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ヒップホップ

 「呪術廻戦」という、人気アニメがある。
 当初はあまり興味がなかったのだが……実は最初のシーズンのEDで、ヒップホップダンスを踊るシーンが出てくる。イラストのセンスもあって、実際のアニメ以上にハマったものであった。


 もとよりダンスなどは完全な門外で、一切判ってはいないのだが……テレビなとでダンスシーンがあると、以前からつい見入ってしまったものだ。
 時には、曲芸紛いのブレークダンスなんぞにたまげ、仮に十代だとしても無理とは思うが……軽いステップのダンスならば、ちょっと演じてみたいと思ったこともある。

 とにかく、理屈抜きでカッコいいのだ!

 いずれにしても70年代、ストリートで生まれたとあって、他のダンスのようなシカツメラシイ決まりがない。カッコ良ければ、何でもあり……という自由さは、まさに僕好みである。

 僕の偏見かも知れないが、ストリート生まれと言うからには、ある種の悪……いっそ反体制のイメージを持ってしまう。

 思えば、かってヒッピー文化というのがあって、その対極であるスクエア……要は、四角四面の体制側に対するカウンターカルチャーの位置づけであったと思う。

 僕の憶測ではあるが……このヒッピーと最近のヒップホップとの関連をつい考えてしまう。そう。ヒップホップには、やはり体制的スクエアとは真逆の反体制的なイメージが付き纏う。
 確かに、曲芸まがいのダンスなど、伝統的なソシアルダンス側から見れば、眉を顰めるかも知れない。

 スクエア嫌いの僕としては、いっそ喝采なのだが……どうもここに至って、状況が変化しているような気がするのだ。

 なんでも、かかるダンスが学校の授業に取り入れられているのみならず、シニア世代では、健康促進のタメの体操として人気を集めているとも聞く。

 気がつかないうちに、ヒップホップのカッコ良さ(hip・hopのヒップはカッコいいという意味のcoolに通じる)が……「lame(ダサい)」に落ちぶれてしまう恐れを持ってしまうのだ。

 だいたい若い連中というのは、少なからず反抗的であり、ある種の「悪」を愛し、親世代の「体制」に嫌悪感を持つものである。
 しかし、多くの場合、彼らもやがては馬齢を重ね……知らず親世代同様の「体制」に飲み込まれてしまいがちである。

 当時の反逆心を「若気のいたり」などと、腹の出始めたサラリーマンどもが、居酒屋で自嘲気味に語る姿を垣間見たこともあった。正直言って、ぶんなぐってやりたかったが……

 確かに「体制」とは強かで、スクエアの仮面を被りながらも、むしろアメーバーのような柔軟性も秘めているのかも知れない。

 僕は少なくとも、スクエアの檻の中で踊るhip・hop……いや、lame・hopなど、断じて見たくはないのだが……

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