令和源氏物語 宇治の恋華 第百五十一話
第百五十一話 浮舟(十五)
夜になると匂宮の乳兄弟・大夫の時方が京から戻って来ました。
やはり宮の行方知れずは騒動となっており、母君の明石の中宮も二条院へ何度も人を遣らせて気遣いなさったのだとか。
さすがに賢い母君なれば息子の素行に察しがつくらしく、ようよう御諫めするよう宮の側近達をお叱りになったようです。
時方は機転の利く若者ですので、中宮の御使者に宮は思い立って東山の尊い聖に会うために出掛けられました、と言いつくろいました。
これまで信心など見せたことのない宮とて、そ