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『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』を読んでみた

初めまして!ざきさんです。
コンサルタントの卵です。ライティングやリサーチの練習としてnoteを使って書評を始めようと思いました。趣味の話や興味が惹かれたことなども今後アップしていく予定です。

今回読んだのは、『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』(津川友介著)です。著者である津川友介氏は、医療政策学のPh.D.を取得しており、現在はカリフォルニア大学ロサンゼルス校で教鞭を取っている方です。

読もうと思ったきっかけ

私は理系の大学院に通っているのですが、最近、運動不足だったり食べたいものを食べてばかりだったりすることもあり、体重が増加してきています。また、4月からコンサルタントとして働くため、食事をはじめとした健康には気をつけていきたいな、ということから健康に関する本を探していました。
そこで見つけたのが本書です。自身が理系ということもあり、科学的に証明されているという点も魅力に感じました。

本書のポイント

本書を読んでみて有益だと思ったポイントを3つ紹介します。
①日本人は健康への関心が高いが出回っている情報は根拠のないものが多い
②「成分」よりも「食品」という単位で注目すべき
③日本食が健康に良いというエビデンスは少ない


①日本人は健康への関心が高いが出回っている情報は根拠のないものが多い
日本人の健康に対する関心は諸外国と比べても高いそうです。それは、店頭に並ぶものやテレビなどのCMを見ても、健康や栄養を魅力として訴求している食品が溢れていることからも言えるかと思います。
しかし、その食品が健康に良いのかというと科学的根拠が薄いものもかなりあるそうです。実際には効果がないだけでなく、別の見方をすると有害であるような食品も"健康に良いもの"として販売されていることもあるようです。
本書は、「大企業が販売している製品なら安心だろう」と安易に考えて購入している人たちに警鐘を鳴らす内容になっています。企業の目的は利益を生むことなので、必ずしも我々にとって良い食品が売られているわけではないということにハッとさせられました。
本書では健康に良い食品とそうでない食品が根拠となる研究成果とともにわかりやすく紹介されています。

②「成分」よりも「食品」という単位で注目すべき
よく、「ビタミンCは健康に良い」や「カルシウムが少ないからイライラしてるんじゃない?」といった会話を耳にするように日本では成分に注目して食事が選ばれる傾向にあります。
しかし、実は成分単体で摂取しても効果が認められないという研究が紹介されています。野菜や果物も一種の生命体であるため様々な成分が複雑に関連しあって成り立っています。なので、「機械のように部品的に扱うことで成分を取り出せば効果が得られる」という考え方には必ずしも当てはまらないと言えそうです。
例えば、緑黄色野菜が体に良い影響があるということがわかり、緑黄色野菜や果物から得られるβカロテンが一人歩きし、βカロテン入り飲料やサプリメントが人気になったことがありました。しかし、βカロテンを単体で摂取したところ肺がんのリスクを上昇させることが研究によってわかったそうです。
このような研究があることからもわかるように、ある食品が健康に良いからといってその食品に含まれる成分だけに注目して成分のみを摂取するのではなく、その食品自体に注目して摂取することが重要であると言えます。

生物の細胞や成分の成り立ちについて詳しく知りたいと思った方は、
『動的平衡』(福岡伸一)がおすすめです。この本では、生命活動について非常に興味深い考察がなされています。「なぜ歳をとるごとに時間の感じ方が短くなるのか」といった身近な話題も紹介されているので是非読んでもらえばと思います。


③日本食が健康に良いというエビデンスは少ない
「日本食は健康に良い」というイメージをお持ちかもしれませんが、これも一概には言えないようです。実は日本食が健康に良いということはこれまでの研究結果で必ずしも明らかになっていないようです。一方で、昔ながらの日本の食卓に並ぶものであっても病気のリスクを高めるものがあります。
本書で紹介されているものでいうと、白米お味噌汁です。
まず、白米についてです。本書では良い炭水化物と悪い炭水化物が紹介されていますが、白米は健康に悪い炭水化物であるというのです。反対に、良い炭水化物として白米の代わりになるのが、精米されていない玄米などのお米です。どのような違いがあるのかはぜひ本書で確かめて見てください。
次に、お味噌汁についてです。意外に思うかもしれませんが、日本人の塩分摂取量は欧米よりも多いという調査結果が出ています。その一因としてお味噌汁が挙げられています。塩分の過剰摂取は糖尿病発症のリスクを高めるので日本食だからといって食べ過ぎには注意したいですね。

感想

本書は研究結果などを用いて書かれていますが、決して小難しいものではなく、とても読みやすく書かれていました。これまでの研究から何が健康に良くて何が健康に悪いのかが紹介されているので、これまでの食生活を見直す良いきっかけになる書なのではないかと思います。
また、現状で良い悪いの判断がつかないものはそのこともきちんと明示されているため、非常に中立な情報が得られると思います。科学に"絶対"はありません。医学も科学であり、「絶対に○○である」ということはないので、この本で紹介することも絶対ではないのですが、マスメディアで流れている情報よりも確実に信頼性があると感じました。
本書を読んで一番感じたことは、メディアでの情報を鵜呑みにするのではなく気になったものは信頼できる本やサイト(政府や研究機関が発行しているもの)を自分で調べてみて咀嚼しながら理解することが大切だなということです。
食は私たち人間にとっても身近なテーマであるのですが、「いまいち何が本当で何が嘘なのかわからない」と思っている方はぜひ本書を手に取ってみてください。

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