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16-サヨナラブラック企業!社長に逆切れされつつ退職へ

【前回のお話】

(825字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)

 「何を言っているんだ!!!」

 私が退職したいと伝えるやいなや、社長は大声を張り上げた。

 いつもは温厚な社長なのに、こんなことで怒鳴り声を上げるとは思わずすっかり面食らってしまった。


 「交通費にアパート代、君を働かせる為にどれぐらいかかったと思っている!そもそもまだ研修段階じゃないか!『石の上にも三年』という言葉を知っているかい?取り敢えずは腰を据えてやってみてから……」

 くどくどと社長の説教が続く。
 社員達もびっくりしたのか、全員息を潜めている(心なしかキーボードを叩く音も小さくなった気がする)。

 ただ、当の本人である私はびっくりするほど冷静だった。
 「もうこれで終わるんだ」と吹っ切れたせいか、特に怖いとも思っておらず、さっさと会話を切り上げて自由になりたいとしか考えていなかった。


 しばらくすると、ようやく説教が一段落した。
 無反応な私を見て更に腹が立ったのか、「もういい!」と社長が吐き捨てるように言った。

 「そう決めたのならば、さっさとやめちゃいなさい。もう来なくて良い。君なりの考えがあるのだから、これ以上干渉はせんよ」

 そしてポツリと付け加えた。

 「頭が良いのかしらんが」


 「ありがとうございました」とぺこりと頭を下げ、私は事務室を後にした。

 未練は無かった。
 一切振り返らなかった。


 部屋に帰ると、Iさんから長文のメールが入っていた。

 帰国日が決まったら、一報すること。
 アパートの鍵は、退出時にポストに入れておくこと。
 その他会社の備品を預かっていたら、郵便で事務室に送り返すこと。

 そして、メールの最後にはこう書いてあったーー

「コミュニケーション能力の欠如、専門知識の無さ、加えて感情管理力の不足。
 はっきり言って、竹子さんと仕事をしていくにあたっての私の意見は『ノー』でした

 ほぉ。
 まあ最後の最後まで、なんときっちりしていること。


 特にお見送りも無い中、私は荷物をまとめて全てを後にした。
 行き先は、実家。

 身体が元気になるまで、私は一旦ふるさとで療養をすることになった。

(つづく)

📚悪縁も「縁」。ありがとうございました


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