酔狂先生【漢字大好き】

国語科の様々なことを好き勝手な視点からアレヤコレヤと考えてみます。趣味から始まって最終…

酔狂先生【漢字大好き】

国語科の様々なことを好き勝手な視点からアレヤコレヤと考えてみます。趣味から始まって最終的に国語のことになるわけです。伊達と酔狂で言葉にしてみます。

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  • 鑑賞したこと

  • ことばのこと

    国語学、日本語学について考えています。現代はことばが変化しやすい環境になりました。外国語との比較もしてみます。主に中国語と英語を比較対象にすることになると思います。

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    漢字に関することについて考えています。中国語や漢文の話も出てきます。現代の漢字文化をメインにするつもりではいます。とはいえ、成り立ちも考えたい。

最近の記事

物事の捉え方に気を付けるといいという話

 客観的な事実と、それに対する解釈を、混同する人がいる。この2つを上手に分けないと、精神的にすごく疲れる。  例えば、冬、友人と久しぶりにスキーに行くことになったとしよう。スキー板も数年前に処分してしまった。とはいえ、幼少期から学校の授業でスキーをしていた。昔取った杵柄。今でも十分に楽しめる自信がある。友人は北海道の大学を卒業して、関東の企業に就職した。会うのは15年ぶりだ。北海道旅行の計画の中に、なぜか私と会うというだけの日を設定していた。  スキー場でレンタルスキーの

    • 【読書感想文】他者を見ないと自分はわからない【動物のことば】

      『動物たちは何をしゃべっているのか?』(山極寿一、鈴木俊貴)を読み終えたので感想を記しておく。 まず、この書籍は、ゆる言語学ラジオで取り上げられていたので知った。水野さんが編集に携わっている。鈴木先生も、ゲストとして登場している。山極先生は、評論の題材になっていた。本書のラストに「環世界」とい語が出てきて初めて気が付いた。確かにどこかで見たことのある名前だと思っていたが、LT1に取り上げられている文章の著者である。断片的にではあるが読んだことがあった。動物の視点に立とうとす

      • 【読書感想文】教科書のはじめに【京大中年】

        『京大中年』を読んだので、感想を書き残す。 「ロザンの楽屋」というYouTubeチャンネルがある。 漫才コンビのロザンの二人が、楽屋であれやこれや話している。 編集なしの簡素な動画だ。 ただ、さすがは喋りのプロ。ずっと聞いていられる。 視聴していると、いろいろな考え方を教えてくれる。 特に、菅さん。 共感できる部分も多いけれど、この人ほんとうに人の心があるのかと思うこともある。 おもしろい。 「ロザンの楽屋」の中でも言及されることがあるが、勉強するときは、「教科書の《はじ

        • 【読書感想文】広がったけど広がりきってない世界【同志少女】2

          『同士少女よ、敵を撃て』を読んだ。考えたことがいくつかあるので、1つくらい書き残しておこうと思っている。というか、その流れで書く2つ目の文章である。 主人公の少女は学校に連れていかれる。それは狙撃兵の養成学校である。ただし、特殊だ。女性のみの少人数。しかもみんな、帰る場所を失っている。似たような境遇の少女である。それをイリーナが連れてきた。 この場で、新しい世界を教えられることになる。村から出たことのない少女は、違う世界で生きてきた少女たちと出会う。そして、新しい技術を身

        物事の捉え方に気を付けるといいという話

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          【読書感想文】戦争との邂逅、被害者としての意識【同志少女】

          『同士少女よ、敵を撃て』を読んだ。考えたことがいくつかあるので、1つくらい書き残しておこうと思っている。 主人公が戦争と出会う。物語は悲惨なものだった。まずは平凡な生活。田舎だから世間知らず。よく言えば純朴。外の世界に希望を持ちつつ、狭い世界のなかで完結する人生。その予定だった。 平穏な生活は突如として崩れる。侵略者が現れる。その場に居合わせない幸運を主人公は持ち合わせている。そして生き残る。ただ一人生き残ってしまう。絶体絶命の危機を救われる。感情がぐちゃぐちゃである。命

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          文章術を学んだと思う

          篠田義明先生の『ビジネス文・論文・レポートの文章術ー明確な文章の書き方 基本ルールー』を読んだので、感想を残しておく。あくまで感想なので、この文章はビジネス文でもなければ、論文でもないし、もちろんレポートでもない。ルールにのっとっていなくても問題ない、という予防線を張っておく。 まずは、この書籍を購入することになった経緯を記しておく。以前から、文章を書くときに大切なことは「1文を短くすること」だと思っていた。教科書にも書いてあるし、国語の先生も言っていた。だからネット上で「

          文章術を学んだと思う

          わかった気になってしまう

           辻村深月さんの『かがみの孤城』(上下)を読みましたので、感想を書き残します。ネタバレを含みますので、気になる方は避けてください。 描写で感じたこと 視点は主人公「こころ」のものだった。主人公の年齢に合わせた、心情描写が上手だと感じた。それは、想像しきれないものを恐れたり、考えが破綻していたり、少しこどもっぽいところがある。それを、第三者の視点ではなく、主人公の視点から描写していた。考えてみれば、主人公の年齢や境遇をしっかりと意識した描写だったと言える。それゆえに、人物が想

