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【デザインの深掘り】キリンビールの広告から学ぶ、ユーザ目線の“価値”

“選ぶ”って楽しい!クラフトビールが教える、ビールの新しい価値

こんにちは!グラフィックデザイナーからUIUXデザイナーを目指し勉強中のZIN(じん)と申します。
UIUXデザインを学んでいると「ユーザ目線でデザインする」事がとても重要なのだと痛感します。
では、どうすれば理解できるようになるのか…..私の出した結論は、

「生活に関わるあらゆる事を“価値”から考え分析し仮説を立てる。そして可能な限り常にシミュレーションし”引き出し”を増やすトレーニングをする」ことだと考えました。

そこでこの記事では、【デザインの深掘り】と題し、個人的に気になったデザイン・サービス・商品を勝手に深掘り考察し、その内容を共有していこうと思います。皆様の創作のヒントになることがあれば幸いです。
※あくまで私個人の意見であり、「こんな見方もあるかもね」くらいのライトな解釈をしていただけますと幸いです🙇‍♂️

今回取り上げるのは、最近電車内で見かけた、
キリンビール「スプリングバレー」の中吊り広告です↓↓↓

撮影:筆者本人(2023年8月上旬)

1. 商品の基本情報

◼️気分に合わせて選べるクラフトビール。キリンの「スプリングバレー」

「クラフトビールという新体験を。」をスローガンに、2021年3月クラフトビールブランド「SPRING VALLEY」を立ち上げ、基盤商品として販売された商品のようです。爽やかな香り、苦味、甘味、酸味など多様で個性的な味わいにこだわりつつ、ただ個性的なビールではなく個性と飲みやすさを両立させた新しいビール。「とにかくビールの概念を変えてくれたビール」「このおいしさは別格」など人気の高い商品のようですね。
引用元:キリンビール公式:「スプリングバレー」ブランドサイトより

◼️そもそも、クラフトビールとは?クラフトビールと普通のビールの違いは?

クラフト(craft)は英語で「技術」「工芸」「職人技」などを意味する言葉。 クラフトビールとは、小規模な醸造所がつくる多様で個性的なビールを指します。 「のどごし重視」の一般的なビールと比べ、香りや味のバラエティが豊富で、そこがクラフトビールの大きな魅力のようです。
引用元:よなよなエール公式ウェブサイトより

2. 考察と仮説から、コンセプトを深掘り

※今回は考察トレーニングが目的の為、調査は簡易的なものとさせて頂いておりますm(_ _)m

◼️ リサーチ

【数値データ】店頭販売のビールを選ぶ基準についての意識調査
一般的なビール選びの基準を調査してみました。引用元: PR TIMESより

  • 自宅での飲酒:自宅で飲むことが多く87%

  • ビールの購入場所:スーパーマーケットが61%

  • 飲酒頻度:週に1回以上が87%

  • ビールの選び方:決まったメーカーで購入している方は25%、決まっていない方は75%。350mlの缶タイプが最も多く、美味しさを基準に選んでいる。

【生の声】ビールに苦手意識を持つ私本人の、ビールに対する印象
今回はユーザーインタビューの代わりに、ビール苦手意識のある私自身の意見を、勝手ながら記載させていただきます。※お酒は週1程度、レモンサワー・ワインなど飲みます。

  • 同じ味に感じる:ビール初心者からすると、各メーカーの微妙な味の違いは正直分からず…ちょっと苦味が強くで苦手だな〜といった印象です。

  • 特有の個性を感じない:ワインを例に挙げると、赤白、甘口辛口など多様な個性や基準があますが、ビールにそこまでの違いや個性があるとは認識しておりませんでした。居酒屋で「とりあえず生で」とメニューを見ないで選ぶ方がいるように、ビールを味や食事に合わせて選ぶことは少ない印象です。

◼️ 考察と仮説から、コンセプトを深掘り

以上の調査結果を元に、考察・仮説をまとめたいとおいます。

<考察>

  • 特定のメーカーに固執せず、美味しさを基準にビールを選んでいる傾向がある。

  • 自宅での飲酒が増えており、スーパーマーケットでの購入が主流となっている。

  • 「一度飲んでみて好みに合えばリピートしている」という意見もあり、飲みなれた味が重視されている。

  • 微妙な違いはあるとしても、味・色・香り等の個性の振り幅が狭い印象。

<仮説>

  • 飲みなれた味のビールを、習慣的に意識せず購入している人が多い?

  • 美味しさを基準にビールを選んでいる傾向があるのなら、クラフトビールの多様な味わいを知ってもらえれば、購入してもらえる可能性もある?

  • 通常のビールに苦手意識を持っていたユーザーも、香りや味のバラエティのあるクラフトビールであれば、選択肢に入る?

  • 食材にあうお酒を選ぶ上級者も、クラフトビールの多様性を知れば選択肢に入る?

まとめると、私が思う商品のコンセプトはこちら↓↓↓

ビールを色で“選ぶ”という新しい視点の価値。そこから生まれる“選ぶって楽しい!” のワクワク感。

3. ターゲットユーザーを深掘り

上記のコンセプトから、私が思うターゲットユーザー像を以下にまとめました。

ビール愛好者: ビールに対する関心があり、定期的に購入してい継続顧客。
お酒と食材のペアリングを楽しむ愛好家:食事に合わせ飲むお酒を変える、お酒上級者。
お酒は飲むがビールに苦手意識のある人:私と同じように、過去感じたイメージから、選択肢としてビールを除外していた人。

4. 仮説検証:実際に飲んでみた!

