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【週末投稿】つれづれ有用植物#176(ヘゴ科ヘゴ属:ヘゴ)

シダと言うと小さな草木を思い浮かべるかもしれない。
日本人とは古くから馴染みのある植物で、観賞用にミズゴケなどを芯にして詰めた「忍ぶ玉」に使われる「シノブ」や、山菜などで有名な「ワラビ」や「ゼンマイ」などもシダ類に分類される。

今回ご紹介するシダ類の「ヘゴ」は、樹木状になるシダ植物です。
2~3億年前に出現した現存する木生シダ植物で、恐竜と同時代に栄えた植物であるため、科学界では古生物と地球の進化を研究する「生きた化石」と呼ばれています。

紀伊半島南部や八丈島を北限とし、四国、九州南部、屋久島より南でよくみかけられます。また小笠原諸島にも分布しています。茎は約4mくらいになりますが、近縁種の「ヒカゲヘゴ」は大形で高さ7メートルに達するそうです。海外では琉球、台湾・中国南部・インドシナ半島からヒマラヤにかけて分布しています。

シダ類のライフサイクルは「単相世代」と「副相世代」があり、私たちが普段目にする植物体は「副相世代」になります。
成熟した葉の裏から胞子が放出され、湿った岩などに付着すると、発芽して前葉体という配偶体を作ります。その前葉体上では違った場所に造精器と造卵器が作られます。造精器で作られた鞭毛(べんもう)を持ったシダの精子が造卵器の卵に泳いでいって受精が完了し、副相世代になります。

■金作原原生林(約4分)
Travel Guide KAGOSHIMA 様
https://www.youtube.com/watch?v=8aLDK2Mx3Sk

ヘゴは観賞用の他にも有用植物として利用されています。

■ヘゴ板(着生植物の栽培に利用)
ヘゴ科の茎は肥大成長はしませんが、茎から出る無数の不定根に厚く覆われ、基部が太くなります。この不定根の層は湿度と空気とを適度に保持するため、着生のランやシダ類の栽培に適し、ヘゴ板として市販されます。

【この後不定近が大量で茎を覆いつくす】
【ヘゴの幹に着生している植物】

■食用にされる
ゼンマイ状に伸びた新芽は山菜として利用されることもあります。
しごく様に洗い毛を落とし、先端に向かって3~5mm程の厚さで表皮を剥きます。食べやすいように小さく切って、刺身や湯がいたり天ぷらにして食べます。
もいだ新芽は、時間が経つと皮を剥いたリンゴの様に薄茶色に変色しますが食用には問題ないそうです。

また、茎はデンプンを多量に含むため、かつてはニュージーランドをはじめ多くの地域で、原住民がこれを食用としていたそうです。

■併せて読みたい(Let's Green Life)
太古のロマン、ヘゴに想いを馳せる!


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