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僕はお世辞が大嫌いだ

「どう?おいしい?」
「うん。すごい美味しいよ。」

彼らは付き合って3か月になるカップルだ。
今日は彼女が、彼氏のために手料理を振舞ってくれた。

はっきり言って、料理はまずかった。
でも、彼女が悲しむのは嫌だったから、
おいしいと言ったのだ。

さて、皆さんならこんなときどうするだろうか。

ある人は言う。
優しい嘘は相手にも自分にも嘘をついていると。
(下の動画はかなり面白いので皆さんぜひ見てみてほしい)

だが一方で、
ばか正直に何でも言う必要はない
世の中には本音と建前があるものだ
相手を傷つけたり悲しませる必要はない

このような意見もあるだろう。

特に大人の世界、社会に出ていけば建前や嘘がはびこっている。

例えば、就活の面接で志望動機を聞かれて、
「知名度と給料と福利厚生の充実ですかね。御社は第6志望です。」
とでも言ったら即刻門前払いだ。顔真っ赤にして怒鳴られるかもしれない。

だからそういう本音を持っている人達は
御社の理念と事業に共感致しましただの何なの、
思ってもいないことを悠長に語るのである。

なぜなら、そうした方が内定をもらいやすいからだ。

一方会社の方だって、社員は夢を持っていますだのいきいき働いてますだの
本当に社員に聞いたのかよ見たいなことを説明会でのたまい、
ブラックなところは入社後まで隠したりごまかしたりする。

なぜなら、そうした方が応募人数が集まるからだ。

それでは、そのような向き合い方をした人達はその後どうなるだろう。
新入社員は、価値観が合わない、やりたいことと違うなどと思い始め、
会社は、3人に1人の新卒に3年以内に辞められて悲鳴を上げている。

短期的には嘘をついて得をしても
長期的には損をしているではないか。


料理の場合はどうだろう?
その時は美味しいと言ったら彼女は喜んでくれるかもしれない。

だがずっと美味しいと嘘をつき続けたら、
彼女の料理はいつまでも上達することはなく、
自分もいつまでもまずい料理を我慢して食べ続けなければならない。

もし結婚したら、一生まずい料理を食べ続けてあなたは幸せだろうか?
一緒に料理の上達に寄り添ってあげる方が余程優しくないか?


僕は、大学1年から3年までイベント制作の学生団体で活動していた。
そこは仲良しこよしのサークルではなく、
団体理念を掲げ、数字で決められた目標達成に向けて
並々ならぬ熱量と労力を注ぎ込んでイベントを作っていた。

少しでも良いイベントを作るため、より大学を盛り上げるためには、
馴れ合いで接し合って本音を出さないのは悪だった。
お世辞や忖度は邪魔でしかなかった。
対立や衝突が起こっても腹を割って話し合わなきゃダメだし、
足りないところは皆でしっかりフィードバックをする必要があった。

僕が動画を仮完成させて全体会議でメンバーに見せれば
皆から容赦のないフィードバックが集まった。
「素晴らしい!直すところなんてない!最高!」
そんなお世辞コメントが最初から貰えることなんてまずありえない。
でもそういう意見を集めて何度も何度も修正を重ね、
かっこいい!すごい!最高!と
お世辞ではなく心から言ってもらえるレベルに仕上げたからこそ、
本番で会場の500人を沸かせ、目標を達成できたのだ。

本当に相手のことを思っているなら、
お世辞や忖度、嘘は悪だ。
短期的には相手のためだと思えても、
長期的には相手のためにならない。


ただし、もちろん
「この料理まっずいな」とか
「この動画だっせえな」などと言うべきではない。

先程貼った動画の中で、

人を傷つけるのは「本音」ではなく「伝え方」

と語られている。

例えば、料理の場合だったら
「今度一緒に作ろうよ!もっとうまく作れるよ!」
と言ってあげたらどうだろうか?

動画のフィードバックなら、
「ここをこうすればもっと良くなるよ!」
「こういう感じにしたらかっこ良くなりそう!」
という風にアドバイスするのだ。

そこに嘘やお世辞は一切存在しない。

相手が嫌な気持ちをすることもなく、
腕も上達していくことだろう。


以上の理由から、僕はお世辞を言わないようにしている。

せっかく自分に感想を求めてきてくれた人を
裸の王様にするようなことを僕は口が裂けても言えない。

もちろん、余計なことまで何でも正直に言うわけではない。
触れなくていいことにはいちいち触れないし、
場合によってはお茶を濁すことだってある。

ただお世辞だけは決して言わない。
そう自分の中で決めている。

だから僕が良いといったものは本当に良いと思っているし、
僕が嬉しいといったら本当に嬉しいと思ってもらっていい。

それで人生うまくいかないことがあっても、僕はそれでいい。
ゴマすり忖度で出世する人がいても悪くいうつもりもない。

ただ自分の心には正直に生きる。
それが僕のささやかなわがままだ

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