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いよいよ・・・思い込み。

思ってたのと違う。

なーんてことは、しょっちゅうある。
だから、大人になってくると、無意識に期待しすぎない癖なんかが、ついてしまう。
はじめから、思っていたことのスケールを小さくしておければ、改めてその物事に出会った時に、ガッカリというダメージが少なくて済む。

そもそも、だ。

「なんで、パパ、おへそが、おでこにないの?」


(参照:絵本・いいからいいから)
と娘の(若干ズレている)理想のパパ像と現実がかけ離れているように、なぜ万物が、自分の理想、『こうあるべき』というものに従って、然り。
と、人は考えてしまうのだろうか。

「期待はずれだねぇー」


なーんて、戸愚呂弟のような台詞を吐かれたとしても、
なぜ、相手の、『こうあるべき』に当てはまらなきゃならない?

じゃあ、
じゃあ、
そもそも、だ。

そんな相手は自分の
『こうあるべき』
夫で、妻で、恋人で、上司で、部下で、同僚で、取引先で、顧客で、先生で、コーチで、友人で、男性で、女性で、親で、子供で、兄弟で、姉妹で、見た目で、感触で、匂いで、味で、音で、などなど。

に、全部当てはまってくれてる?
と、思わずにはいられない。

当然、お互い、そんなわけないのだから、

じゃあ、まぁー、お互い好きで良くね?

なーんて思ったりもする。

「自分で着替えるし、選ぶからいい」

渋々、一緒に入ってくれたお風呂の後だった。
(二人の子供を交互に洗い、さあ、一緒に湯船に浸かろうと、足先を入れるタイミングで、順番に子どもはお風呂から出るため、実質入浴とカウントされることはないと思うが・・・)

自分で着るパジャマを選びたいと息子より、申し出があった。
新たに買った夏用のパジャマに(少し早いが)袖を通したいのか、単純に一人で着れるようになった姿を見せたいのか・・・。

どちらにしろ、好きにすれば良い、という気持ちを込め、
「いいんじゃない」
と僕は返事をする。

「目を瞑って」

という、かわいいリクエストに従い、僕は目を閉じる。
半笑いの息子を見て、目を開けた時、
おそらく彼は、全裸のまま。
もしくは、パンツのみか、パンツを頭にかぶっているか、だ。

すると、しばらくして僕の予想に反し、布が肌を通り抜ける音が聞こえ、パチっ、パチっ、と甲高い音が耳へ届く。

ああ、と合点がいく。

上のパジャマだけ着て、下を履かないパターンだ。
息子の、ふふふっ、という笑い声が聞こえ、

「目を開けていいよ」

と、許可を得て、僕は目を開ける。

同時に思わず息を飲む。

「・・・む、息子よ」

息子はしっかりと服を着ていた。

「・・・おっ、お前、そっ、それ」

息子は、白色タンクトップの肌着シャツに、グレーのパジャマパンツを着こなし、

そして、タンクトップの上を、

「そっ、その格好は、・・・・」

黒色のサスペンダーが走っている!!!

それは、まさに!!!!!

「ダイハードの、ジョン・マクレーンじゃねえか!!」


「誰?」

「ブルースウィルスだよっ!!」


と熱弁するも伝わるはずもなく、突如脱衣場に現れた、ニューヨーク市警を脇に抱え、別居していない妻の元へと急ぐ。

「見てっ! ジョン・マクレーンっ!!」


ニューヨーク風な荒っぽい紹介をするも、妻は巡査部長を一瞥し、そそくさと携帯をいじり出す。

「・・・あれ、サスペンダーじゃなくて、

ガンホルダーだから」


と妻はハンスのように冷静かつ知的な仕草で、ブルースウィルスの映し出された携帯を眼前に差し出す。


「・・・・・・思ってたのと違う」


なんで、サスペンダーじゃないんだよ、ブルース。。。
サスペンダーであるべきだろ。。。

なんでだよ、なんで、こんな引っ越しって、大変なんだよ。。。
おわんないよ、全然、おわんないよ。。。

あっ、最後、全然関係ない本音でちゃった。。。

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