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カナダ州推薦永住権プログラムについて考える

この記事はカナダに住んでいる日本人の素人考察ですので、カナダ永住権の相談や質問はカナダ政府公認移民カウンセラーか移民弁護士にお願いします

はてさて、想像していた通り、カナダ永住権の各州推薦プログラム(PNP)に動きが出てきました(2024年4月現在)


ノバスコシア

ノバスコシアはAccommodation and Food Services sectorの新規永住権申請の受付を止めることにしたようです

トロントやバンクーバー等の比較的外国人が入って来やすい都市を持つ州では州推薦永住権プログラムの難易度が上がっていることから永住権の為に別州に引越すという傾向が高まって来ているように思います
(私自身も州移動しました)

特に飲食業やホテル業界等はtemporary foreign workerが仕事を見つけやすい業界と言えるので、外国人が多いエリアでは特にこれらの業界での永住権取得は難しくなって来ている印象があります

またアトランティック地方にはAtlantic Immigration Programという国主導の永住権プログラムがあることで州推薦プログラムと2つの選択肢を持てる可能性があることから、そのアトランティック地方の中でも大きな都市と言われるハリファックスを持つノバスコシア州に永住権狙いの人が流れる傾向が加速していたと感じていた為、今回の申請受付一時停止を聞いても然程驚きませんでした

実は私も昨年まではAIPとPNP狙いでノバスコシアへの移動を考えていたのですが、賃貸価格がバンクーバーと変わらないぐらい高騰していたことと家主が一定の人種の人が多いことで自分が想像している以上にすでにノバスコシアに永住権狙いの人が移っていると仮定して急遽計画を変更し、ノバスコシア以外の州に移動しました
(とは言え、私がいる州であれば永住権が取れそうかというと全くそんな気配はありません、、、)

今回のノバスコシアにおける一部業界での永住権新規申請受付停止で考えられ得る今後の可能性はopen work permit保持者の他州への移動です
先程言った通りアトランティック地方にはAIPがありますから、別のアトランティック地方やマニトバ/ユーコンを含む別州への移動者が増え、それら州でも競争率が上がる可能性が考えられるので、注意が必要かなと思います

Prince Edward Island

PEI (Prince Edward Island)でも急激な人口増を避ける為に2024年の州推薦の移民受け入れは25%にまでにすると発表したようです

上記を読む限り、PEIが切望している9業界に関わる職種(医療、Trade職種、幼児教育等)以外の業界もしくは職業の場合、国から割り当てられた数の25%までしか推薦されないという意味だと理解しています

もしPEIを狙う場合は自分の職種がこの9業界に関わる優先職種かどうかを政府公認移民カウンセラーもしくは移民弁護士に先に相談するのが無難かもしれません

アルバータ

アルバータは2024年2月に州推薦プログラムの一番大きな柱だったAlberta Opportunity Stream (AOS)の新規受付を止めました


すでに2024年2月時点で州としてはバックログを先に処理する必要があることと人材不足の分野に永住権承認を優先したいという考え方があるため、一旦新規申請を止めた形です
私の予想では再開する前にAOSの制度自体を見直すのではないかと考えてます

ちなみにアルバータはこのAOS Pendingを前にTourism and Hospitality industry独自の永住権Streamを開始しました
ただし、申請から数日も経たない間に多くの申請があった為に、今は受付を一時中断しています
(First intakeの申請が全てReviewされたらSecond  intakeの申請ができる仕組みのようです→他州に人材が流れない為の工夫かなと思ってます)

このStreamが始まったことで飲食業界やホテル業界で働く人がアルバータに注目しているのはいろんな人の話を聞いても感じます
実は3月だけでも「アルバータに行けば永住権が取れるらしい」とワーホリの人が引越したという話を三人から聞きました

本当にアルバータであれば飲食業界やホテル業界の人が永住権を取りやすいのか?
私はこれらの業界の一部職種では逆に難しくなるかもしれないと思っています

アルバータの州推薦プログラムの永住権承認までにかかる期間を示したページがアルバータ州公式のウェブサイトにあります
そこにいわゆる飲食業でワーホリの人や学生の人、学校を卒業してすぐの人が就きやすい職種であるCook、food service attendant, food service supervisor等が申請数が多過ぎて処理に時間がかかる、もしくはEEのDraw対象から外すかもしれない職業として並んでいます

