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『『罪と罰』を読まない』を読んだよ

どうも、草村です

私は『罪と罰』が大好きなので、この本がずっと気になっていた。だって、『罪と罰』を読んだことがない作家が集まって『罪と罰』についてストーリーを予想しながら話し合うんだよ?そんなの面白いに決まっているのだ。

読んでいない作家達はこの対談においてところどころだけ読んでいくのだが、本当に読んでいない割には結構的確なことを言っていたりして面白い。例えば主人公ラスコーリニコフに対して、「家賃が払えなくてびくびくしているのに、すぐ「ふっ、俺ったら」となるところがウザい」と言っていて「分かる、分かる〜」と頷いてしまった。ラスコは現代に居たら絶対ネットでイキってるタイプだよな〜などと私は常々思っている。
実際に読んだ後の対談での、「急に気分変わるマン」、「いきなり帰るマン」、「ほっといてくれマン」というネーミングも良かった。そうそう、やっぱりラスコって奴ァおもしれーよな〜と再認識できて楽しかった。

また、

「一分ほど経ってから、とあって、ドストの間って、だいたい一分なんですよ。大事なシーンだと五分とか書いてある。ちょっと長くなるの。一分も相当長いと思いますけど、五分って、この人たちどれだけボーッとしてるんだ、と思いましたよ。」

というように、思わぬところに気付いたりしていて、とても勉強にもなった。

あと、ラスコの友人のラズミーヒンに関する評判が面白かった。このラズミーヒンという男はとても世話焼きで優しい人であり、ドストオタク界隈の中では、結婚したいドストキャラランキングのトップに入ると言われているぐらい良い人である。しかし、この対談に集まった作家さんたちからは、「暑すぎる」「一緒に居て疲れそう」などと散々な言われ方をしていて衝撃を受けてしまった。ウーン、確かに暑苦しいところもあるけど、アクの強いドストキャラの中ではマトモな方だと思うし、良いと思うけどナア、ラズミーヒン。とか言いつつ私も好きなドストキャラランキング作るとしたらそこまで上位には入って来ないかナア。ちなみにこの本ではじゃあ誰が人気なのかと言うと、スヴィドリガイロフというキャラだった。ウーン、なるほど。
スヴィドリガイロフは不思議なキャラであり、トリックスター的存在なので確かに魅力的だとは思う。しかし、確か結構おじさんだったような...。だからかドストオタク界隈ではそこまで人気のあるイメージは無かった。だが、彼が出てくるシーンは幻想小説の雰囲気があると三浦しをんさんは言っていて、それは分かるような気がする。私は大島弓子さんのコミカライズ版罪と罰がものすごーく好きなのだが、大島さんが描いていたスヴィドリガイロフは確かにものすごく美丈夫で、不思議な魅力をしている、まさに三浦しをんさんが言うような感じだったナアなどと思い出した。
この本を読んでまた『罪と罰』読みたい!!と思ったがいかんせん時間がかかりすぎてしまうので大島さん版を読んだが、こういう時にコミカライズ版は便利だな、と思った。対談では手塚治虫によるコミカライズの話は出たが、大島さん版の話は出なかったのが残念。大島さん版はかなり省略化されているものの、見せるべきところをちゃんと見せている感じがものすごく良かったのだ。

話が少し脱線してしまった。とにかく、『罪と罰』を読んだことがある人は「この予想全然違うやんけ」とニヤニヤしたりとか、「これは読んでて気付かなかったな〜」と逆に感心したりも出来るし、読んだことない人は「思ったより面白そう」、「自分も読んでみようかな...」などと思えるかもしれないので、この本はどっちにもオススメだ。

最後に、この対談で面白かった台詞を引用しておく。

三浦「ラズミーヒン、て誰?響きからして馬?」
三浦「みんな近所に住んでて知り合いなの。サンペテって村なのだろうか。」
三浦「マルメラードフのマはマゾのマ」
並べてみると、全部しをんさんの発言だった!言葉のセンスがものすごいのである。

おまけ:私が前に描いた罪と罰関連の絵

ラスコ、「すぐに気絶するマン」でもあるな〜
ラスコとソーニャ

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