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おかしな「誰かと一緒にいて気まずい時の言動」 ~アニメ「げんしけん」の場合 #5

斑目「……向こうもさすがにまずいと思ってんじゃないのか?邪険な断り方して悪かったとか、このまま帰ったら感じ悪いとか」

アニメ「げんしけん」(第9話)


◆概要

【おかしな「誰かと一緒にいて気まずい時の言動」】は「コメディシーン、ギャグ」に関するアイデア。


◆事例研究

◇事例:アニメ「げんしけん」(第9話)

▶1

本作の主要キャラの1人・斑目(男子大学生)。

彼は、

・特徴1:とある大学のサークル「現代視覚文化研究会(げんしけん)」の会長である。「げんしけん」はオタクの巣窟であり、もちろん斑目自身もアニメやゲームを愛するバリバリのオタクだ

・特徴2:気心の知れた相手以外とのコミュニケーションが不得手である。特に女性とのコミュニケーションには強烈な苦手意識を持っている。


▶2

ある日のこと。

斑目がいつものように部室のドアを開くと、中にいたのは春日部1人。彼女はマンガを読んでいた。

斑目は思わずビクッ、体を震わせた。


というのも春日部は、

・特徴1:美人でオシャレ、そして気の強い女子大生(斑目の1つ後輩)だ。オタクとは無縁の存在であり、というかむしろオタクを嫌っている。まぁ要するに、斑目が最も不得手とするタイプの女性なのだ。

・特徴2:オタクではないもののとある事情からちょくちょく部室に顔を出しており、斑目とは顔見知りである。だが……じつは斑目と春日部が2人きりになるのはこれが初めてのことだった


春日部は、斑目の存在を無視してマンガを読み続ける。

一方の斑目。彼は気まずい。超気まずい。静寂が息苦しい。うっ。どうしよう。何か話しかけるべきか?でも何を?気まずいぞ。あまりにも気まずい!


・Step1:気まずい状況をどうにかして打開すべく、会話のネタを探したり、自販機でドリンクを買ってきてそれをおごろうとしたり、斑目は様々トライする。しかし何ひとつとして上手くいかぬ!どう足掻いても春日部は不愛想で「あっそ」「で?」などとしか言ってくれないのだ。会話にならない!

・Step2:斑目は心の中で頭を抱えた。クソ!どうすればいいんだ!!

・Step3:だが、やがて気がついた「……向こうもさすがにまずいと思ってんじゃないのか?邪険な断り方して悪かったとか、このまま帰ったら感じ悪いとか」。斑目は確信する。そうだ!そうに違いない!よし、普通に話しかけてみよう!!

・Step4:かくして斑目は訊いた「最近どうよ?」。

・Step5:さすがの春日部も話に乗ってくるはず……と思いきや、彼女はまったくの無反応。完全に無視である。

・Step6:だが斑目は諦めない。というか、一度話しかけてしまった以上、引っ込みがつかなくなっているのだろう。再び問うた「何かあった?」。

・Step7:春日部はいかにも面倒くさそうに口を開いた「……何が?」

・Step8:斑目が答える「高坂とか」。高坂とは春日部のカレシのことである。斑目は話題を探す。しかし、他には思いつかない。ゆえに続けた「……高坂とか」。

・Step9:すると春日部はやはり素っ気なく「別に」


▶3

「向こうもさすがにまずいと思ってんじゃないのか?邪険な断り方をして悪かったとか、このまま帰ったら感じ悪いとか」と気づいた斑目。

直後彼は確信する。そうだ、そうに違いない!

かくして改めて声をかけたわけだが……嗚呼、すべては斑目の希望的観測にすぎなかった!春日部はそんなことはちっとも思っていなかったのだ!!(というか、春日部が不愛想で斑目を邪険に扱うのは、「いまマンガを読んでるんだから話しかけないでよね」「別に私ら仲よしじゃないし、無理に話さなくてよくね?」「気まずい?ふぅん。私は別に気まずくないけど」「っていうか私、あんたらオタクのこと嫌いなんだけど」と思っているからだろう。別段意地悪をしているわけではない)


「もうダメだ!現実と希望的観測がごっちゃになっている(笑)」「春日部さんがそんな風に思うキャラではないことは、斑目、これまでしょっぱい対応をされ続けてきたお前が一番よくわかっているだろ!(笑)」「何をやっても上手くいかず、それがトラウマになっているんだろうなぁ。斑目は現実を直視できなくなっているようだ(笑)」と思わず噴き出してしまった鑑賞者は少なくないだろう。


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