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大切なあなたにアメジストを贈ろう。

 今日は結婚記念日である。
 
 式を挙げたのは今から17年前の2006年になる。

 それから紆余曲折を経て現在に至る。

 私は記念日マニアなので誕生日やおめでたい日の事はすべて記憶しているがズボラな妻は大体の事を忘れている。

 それでも結婚して数年は二人でしっぽりと祝ったものである。

 近所の少し高い焼肉屋さんに行ったり、回らないお寿司屋さんに足を運んだりと食べる事がメインになることが多かった。

 プレゼント交換も最初のうちはやっていた。

 私はピアスとかネックレスと言ったアクセサリーを贈っていた。

 妻からは図書カードや商品券と言った実用的なものを貰っていた。

 いつの間にかその習慣はやらなくなった。

 それでも今日は朝に出会った時にどちらからともなくおめでとうと言いあった。

 私たちが結婚式を挙げたのは海辺の式場でロケーションは抜群に良かった。

 妻がお色直しにこだわったので式の間に三回着替えるという強行軍でその度に私も会場から退場しなければいけなかったのでとても忙しかった。

 この式場の売りは専属のコックさんが作る創作中華で下見をした時に食べた味が忘れられなかったのでそのコースをお願いした。

 しかしバタバタと席を外しているので味わう暇が全くなかった。

 ほんの少し時間があって座っていると友達や弟が意地の悪そうな顔をしてビール瓶を持ってやってきた。

 ほら、飲め飲めとはやされるので私も意地になってカパカパとグラスを空けた。

 高砂のテーブルの下には飲めない人用にお酒を捨てるバケツが置いてあるのだが、お酒の一滴は血の一滴と思っていた私には飲み干さない選択肢はなかった。

 ウグウグとビールを飲んでいるとやれ日本酒だ、ワインだと色々なお酒を注がれた。

 またすぐに妻の着替えに付き合わないといけないのでゆっくり料理を食べている暇はない。

 なので空酒で浴びるように飲んだ。

 さすがに式の後半ではかなり酔ってきた。

 ああ、のどが渇くなぁと思いつつ妻のドレス姿を見て綺麗だなと思っていた。

 式の余興にやったのは季節柄楽しそうなスイカ割りでこれは小さい子にかなりウケた。

 何人かでチャレンジして最後に私の番になった。

 目隠しを少しだけずらして視界は良好だった。

 あからさまなズルだが式の盛り上がりを決める大事な場面だった。

 クルクルと回されていざ勝負。

 その時にお酒も回ってきて視界がぐんにゃりとゆがんだ。

 みんなの右!左!まっすぐ!と言う声に合わせてスイカの前に立って思い切り棒を振り下ろした。

 しかし手ごたえは無くてスカッと空振りしてしまった。

 あ~あと会場の空気が微妙なものになったのですかさず二の太刀を浴びせて今度は見事にスイカは真っ二つになった。

 それで何となく格好がついたので余興はお開き。

 後は会場に戻ってフィナーレにバルーンスパークをやって式はまあまあの盛況でお開き。

 式が終わった後も酔っていたのであまり細かい事は覚えていない。
 
 次の日がひどい二日酔いだったことは記憶に刻まれている。

 あの日から十七年、これからも妻と二人三脚で生きていきたい。

 そんな事を思いながら昨日の晩御飯の話もしよう。

 昨日は少しだけ買い物をして帰宅。

 まずは副菜から。

 エノキを石突を落として半分に切る。

 ほぐしながら耐熱容器に入れてそこに醤油とみりんを加える。

 後はバターを一欠け入れてレンジで二分チン。

 アツアツのうちにかき混ぜてエノキのバター醤油炒めの完成。

 メインは豚肉を使う。

 玉ねぎを細切り。
 
 豚肉はバラ肉、片栗粉をまぶしておいておく。

 次にタレづくり、新ショウガを摺り下ろして醤油、みりん、砂糖、ケチャップを混ぜた特製あわせダレを作る。

 フライパンに油を敷いて火を点ける。

 そこに豚肉と玉ねぎを投入。
 
 豚肉に火が通るまでしっかりと炒める。
 
 下味に塩コショウ。

 そこに合わせダレをドバリと流し込む。

 少しだけ煮込んで味を馴染ませたら洋風生姜焼きの出来上がり。

 ご飯はこの間の炊き込みご飯を解凍した。

 ようし、今日はこんなものかなと思って妻を呼ぶ。

 昨日のお酒はチューハイ。
 
 氷をパンパンに詰めたグラスに芋焼酎を注いでテッテッテと炭酸水を注ぐ。

 一度だけステアしたら乾杯。

 爽やかな炭酸の刺激と芋焼酎のほんのりした甘さが嬉しい。

 これこれ、これですよと言いながらあっという間に一杯目を飲み干す。

 二杯目を作りながらエノキをつまむ。

 バター入りのなめたけという感じでなかなかボリュームのある味だった。

 妻が結構前からエノキを食べたいと言っていたのでリクエストにお答えした形である。

 チューハイをキビッと飲みながら生姜焼きを食べる。

 摺り下ろしたてのショウガの爽やかな風味が口の中を駆け巡る。

 味付けに使ったケチャップのおかげでどこかの洋食店で出てくるような味わいになっていた。

 ほんのり甘くてピリッと刺激があるのでお酒によく合った。

 全部食べきったらお腹いっぱいになった。

 お酒はやや多めの四杯。

 まあほとんどが氷なので酔いはそうでもなかった。

 片づけをしてさて、明日の記念日は何を作ろうかなと考えた。

 やっぱりアレかしらいやいやこれでしょうと候補がいくつかある。

 まずは買い物かな。

 一年に一度の記念日、大切に過ごしたい。
 
 こんなに頼りない私の側にいてくれる彼女に感謝。

 妻よ、世界で一番愛してる。

 

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