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天と地の硲で~ある舞台へのオマージュ~

切り取られた空間
ひとりの人
影と光

時が止まったかのように
静寂の中に佇む

空間の中に
透明な血液
微動だにしない風
濡れることのない雨
音のない稲妻
輝きを持たない星
流離う人々

現実世界とは違う
別世界がそこに広がる

ないはずのものが
あるように錯覚する魔法
見えないものが
いつしか
見えてくる

どこからか聞こえる声
別世界が現実世界と
重なっていく催眠術
別世界と現実世界の
境界線が
霞んでゆく

釘付けになる瞳
研ぎ澄まされた耳
掴み離されない心

いつしか魂は
至る所を飛び回る

ああ躍動
散りばめられた
花弁の中から
響いてくる鼓動
やがて
魔法と催眠術は解ける

気が付くと
別世界から
現実世界へ
戻ってきていた

そして
終わりのない持続

どれほど
空に向かって
手を伸ばしても届くことはない
それでも
人は絶えず
空に向かって
手を伸ばし続けるだろう

影と光
ひとりの人
切り取られた空間

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