州推薦プログラムには承認数の上限がありますから、上記の注意書きから考察すると先着順に承認している訳ではなく、ある程度職業は選抜しているように思えるのです

一見Tourism and Hospitality Streamの設定はこの業界にいる人に積極的に永住権を出す州であるかのように見えます
ただ私の考えでは、AOSの申請ハードルが低いことで申請が想定以上に増加し、本当に州にとって残って欲しい職業の人を選び辛くなっているから、あえてStreamを分けたのではないかと思っています
AOSを一旦止めて、バックログを処理すると同時にAOSの仕組みを変えて、州にとって必要な人材に永住権を与えられるように制度変更するんじゃないかと想像しています
そういう制度の再設計の一環として、人材流出をさせない & 良い人材の獲得の為にアルバータの一番の観光シーズンを前にTourism and Hospitality Streamだけは切り分けて先に発表したのではないかと個人的に予想しています

アルバータのTourism and Hospitality StreamにはAOSに比べて大きなハードルがいくつかあります
まずはLMIAが必要なこと(=雇用主のサポートが必要なこと)
そして、雇用主が指定するAssociationに所属していること(=TourismもしくはHospitality業界であればどんな雇用主でもOKじゃない)
そして、Streamが指定する職種であること

AOSはLMIAなしでも申請できたので、確実にハードルは上がっています
また、Tourism and Hospitality Streamの対象職種はAOSで処理に時間がかかる職種と指定されていた職業が並んでいますから、やはりこれらの職種についてはAOSの中ではなく、このStream内で承認していきたいという気持ちがアルバータ州にはあるのではないでしょうか

またアルバータTourism and Hospitality Streamのもう一つの難点は「これからもこのStream狙いで他州から人が殺到する可能性」です
ノバスコシアのようにその州にいる限り飲食/ホテル業界で永住権取得が難しくなったなら、アルバータのように特定プログラムを持つ州に移動することで、可能性を広げようと考える人が出てくるのは当然です
しかし、アルバータはこれらの業界で永住権を取りやすい州なのではなく、単にこの業界に特化した申請枠を設けた州であると私は認識しています
多くの人が「アルバータなら永住権を取れる可能性が高い」と勘違いしてアルバータに移動し、このStreamで永住権を狙えば、承認数(=分子)は変わらず、ライバル数(=分母)が増えるので競争率が上がる可能性があると予想しています

総論

割と多くの人は「永住権を申請する」ことを重視し、自分の滞在期限内に「永住権が承認される」ことにあまり注目していないように感じます

以前以下の記事で2024年上半期現在カナダで永住権を目指すライバルがいっぱいいる可能性があるよという話を書きました

2024年、2025年、2026年で予定しているeconomic classでの承認予定数はそれぞれ281,135名、301,250名、301,250名でそのうち州推薦枠で承認されるのは110,000名、120,000名、120,000名でこれらの承認数は各州に配分されています

国のプログラムはポイント制ですから、優先職種じゃない人、上がりに上がったポイントを取れる見込みがない人は州推薦枠やAIPのようなポイント制じゃないプログラムに希望を託す場合が多いと認識しておいた方がいいと思います

そして、各州限られた州推薦枠に多くの人がチャレンジしているし、これからもチャレンジする人が増えること、永住権を取りたい人の母数が承認できる数より圧倒的に増えていることで、今起こり始めているような一度申請受付を止めることや「選抜する仕組み」を新たに設置することが今後もあり得ると思います

自分自身州移動してみて実感していることは「州移動することで永住権が承認される可能性が多少上がることはあっても、大きく上がることはない」ということです

自分が企業の採用担当だったら「1000人の応募があるなかで、10名の人を採用したい」ときに先着順で採用しないですよね?
自分の会社に欲しい人材を採用したいと思いませんか?
カナダが国として優先職種したり、州もいろんな対策を講じ始めているのは永住権承認に対してもそのような視点を持っているからだと思います

なので、現時点で自分の職業がカナダの優先職種ではない場合、州移動した後でも「今の計画がダメになったときにどうするか」のバックアッププランの保持、「永住権取得にどこまでこだわるか」の自己の振り返り、「永住権取得を諦めた後のどうするか」の計画はこの数年の間にカナダ永住権を狙う人は考えておくと良いかもしれません

いつも厳しい考察ばかり言って恐縮です、、、

何度も言いますが、上記はあくまでカナダに住んでいる日本人の素人考察なので、参考にするか、無視するかは読者のみなさまにお任せします

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