スズメの巣 第11話

第11話 ダイヤモンドは磨かないと

「最終指名のお時間です。この選択で来シーズンのチームが出そろう形ですね。」
「そうです!どうなるんですかね!」
「さあそれでは、全チーム揃いました。発表に移ります。」

「はじめに、海王ゴールドバンディッツ。4巡目希望・・・。」
「戸部 新菜 プロ競技麻雀協会」
「元選手か。」
「この人は注意すべきだな。」

「続きまして、大阪ラフミカエルズ。4巡目希望・・・。」
「岡田 瑞音 全日本麻雀連盟。」
「家族共演か。」
「もしかして・・・。」
「波奈さんの妹だ。5個ぐらい離れてるって言ってたな。」
これは見ものだ。と愛田は言わんばかりの笑顔だった。

「オダイバ eレインボーズ。4巡目希望・・・。」
「きんぐりょうせー プロ電現麻雀連盟。」

「また、eスポーツ系か?」
「はい。ネット麻雀が主戦場で。リアル麻雀を始めたのは3カ月前だそうです。」
「なんだと!?」
「プロ歴は1年未満ですね。」
ざわつかないわけがない。
「ただ、オーナー企業はピコンゲームスです。eスポーツのファン層も取り入れたい形でしょう。」
愛田が分析した。

「まずは、ファン獲得か・・・。」

「キャピタル麻雀部。4巡目希望・・・。」
「来田 紀夫(こだ のりお)雀士協会」
「あの人の直感は当たる。他者がテンパイしても分析で上がりに導くからな。」
「それは怖いですね。」

「JOY V-deers 4巡目希望・・・。」
「沖村 凜 全日本麻雀連盟。」
会場は阿鼻叫喚に包まれた。
「この反応は、面白いな。」
「良かったです。そう言ってもらえて。」
「期待したいですね。」

「神保町ブラックタートルズ 4巡目希望・・・。」
「三田 真司 プロ競技麻雀協会。」
「ついに指名か。」
「ついにというと?」
「毎年指名有力視された1人だ。しかし人気が足りずあと一歩で逃してきたんだ。」
「今年、動画配信を始めると人気は爆発。」
「かなり遅咲きですか。」
「ただ、実力は折り紙付きだ。」

「乃木坂アイロンマレッツ 4巡目希望・・・。」
「金城 優 全日本麻雀連盟。」
「次世代筆頭か。」
「沖縄の凄腕雀士だ。東京遠征は少ないからこそ決勝常連だしな。」
「そうなんですね。」

「幕張麻雀闘宴団 4巡目希望・・・。」
「目瀬 あおい スポーツ麻雀振興会」
「スポーツ麻雀振興会女流四天王の一人だ。団体ルールで敬遠されがちだけど様々なルールで打てる数少ないオールラウンダーだな。」
「そんな強いんだ・・・。」
おおと声が大きくなった。

「夕暮れポセイドンズ 4巡目希望・・・。」
「鯵沢 汐理 全日本麻雀連盟」
「これまたサプライズだわ。」
「そうなんですか?」
「ああ。今年の半年に一度の天姫位優勝。個人タイトルは初だ。」
「若手が多くなりましたね。」

「ということで、重複はありません。来シーズンの交渉選手が決まりました。楽しみです!」
「そうですね!今からワクワクしますね。ただまだ、この会議は終わりませんよ~。」
「そうです。ただいまより、シーズンの命運を左右する開幕戦及び第2戦の対戦カードを抽選したいと思います。ここでスタートダッシュを切るのか?運命の分かれ道と言えます。」
「はい。では1部リーグ、2部リーグありますが、最初に2部リーグから抽選を始めます。」

「どうします?」
「橋口でいいと思うけど?」
「うーみんいってらっしゃーい!!」
「えっ・・・。あたし?」
「さっき自分が行くって言ってたじゃん?」
「え。いいの?」
「そんな影響ないし。」
「分かりました。行ってきます。」
橋口は席を立った。

「さぁ。ではみなさんお集まりになりましたね。では、抽選のルールをお伝えします。抽選順は、今回は1部は昨シーズン順位。2部は、50音順です。なお、開幕節つまり、開幕戦と第2戦の第1試合の席順も決まります。」
「それでは、参ります。では最初に、大阪ラフミカエルズお願いいたします。」

抽選箱から封筒を取る。
「では、お預かりします。」
「大阪ラフミカエルズ初戦は・・・。開幕戦南家スタートです!」
これが全チーム続いた。

2部リーグの開幕節の対戦カードが決まった。
開幕戦 第1試合
東家 幕張麻雀闘宴団
南家 大阪ラフミカエルズ
西家 夕暮れポセイドンズ
北家 オダイバ eレインボーズ

第2戦 第1試合
東家 キャピタル麻雀部
南家 JOY V-deers
西家 乃木坂ヴィーナスアイロンマレッツ
北家 神保町ブラックタートルズ

合わせて1部リーグの開幕節の対戦カードも決まった。
開幕戦 第1試合
東家 六本木桜花隊
南家 横浜シティドラゴ
西家 麻雀組 焔
北家 有楽町麻雀カルテット

第2戦 第1試合
東家 海王ゴールドバンディッツ
南家 RAKUWAホビーウォーリアーズ
西家 TUNOYAMAパールズ
北家 自由が丘ダイヤモンズ

このようになった。
会議が終わり、宴会場を出た。

「やっと終わりましたね。」
「面白いねぇ。」
「楽しいメンツになりそうだな。」
「ただ、ここからがスタートだよ。気を引き締めなー。」
「はい!」
全員が声をそろえた。

「では、早速ですが、明日から選手交渉に入ります。」
「担当は・・・。」
「俺は自分で言った手前、沖村さんと交渉してみる。」
「分かりました。私は、太平さんと改めて交渉します。」
「俺は、日ノ出さんだな。掛け合ってみよう。」
「じゃ私は、布崎さんですね。分かりました。」

「では、交渉が終わって選手のみなさんの都合がよければ、1回目のミーティングをチームとして行います。慎重かつしっかりアプローチをお願いします。」
「了解。」
「じゃあ解散ってことで。」
「お疲れ~。」

橋口は帰り支度をしていると、金洗が話しかけた。
「うーみん。お腹すいたっしょ?」
「マジですいた。」
「もしよかったら一緒にゴハンでもどう?」
「いいねぇー。行こっか。」
2人は夜の街に消えていった。

第12話へ続く。



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