【ショートショート】自撮り

「カメラの日本史」という本を読んだ。現存する最古の肖像写真は「島津斉彬」という人のものらしい。オランダからカメラが輸入されたが、写真を撮られると魂が抜かれるという噂が流れ、肖像写真を撮りたがる人は当時少なかったらしい。
 印象に残っているエピソードがある。黒津勘兵衛という薩摩藩の武士が、打ちこわしの指揮を執ったということで、切腹を命じられた。当時は切腹は時代遅れとされていて、名前だけのものになっていたが、見せしめのために切腹を命じられたらしい。勘兵衛は見せしめになるぐらいなら、と思い、当時のオランダ人からカメラを購入し、自分の魂を抜こうとした。引きこもっている勘兵衛の様子を見に行った妻が部屋に入ると、数百枚の勘兵衛の自撮りと死体が転がっていた。このセンセーショナルなニュースは話題になり、飢餓に苦しみ、自撮りをする若者が相次いだ。当時は「自死」「自決」「自刃」などの言葉が主流だったが「自殺」という言葉が一般的になったのはこの事件で、「自撮」のことを「じさつ」と呼んでいたからだという(この辺は後世の後付けの可能性が高いらしい)
 ただ、あまりの死人の多さから、時の政府は自撮を禁じた。

 明治~昭和あたりまでは写真は金持ちの道楽だったが、平成以後、使い捨てカメラやガラパゴスケータイの流行により、写真がより身近なものになる。
 スマホが登場してからは、自撮りをする若者が増えた。日本カメラ連盟は「自撮」の危険性を訴えているが、欧米の起業と思われる勢力から、圧力がかかり、ほとんど危険性が周知されていないらしい。

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