【読書記録】2022年3月

ごきげんよう。ゆきです。

久しぶりにミステリーにどっぷり浸かった1ヶ月。充実でした。膝に愛おしい息子を寝かせながらどんどん人が死んでいく物語を読むのはどうかと思いますが(笑)、やはり好きな物に費やす時間が少しでもあると心の余裕が違います。読書が趣味でよかったなと、産後なおさら実感しているところです。特に音も立たないし、子どもを起こすことなく楽しめますもんね。

今月は3冊でした。以下読書記録、お付き合いくださいませ。

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神の書、“The Book”を探し求める者、放浪の数学者・十和田只人が記者・陸奥藍子と訪れたのは、狂気の天才建築学者・驫木煬の巨大にして奇怪な邸宅“眼球堂”だった。二人と共に招かれた各界の天才たちを次々と事件と謎が見舞う。密室、館。メフィスト賞受賞作にして「堂」シリーズ第一作となった傑作本格ミステリ!

とにかく私メフィスト賞に(略)

ドラマ『TRICK』『ストロベリーナイト』『時効警察』、森博嗣『S&Mシリーズ』、西尾維新『戯言シリーズ』等々、男女のバディものがとても好きなので、こちらも読み始めから興奮してしまった。天才男性数学者とそれを追う女性ライターという関係の2人が事件に立ち向かう。それだけで私のテンションは上がる。

そもそもこの本に惹かれたきっかけは表紙で、これを舞台にしたミステリーを読みたいと思ったのが発端だったのだが、本編に登場するのはこの建物ではないので拍子抜け。あくまで「それっぽい」デザインなだけなので、未読な方は騙されないでいただきたい。でもシリーズを通してこのスタイリッシュな表紙、個人的には大好き。

内容は、普通に面白かった。なんだろう、本当に「普通に」面白かった。逆に言えば、突出した特徴や面白さは感じられなかったかも。この本のウリである建物のカラクリは種明かし前に気付いてしまったし、犯人も勘づくし。それでも最初に間取り図を見た時のワクワク感だったり、事件の大胆なトリックは好感度◎。エピローグで本編の様相が一変するのも、定番の流れではあるが大好物。

読みながら薄々感じていた違和感をちゃんと自分の中で消化出来ていたら、この本の真実が完全に掌握できたなぁと悔しさが残る。主人公が数学者なので致し方ないことだが数学の話がくどかったり、メインの2人の会話がもどかしかったりして途中で読むのに疲れた。続編に着手するかは検討中。

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嵐で孤立した館で起きた殺人事件!国民的娯楽番組「推理闘技場」に出演したミステリー読みのプロたちが、早い者勝ちで謎解きに挑む。誰もが怪しく思える伏線に満ちた難題の答えは何と15通り!そして番組の裏でも不穏な動きが…。多重解決の究極にしてミステリー・ランキングを席巻した怒涛の傑作!!

ミステリの教科書のような1冊。ミステリ初心者はまずこれを読んでおけば、あらかたの推理小説の手ほどきの仕方が学べると思う。なにせ1つの事件で15もの答えが出てくるのだ。どこをキーとするかで結論がみるみる変化していく有様はとても面白かった。

結局本題のミステリの結末はずっこける内容ではあったものの、本書全体としての結末はエンタメ感満載で楽しめた。司会者の語り口の軽さと毒舌さがクセになる。サクッと読めるのでいい気分転換になった。

巻末の辻さんの解説も好み。私は解説で小難しい話をダラダラと書かれるのがあまり好きではなく、純粋に作品に抱いた感動や筆者の特徴などが知人故の気軽さで書いてあるのが好きなのだがまさにこちらはそんな感じ。

筆者が他の全仕事を一旦中断して書き上げたという本書、ミステリ初心者はもちろん玄人の力試しとしてもおすすめしたい。

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小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。

前作を読んだのはちょうど1年前くらいだったか。当時は「続編はしばらくいいかな〜」と思っていたが、米澤ワールドが恋しくなって読了。すっかりファンになっている。直木賞受賞おめでとうございます。

読み始めて間もなく「あぁそうだそうだ、こんな感じだった」と、小市民を目指す2人の雰囲気の懐かしさにのまれていった。前作より今作の方が好き。短編集のような構成でいて、1冊かけて大きな1つの事件を紐解いていく。今作の小山内さん、とってもよかったな。強くて冷たくて、でもまだ心は大人になりきれていない高校生の小山内さんの姿に胸がきゅっとなる。

ほろ苦い終わり方に切なくなり、主人公2人の関係性の続きを読むのが怖くて続編に手を出すまでにまた時間を要しそう。ひとまず甘いものを食べながら次どうしようか考えよう。

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三者三様のミステリでした。重ためのミステリが好物なので、この中だったら『眼球堂〜』の雰囲気が一番好きでしたね。でも『ミステリー・アリーナ』の軽い雰囲気も、『夏季限定〜』の誰も死なない日常系も満足。やはりミステリは面白い。

月のテーマを決めて読書したいなと思いつつ、1ヶ月に読める量がそこまでないので縛りを作る意味もないかな、と思ったりもして悶々としています。創元推理文庫縛り、女性作家縛り、短編集縛り(2回目)あたりは実現したいですね。うーんどれも楽しめそう。とりあえず4月は雑食予定なので5月以降の自分に期待!

今回もお付き合いいただきありがとうございました。

またお会いしましょう。ゆきでした。

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