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          「もっかい」を許容する会

          「もっかい」「もう1回」を縮めて言うと「もっかい」になりますよね。聞いたらわかります。文脈にもよるけれども。 縮めることことばって、音声になると、前の音と、後ろの音が重なることがあります。言いやすくするために、発音が変わります。「~というか」が「~てか」になることありますよね。 「もういっかい」「もういっかい」が「もっかい」に変化するとはどういうことかを考えてみます。まず、「もういっかい」の「もう」は伸ばして発声するので「もー」になります。そして、誰にでもわかりやすくする

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          時間の間隔に関する感覚

          正直なところ、私は時間にルーズだと言われるタイプの人間です。 時間を守れと言われることもあります。時間を守れと言われて守れるのならば苦労はしません。そこで、どうして時間を守れないのかを考えてみました。もちろん、ここに書くことのほとんどは、言い訳と愚痴になりますので、お目汚しご勘弁を。 そもそも感覚が違う時間の長さをどのように感じるかは個人によります。同じ5分でも長く感じる人もいるし、短く感じる人もいます。人間関係やその後の予定にも左右されます。それは、決して計算できるもの

          時間の間隔に関する感覚

          そのバトンはイギリス由来

          優子が受け取ったバトン血縁がなんだと言うのか 「そして、バトンは渡された」(瀬尾まいこ著)を読んだので感想を書く。最近は人に勧められて本を読むことがある。現代の小説はこれまでも好んで読むことはなかったので新鮮だ。  主人公の優子には母が2人、父が3人いる。血縁はもちろん1人ずつ。死別からの再婚離婚を繰り返し、血縁のない両親を持ったり、血縁のない父子家庭となったりと、複雑な家庭環境である。  新しく親になる人たちは誰もが優子を愛していた。よりよい親であろうとした。そしてその愛

          そのバトンはイギリス由来

          あなたが何を考えているのか言葉にしてほしい

           中国に留学していた時に、大きめの商業施設に買い物に行ったことがある。スポーツ用品の売り場がどこにあるかわからなかったので、従業員に聞くことにした。大学生を3年やって語学留学をしたのだが、中国語の勉強はそれほどできていなかった。中国で半年と少しの中国語の実力で、中国人に中国語で話しかけるのは勇気のいることだ。勇気を振り絞って話しかけたはいいものの、こちらの発音がよくなかったのだろう、「聞き取れない」と返答された。何度か挑戦したが、返答は同じ。「聞き取れない」は中国語の勉強を始

          あなたが何を考えているのか言葉にしてほしい

          【感想】声を出して笑ってしまった文章【投稿】

           自宅に郵便受けに入っている広報誌は、普段あまり見ることはないのだが、このときはどうしてか目を通してみようと思った。議員の方の文章が載っていて、商業施設の誘致について述べられていた。本当にたまたま読んでみたのである。 回収したくない伏線がある オリンピックの話題など、テレビを見ない私にとっては、あまり関心のないことではあるが、東京オリンピックを前に、「女性は話が長い」旨の失言によって大きく取り上げられた人物がいることは知っている。この女性蔑視発言があり、ジェンダーの問題に取

          【感想】声を出して笑ってしまった文章【投稿】

          【映画】閃光のハサウェイ【歴史を学べ】

          見るまでのこと 映画「閃光のハサウェイ」を見た。日本各地で公開されてから、どこの映画館で見ようかと考えていたのだが、どうにも私の近くには、そのような映画館がなかったので、そのまま見ないでいた。このまま見ないこともありえると思っていたけれど、アマプラで見られるようになったことをどこかで聞いた。  アマプラで映画を見るようになったのは、コロナによる自粛がきっかけだった。洋画をよく見たと思うが、同時に、再生速度を調節し、少し速くして見ていたのだが、今回は、調節なしで見た。ガンダム

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          知っているからこそ漢字を口頭でうまく説明できない人

           紙に書いて説明できない状況で、自分の氏名を漢字で知らせることは難しいことだ。電話口で説明するときにどのように、どのような具体例を示すかは、相手の知識の量にもよる。人によっては、定番があるだろう。有名人の氏名と同じ漢字なら、わかりやすいと思うのは、その年代の人だけだったりする。みんなが一斉に見るコンテンツが少ない現状では、なお一層難しくなっている。 1.なぜ難しいのか 漢字を説明する難しさは、漢字と日本語の性質によっている。それは、同音異字があり、同訓異字があり、同音異義語

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          漢字のこと3「挨」

          「挨」jという漢字について語ります。 音読みは「アイ」。訓読みなんて誰も知らない。 熟語で考えても「挨拶」しか思い浮かばない。 そんな不遇な漢字です。 1.訓読み漢字の読み方には音読みと訓読みがあります。そして、多くの漢字は、音読みも訓読みも複数持っています。日本の学校で学ぶ漢字の読み方は、「常用漢字表」に採用された読み方です。採用されなかった読み方もあります。 「挨」という漢字は、「押す」「迫る」という読み方ができます。また、順序に従うという意味を持っています。そ

          漢字のこと2「哀」

          「哀」という漢字について語ります。 音読みは「アイ」。訓読みは「あわれ」「あわれむ」。 熟語と一緒に意味を考えてみましょう。 1.哀憐「あいれん」と読みます。かわいそうに思うこと。同情すること。「あわれ」という同じ読みを持つ漢字との組み合わせです。使ったことない……。憐憫も哀と組み合わせて熟語が作れるようですが、日本語の文章の中でまあ見ないですね。 2.悲哀「ひあい」と読みます。「哀」は「かなしい」とも読みます。常用漢字表には載っていない読み方ですが、こっちのほうがメ