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令和源氏物語 宇治の恋華 第百六十七話
第百六十七話 浮舟(三十一)
まるで心が砕けたように痛い。
信じたものが儚く消え去ったのが虚しくて、とめどなく溢れる涙を抑えきれぬまま、浮舟は目を醒ましました。
今、見聞きしたものは夢であったのか。
果たして惑うものは心がその身を抜け出て彷徨うこともあるという。
ならばあれは真実のことであるに違いない。
薫君が自分に向けたまなざしの向こうには恋しい女人への尽きぬ想いがあり、匂宮の心を蕩かす
令和源氏物語 宇治の恋華 第百六十六話
第百六十六話 浮舟(三十)
何やら具合が悪そうに臥した娘が可哀そうで、常陸の守の北の方は子供の頃に聞かせた子守唄を歌いながら優しく手を握りました。
「何も心配することはありませんよ。ゆっくりお休みなさい」
その心地よさにいつしかうとうとと、浮舟はようやく安らかな眠りに引き込まれてゆくようです。
姫がすっかり寝息を立てはじめると北の方はこの宇治にはもう来ることも無いであろう、と一人寂しく取り残さ
平安貴族みたいに暮らしたい
みなさん、こんにちは。
次回、『令和源氏物語 宇治の恋華 第百六十話』は明日6月6日(木)に掲載させていただきます。
本日は平安に思いを馳せる女子のダラダラ本音エッセイ(???)でしょうか。
私は源氏物語を現代語版にアレンジして掲載しておりますが、その前には落窪物語や以前アメブロで竹取物語なども書き下ろして掲載しておりました。
そして文様のことも日々綴っておりまして、けっこう平安時代には詳しいほ
『光る君へ』第22話を観て・・・ ※ネタバレあり
みなさん、こんにちは。
『宇治の恋華 第百六十六話』は6月6日に掲載させていただきます。(アッ、6並びですね❕)
本日は『光る君へ』第22話を視聴しての感想です。
タイトルは「越前の出会い」でした。
受領について
舞台は越前に移り、生真面目な為時(岸谷五郎さん)は国府に入る前にさっそく松原客館を訪れて宋人の様子を視察しました。
ここで少し受領という職について補足しておきましょう。
中央から地
令和源氏物語 宇治の恋華 第百六十五話
第百六十五話 浮舟(二十九)
娘(浮舟)の加減が悪いと聞いた常陸の守の北の方は、末娘のお産につき祈祷や読経で邸中が慌ただしく浮足立っておりましたが、どうにも心配になり、様子を伺おうと宇治へと赴きました。
久しぶりに見る娘は洗練された装束を着こなし、女性らしく匂やかな乙女となって磨かれて、薫君に大切にしてもらっているのだと安堵する母ですが、たしかに以前よりも痩せ細って悩ましげに伏していられるのが
令和源氏物語 宇治の恋華 第百六十四話
第百六十四話 浮舟(二十八)
薫は少し前から進めていた浮舟の為の邸の造作に本格的に取り掛かることにしました。
しかしながら表だって仰々しくして、薫右大将は女を迎える為に邸をこしらえている、と噂されては見苦しいものです。
密かに整えようと信頼する家司に差配を任せました。
運命とはまったく皮肉なもので、この家司こそ大蔵の大夫・仲信という、娘婿にあの匂宮の小飼いである大内記・道定を持つ者なのでした。