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祖母が拝み屋を頼って騙されたなんとも後味の悪い話

拝み屋は本物なのか

先日、従兄弟が行方不明になってたぶん死んでる話を書いたが、その際に面白い(面白くはない)ことがあったので書いておこうと思う。
人の弱みに漬け込む人間は意外と身近にいるのかもしれない。

まず最初に……母方の祖母はスピリチュアル的なことを信じる人だった。祖母だけではなく母方の親族は皆信じていた気がする。
そんな祖母には奇妙な習慣があった。毎日小銭を少しずつ貯金していたのだ。なんでも親族や知人が亡くなる日、そのお金を持って枕元に現れるらしい。三途の川の渡し賃ということなのかもしれない。

藁にもすがる思いで・・・

従兄弟が行方不明になり数週間ほど経ったころだったと思う。 親族一同どうやって探していいかわからなくなっていた。
そんなある日、祖母が藁にもすがる思いで頼ったのが所謂「拝み屋」だ。
都会の人には馴染みがないかもしれないが、田舎では霊感で物事を解決する人が割と普通に存在していたりする。東京にもいるが。

祖母はその拝み屋に結構な金額を包んで従兄弟の居場所を見てもらったのだ。
すると拝み屋はなんと、即答で従兄弟の居場所を的確に語った。

「○○の道路を△△方面へ向かった山の中、右側の崖下に車ごと落ちている」

祖母はすぐにこの場所を叔父(従兄弟の父)に伝えた。

叔父はもちろんすぐに探しに行った。
すると言われた通りの場所に従兄弟が乗っていた車が落ちていたのである。
すぐに警察に連絡した。

落ちていた車の正体

警察の回答はこうだ。
「その事故なら我々も把握しています。崖下から車を引き上げるのに必要な重機の手配に時間がかかるためそのままの状態となっています」

どういうことだろう。従兄弟が乗っていた車なら真っ先に連絡がきてもいいのではないか。

事実は意外なものだった。
山中で事故に遭い放置されていたその車は従兄弟が乗っていた車と同じ車種、同じ色だったがナンバーが違ったのである。
要するに赤の他人がそこで事故に遭っただけだった。

拝み屋は祖母から相談を受けるであろうと踏んだうえで従兄弟が乗っていた車を調べ上げ、どこかに同じ車が放置されていないかを血眼で探し出し、あたかも霊感で居場所を言い当てたように演出したのだ。

本物はいるのだろうか

孫を思う一心で拝み屋に頼った祖母だったが、見事に騙されて数十万円を失った。
その後、祖母は親族から怒られた。もちろんお金は返ってくるはずもなく、拝み屋は逃げ切った。

この世界には霊感でトラブルを解決できる人もいるのだろうが、大多数はこの拝み屋のように詐欺まがいのことをしているのかもしれない。
そして”本物“と呼ばれる人は高額な金銭を要求しないと個人的には思っている。

ちなみにこの騒動が起きるよりも前のある日の朝方、祖母の枕元に行方不明の従兄弟が小銭を持って現れたらしい。
つまり祖母は信じたくないだけで従兄弟が亡くなっていることを知っていたのかもしれない。


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