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すきすきおじいちゃん。

 今日は8月14日、お盆の真っ最中である。

 スーパーに行くと仏花やお供え物が入口の一番目立つ場所に陳列されておりお墓参りに行かなくてはという気持ちになる。
 
 私の祖父母のお墓は実家から歩いて五分の所にあるので気軽に参れる。

 お義父さんのお墓も近所にあるので行こうと思えばすぐに足を運べる。

 問題は妻の本家のお墓でこれが案外遠い。

 車で一時間半かかるのである程度予定を立てて行動しないといけない。

 最後に参ったのは一年前なので今年もそろそろ行かなければならない。

 結婚してすぐの頃はお盆になると妻のお爺さんの家によく遊びに行ったものである。

 その頃はまだお義父さんが存命だったのでお義母さんと妻と私の四人で尋ねた。
 
 お爺さんは私たちが訪問することを心待ちにしていたようでいつ行っても冷え冷えのビールとお刺身とお寿司が用意されていた。

 妻のお婆さんは早くに亡くなったのでお爺さんは独り身が長かったので家事の手際もとても良かった。

 日ごろ人と話すことがあまりないのか私たちが行くと、ビールをぐびぐび飲みながら自分の昔話をするのが大好きだった。

 よく聞いていたのは四十歳になるまで定職に就けずに貧困の極みだったが知人の紹介で大きな工場に就職することが出来て定年まで勤めあげたことが自慢話の一つだった。

 他には住んでいた家が築百年近い古民家だったので手入れが大変な事と家のあちこちの不具合も多少の事なら全部自分で直してきたという話である。

 私は孫の婿という事でお爺さんにいたく気に入られていた。

 お爺さんは酔ってくると昔のアルバムをよく見せてくれた。

 そこにはまだ幼い妻の姿もあったが何せ小さい頃なので本人はまるで覚えていなかった。

 アルバムタイムが終わると今度は自慢の鉄道のビデオを見せてくれる。

 これはお爺ちゃんが全国の鉄道で撮ってきたものでずいぶん昔の映像もあった。

 お爺ちゃんはこだわりの強い撮り鉄だったようで映像の角度やこの電車がなぜ貴重かという事を熱っぽく語ってくれた。

 仕事が鉄道の車両関係だったので天職だったとよく言っていたものである。

 そうして何時間か過ごして少し日差しが傾いてきたらお墓参りに出かけた。

 日ごろからお爺ちゃんが手入れをしているのでお墓はいつも雑草一本もない綺麗な状態だった。

 お花を活けてお供え物を供えて線香に火を点けて順番に手を合わせていく。
 
 お参りが終わって家に戻ったらそろそろお暇の時間である。

 お爺ちゃんに帰りますと言うとまだええじゃろと言って寂しそうにしていた。
 
 その姿を見るといつまでも居たくなったがせっかちなお義父さんがまた来るからと言って外に出ると引き留めはされなかった。

 若い頃はそんな感じでお盆の一日を過ごしていたものだった。
 
 お爺ちゃんが亡くなって十三回忌も終わったので、この思い出も少しぼやけてきた。

 今はもう誰も住んでいないあの百年屋敷に久しぶりに上がってみたいなと思う。

 手先が不器用なので修繕とかはとてもじゃないができないけれど。

 そんな事を考えながら昨日の晩御飯の話を少しだけしたい。

 昨日はお盆の初日だったのでちょっと豪華版な晩御飯。

 まずは副菜から作る。

 豆苗を洗って四等分に切り分ける。

 ニンニクをスライスする。

 フライパンに油を敷いてそこにニンニクを入れる。

 香りが立ったら豆苗を入れてサッと炒める。

 味付けは醤油と塩コショウ。

 これで豆苗のニンニク炒めの完成。

 もう一品副菜を作る。

 カニカマをほぐしておく。

 しいたけを薄くスライス。

 卵を二個溶いて鶏ガラスープの素、醤油を少し入れる。

 そこにカニカマとしいたけを入れて軽くかき混ぜる。

 耐熱容器に入れてレンジでチン。

 卵の底が固まったら軽くかき混ぜて再びチン。

 これでカニカマオムレツの出来上がり。

 次はメインを作る。

 あらかじめ冷蔵庫から取り出して常温に戻しておいた牛肉の筋切りをする。

 軽く塩コショウをしたら油を敷いて熱したフライパンで両面を焼く。

 ある程度火が通ったらアルミホイルで包んで余熱で火を通す。

 ステーキソースはわさび醤油で決まり。
 
 これでお盆ご飯の完成。

 妻を呼んでいただきます。

 昨日のお酒はチューハイ。

 グラスにテッテコテッと注いで乾杯。

 チュッと飲むと炭酸の刺激が心地いい。
 
 少し甘い味がしてたまにはいいなと思える。

 では豆苗から食べる。

 ニンニクの香ばしさと豆苗のシャキシャキした歯ごたえがなかなかいい。

 豆苗は炒めすぎないのが美味しく食べるコツである。

 次はカニカマオムレツ。

 レンチンなので焦げ目もなくふんわりした仕上がり。
 
 ハクッと食べるとカニカマの旨味としいたけの出汁の効いた味が合わさって奥深い味になっていた。
 
 うんうん、これはおつまみだなと思って食べた。

 二本目のお酒をパスッと開けてツピツピ。

 ではメインのステーキを食べる。
 
 厚みはそれほどでもないが口に運ぶとお肉のギュムギュムした歯ごたえが心地いい。

 赤身肉だが余熱で火を通しているので柔らかくて味が濃い。

 わさび醤油をつけて食べるとツンとした辛みとお肉との相性が抜群である。

 その昔マンガで覚えた食べ方だがこれが簡単でいい。

 お肉好きの妻も嬉しそうにモリモリ食べていた。

 お腹いっぱいになるまで食べてご馳走様。
 
 お酒は控えめに二本でおしまい。

 簡単に後片付けをして早めに就寝。

 お盆シーズン真っただ中。

 皆さんもお墓参りに行かれていますか?

 お爺ちゃん、もうすぐお参りに行きますから待っていてくださいね。

 そうそう、笑うと前歯が一本なかったっけ。

  

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