実際にスーパーで購入し、試飲したのでレビュー致します。

左写真:豊潤<496> 右写真:シルクエール<白>

【結論】思った以上に飲みやすい!そして香りがフルーティーでいい!
見た目:たーしかに思っていた以上に色違いますね!ビール=金色のイメージが強かったので驚きです。
香り:豊潤<496>は、王道のビールの香りでした。一方シルクエール<白>は缶を開けた瞬間に、マスカットのようなフルーティーな香りがしました。
味:豊潤<496>は、ホップの苦味が効いたコクのある味わい。シルクエール<白>は苦味が少なくフルーティーでかなり飲みやすかったです。個人的にが白が好みでした!
価格:¥258(税別)※350mlの缶ビール
スーパーマーケットで売られているビールの平均価格は、約¥220〜¥280程度なので、手が出しやすい価格帯かと思います。

〜仮説検証まとめ〜
実際飲んで分かりましたが、「赤=コクのある深い味」「白=フルーティーで爽やかな味」の様に色と味の関係性がワインに近く、比較的選びやすかったです!「色=目」「味=舌&鼻」と感覚器官が違く、色で味を選べるのか?と思ったりもしましたが、“ワイン”という親しまれた土台のお陰で、抵抗感無く選べそうです。

5. 体験フローを深掘り

〜なぜ中吊り広告なのか?広告媒体から考察するユーザー体験〜

今回は中吊り広告の特徴に焦点を当て、どのような流れで購入に至るのか、考察してみました。

◼️ 中吊り広告を見る人はどんな人?

  • 電車の乗客(特に席に座っている人)の大半は、スマートフォンを見ている人が多く、広告に目を向ける人は少ない印象。

  • 中吊り広告は基本座席に座ると見づらく、立っている乗客向け、又は通勤帰宅ラッシュ時で座れない、もっと言うとスマートフォンをポケットから取り出し操作も難しい混雑した状況下にある乗客向け?のような気がしました。電車内で立つとかなり広告と距離が近くなる為、目にとまる機会は十分あると思います。

◼️ ユーザーの行動フローを考察

上記の内容から、帰宅ラッシュ時に電車を使用する、オフィス・ワーカーのシナリオを考察しました。

平日、いつものように帰宅ラッシュの電車に乗車。かなりの混雑で座れる状況ではない為、疲れているが仕方なく立ったまま最寄り駅まで我慢。

ふと目の前にある広告の「いつものビール、何色ですか?」のキャッチコピーに目にとまった。
ビールは好きで、よく仕事終わりスーパーで晩酌用に購入するが、いつも同じ飲み慣れた商品を買ってるだけで、そもそも色を気にした事がない。でも広告にあるクラフトビールは、いろんな色があると書いてある。どんな味なのか、ワインみたいに料理に合わせて選ぶのも楽しそうと想像が膨らむ。

最寄り駅につき、行きつけのスーパーに行くと広告にあったクラフトビールを見つけた。価格もいつも飲んでいる物とさほど変わらないので、試しに購入してみた。スーパーでお刺身が半額になっていたので今回は<白>を購入。

家につき晩酌の準備をし、お刺身と一緒にビールを飲む。いつものビールとはかなり味わいが違い、フルーティーな香りもする。<白>はお魚と合う。<赤>はお肉に合うのかな?今度は<赤>も試してみよう!

6. まとめと学び

「いつものビール、何色ですか?」のキャッチコピーが秀逸!

調査の中で、この商品が約2年半前に発売されていると知り驚きました。
お恥ずかしながら、ぜんっぜん知りませんでした(笑)。
公式サイトのCMや広告を拝見したところ、確かに見覚えはありました。ということは「知ってはいたが、あまり気に留めていなかった」が正確な表現かもしれません。
では、なぜ今回題材に選ぶまで興味を抱いたか。それは、
「いつものビール、何色ですか?」
このキャッチコピーに目が留まったから、
この1点です。
このキャッチコピーを見た時、「ビールの色?黄色?金色?」「そもそも色って気にする?重要なのか?」など様々な「?」が頭に浮かび、この商品を考察するきっかけになりました。
ここからは勝手な推測にはなりますが、今回取り上げた俳優:山田孝之さん出演の広告と、スプリングバレーの他の広告では、演出や言葉選びの魅力に違いがあると感じました。よりユーザーの“インサイト”(消費者の隠れた本音)に響く方法を、考察・調査・改善された結果なのかな〜なんて思ったり。実際あまりビールが得意ではい自分でも、「買ってみようかな」と思った次第です。
引用元:キリンビール / KIRIN BEER公式YouTubeより

今回は、広告の深掘りでしたが、UIUXデザインにも参考になりそうな考え方や、具体例がいくつもあり、多くの学びがありました。
また、気になった題材があればちょこちょこ書いていこうと思いますので、よかったらのぞいてみてください。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございます!

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