洋食はうれしいものだ
「今日、洋食食べに行こうか」と父が言うと、それだけで胸が躍った。
具体的に何を食べにいくのか、どこにいくのか、全くわからないけれど、僕は洋食を食べにいくのだ、と書いた札を背中に貼り付けて、町内を回りたい気分だった。
辿り着いた洋食屋は、別段きれいでもなんでもなく、むしろ古びていて、少しくすんでいたけれど、逆にそういう店が一番うまい、とやけに大人びていた中学生だった。
メニューもシミがあって、いつ撮影したものだろう、という料理の写真がついていて、でもどれも魅力的に見えた僕は、