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『やっぱり食べに行こう。』原田マハ著 毎日文庫


『美しき愚かものたちのタブロー』で初めて原田マハの作品に触れて心動かされ、次に手にとってみたのがこれ。エッセーは、作家の素顔(とおぼしき)ものを垣間見ることができるから、小説とはまた違った楽しみを味わえる。

それにしても罪作りな人だ。「旅ごころ」(と食べごころ、すなわち食い道楽願望)をこんなに刺激されてしまったら、もう行ける行けないは関係ない、またいつもの妄想的旅行計画に浸らないわけにいかないではないか。友人には実際に行かない旅行の計画立てて何が面白いのかと笑われるのだが。なんせ自分の場合は、実際にフライトやホテルの検索からやるもので・・・。

しかし、しかしである。ようやく、国境を越えた往来が、欧米諸国について言えばほぼコロナ前に戻り、日本政府も海外からの入国条件を緩和して、さぁいよいよというその時に、ロシアのウクライナ侵攻によるインフレ、そして円安というダブルパンチではないか。

そうでなくても、この30年間に内外価格差は広がる一方で、ニューヨーク、ロンドン、チューリッヒ、ミラノ、どこに行っても、日本人には「高過ぎる」物価にため息しか出なかったところに、円の価値がわずか数ヶ月で3割近く下がってしまったのだ。

先日、書店の文具コーナーでMOLESKINEのWEEKLY NOTEBOOKの2023年版を見つけて買い物カゴに。それと文庫本、新書、ムックなど、なんだかんだと本を5冊。いざレジでお会計という段になって、1万円を超える合計金額に一瞬、何かの間違えでないかと思ったのだが、その原因はやはり MOLESKINE だった。4千円オーバー。近所の焼き鳥屋であと千円も足せば、二人飲み食いできる。考えてみれば、今までは大体海外に行った時に購入していたので、日本で買うことはほとんどなかった。円安おそるべし。輸入品を買うときは特に気をつけなければ。

肝心の「食べる」であるが、どれもこれも想像を掻き立て、食欲をそそる話ばかり。手元に抜き書きしたメモを見る

『ウーマン・イン・ゴールド』 ヘレン・ミレン (これは直接食事には関係がない)
「ル・フェモワール」(ルーブルの近く)
「ボティン」マドリード、ヘミングウェイ
グルジア料理 ハチャプリ
西安の餃子 水餃子
「共栄堂」カレー 神保町 スマトラカレー
「まんてん」カレー 神保町

ロンドンのピカデリーサーカスそばのとんこつラーメン。これは行ったことがある。だいぶ前のことになるが。おそらくSHORYUのことだろうか。たしかに日本の味ではあったが、いかんせんスープがぬるい。ラーメンのスープは熱々でないと。ただこの話を知人にしたら、いや、自分が食べた時は熱々のスープだったというから、偶然か、それとも自分の感じ方の問題なのかもしれないが。

さて、そろそろ妄想の世界に戻ることにしよう。妄想の世界なら、多分、このラーメンは一杯日本円でいくらだろうなんてヤキモキしなくても、自分を大金持ちの設定にしてしまえば済むだろうから。ほんとかな。

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