


「見た目は悪いけど
味は見た目ほど悪くないよ」


と一口しか食べないシュークリームもどきを
お皿に乗せたまま父は言う
(弟達は不味い、の一言)

「そんな難しいもんかね」という母
(いや作ってみんしゃい)

失敗は成功のもと失敗は経験などと言うが、
理由がわかってたらの話

原因がわかれば
次回の成功のもとにもなるだろうけれど
下手な鉄砲、数打ちゃ当たる状態の
マグレでシュー生地が膨らむ私の腕では
成功のもとでもなんでもなかった……悲

失敗して
ヒドイ目にあっても作るのが好きだった

もしかしたら
(いや絶対)
作るのが好きだったというより
負けず嫌いすぎて今度こそは! 
と、ひたすら無謀に下手な鉄砲を
撃ち続けてたのかもしれない


高校卒業後の進路でパティシエの道を目指し
(本当は単身渡仏したかったが
両親に止められたのである)
有名な専門学校に入りそこで
「製菓理論」
というものに出会った



製菓理論とは
お菓子をつくるためのリクツである

乳脂肪35%の生クリームと
48%の生クリームを混ぜて
42%の生クリームを
100g作るための公式

チョコレートの
分子結晶がα型だのβ型だの

教科書は文字だらけの黒一色
(キラキラしたお菓子の世界はどこへ)

数学や化学が嫌いで
高校では文系(情報処理会計科)
を選択してきたのに
ここで逃げられない状況に追い込まれた


「リクツより美味しくできればもう良いじゃん」
と思っていたけれど
ところがどっこい
この授業はとても好きだった
(先生の声が子守歌に聞こえることも度々あったが

噛み砕いて理解したくて
先生に聞きに行ったりもしたもんだ
(天変地異起こるわ)

特に製菓理論の中の
材料学を学び始めたときに世界が変わった

高校生のころに
失敗しても成功しても
その原因がわからなかった
答えがそこにあった

技術を学び
必死で練習して
感覚でわかったとしても
言葉では説明できなかったことが
その製菓理論の中で
言葉として存在していた

そうなると
シュー皮が膨らまなかった原因が
小麦粉の糊化が足りてなく
ゴム風船のような膜ではなく
紙風船みたいな膜になってたから
空気が抜けて膨らまなかったんだ! 

とか

塩少々って書いてあって少々って
別に要らないかなー? 
とか思ってた材料がお湯の沸点をあげるために
必須アイテムだった! 

とか

目からウロコぽろぽろ

理由がわかるって
こんなに楽しいことなのか! と
のめり込んだ

スポンジケーキを
しっとり仕上げたいから
この泡だて具合にしよう
とか、なぜ? そうしたいかによって
材料を選ぶ考え方や
泡だて具合を選ぶ基準となった


今までの人生のテストでは
クリアするための丸暗記だったのだが
製菓理論はそうではなくなった
なくてはならない相棒にまで格上げしたのだ


ふと
大好きなルパン3世の愛銃
ワルサーP38を思い出した(何故)

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ワルサーP38 は
1930年代に開発され
1970年代東西冷戦で
ベルリンの壁がまだあった頃
西ドイツの
将校用として
正式に採用されていた
軍用の銃


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ルパン3世が描かれた当時
その銃は最新型で新しい物好きの
ルパンにぴったり! 
さらに大型自動拳銃で装弾数も多く
主人公で発射回数の多い
ルパンにはぴったり! 
ということで選ばれた銃なのですが
この銃

命中精度に欠けるというのが欠点
命中精度に欠けてても
たくさん撃てる

そんな銃だったそうな
(それで次元とやりあってたとな)
(化け物かよルパン)

アニメや映画の中のルパン3世は
一撃で命中させるのは当たり前

アニメだから…と言ってしまえばそれまでだけど
命中精度に欠ける銃でも問題ないのは
それを使うルパンの能力が優れているから


ありえないほどの身体能力を駆使して
赤外線センサーのワナを竹馬で乗り越える
(そしてありえないほど細い)
(なのにお姫様だっこ出来る)
実は
東大の理科三類に相当する
「東西京北大学」の電子医学部で学んでたという
超天才な頭脳を持つ

さらに特技の変装で銭形のとっつぁんの
目をあざむき華麗にお宝を盗む
(盗んだ後どうしてるの?)

そんな優れた
能力の数々があるからウットリと惚れ込むような
盗みの芸当ができるのである
多才なルパンにとっては銃の命中精度が
低いなんてきっと関係ない


人の心をトリコにするような
美味しくて綺麗なお菓子を作るためには
製菓理論を学んだだけではダメだ

ただ学んだだけでは命中率の低い銃を
手に入れたのと同じ
それを使いこなす能力とどのタイミングで
それを使うかの技術も必要だ
一か八かの
下手な鉄砲で終わらせるか
根拠のあるお菓子作りが出来るか

お菓子作りを成功させ食べてくれた
人の笑顔をさらりと盗むルパン3世のような
パティシエになるために
製菓理論という相棒を駆使して
あちこちに仕掛けられている
ワナを回避してお菓子を作る

ルパンのように
華麗な芸当が出来るよう
相棒とともに努力を重ねる日々だった

懐かしいなぁ 

画像6

※実物の写真です

製菓理論の先生の口癖は

「お菓子作りは化学」

だった
間違いなくそう

後々、フランスに渡り
はじめて自分でレシピを1から作った時も
仕事でレシピ考案をしなければいけなかった時も
学校での基礎知識プラスαの経験と努力が必要だった


そんな私が自分の母校に戻り助手として付いて行ったが
製菓理論の中でもたまにある
実際にナウでパティシエしてる人から技を学ぼう!の
特別授業でカメラ何台かの前で
実演する日が来ようとは思わなかった



そんな日々はもう
何年も前の話


そんなこんなで
今は全く違う仕事をしているわけだが
こうゆうタイトルの本はやはり気になる

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butter


数ヶ月前に読んだけれど面白かったです是非に
作者の名前にもシンパシーを感じた🍊
(yuzuですご贔屓に)


近々美味しいパイでも
焼きましょうかね




それでは、また


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