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「『ヒーローを倒したい金持ち』が『ヒーローを倒し得る実力者』を支援する」という形でタッグを組む→しかし「実力者」が平然と裏切る

ハマー「スポンサーに、私がなってあげよう!」

映画「アイアンマン2」


◆概要

ヒーローものでは、【打倒ヒーローのために複数の敵が手を組む】という展開を見かけることがある。

【「『ヒーローを倒したい金持ち』が『ヒーローを倒し得る実力者』を支援する」という形でタッグを組む→しかし「実力者」が平然と裏切る】はその一例。


◆事例研究

◇事例:映画「アイアンマン2」

▶1

本作の主人公は、トニー(男性、40歳頃)。

彼はスーパーヒーロー「アイアンマン」の中の人である。

なお……

・Point1:スーパーヒーローといえば魔法使いや異世界人、人体実験によって超人的なパワーを手に入れた者も少なくないが、しかしトニーはその類ではない。彼は生身の人間だ。アイアンマンの怪力や防御力、飛行能力などはすべて「アーマー(=パワードスーツ)」に依存している。

・Point2:トニーは天才発明家。自らアーマーを開発した。

・Point3:トニーは世界的大企業「スターク社」のCEOである。


▶2

一方、本作の敵はハマー(男性、40歳頃)と、ヴァンコ(男性、50-60代頃)。この2人がタッグを組み、トニー(=アイアンマン)に襲いかかる。

以下、経緯をまとめてみよう。


<前提>

・Step1:ハマーは「ハマー社」のCEOだ。そして彼は、同じCEOとしてトニーをライバル視していた。トニーの鼻を明かしてやりたい、スターク社を追い抜いてやりたいと考えていた。具体的には「アイアンマンを上回るアーマーを開発して → 米軍に納入 → 『トニーよりすごい』という評判を得る&ハマー社は大儲け」というのが彼の目論みのようだ。

・Step2:対するヴァンコはトニーに強い恨みを抱いており、トニーを殺してやりたいと考えている(なおこれはヴァンコの逆恨みであり、トニーに非はない)。


<タッグを組む>

・Step3:トニーを越えるべくハマーは奮闘する。しかし上手くいかぬ。何をやってもトニーに勝てない!

・Step4:一方、ヴァンコは「ウィップラッシュ」というアーマーの開発に成功。自らそれを着用するとトニーを襲撃した。しかしアイアンマンは強い。ヴァンコは敗北、警察に捕まってしまった

・Step5:そんなヴァンコに興味を持ったのがハマーである。あのアーマーを生み出す頭脳とスキル!そしてトニーへの恨み!よーし、あいつとタッグを組んでやろう。

・Step6:ハマーはヴァンコを脱獄させると、「私がきみに資金や研究施設を提供しよう。きみはアイアンマンを越えるアーマーを作るんだ。そしてトニーの鼻を明かしてやろう。彼を殺すよりもよほどいい復讐になるぞ」と声をかけた。ヴァンコが同意。こうして2人はタッグを組むことになった。


<傍若無人なヴァンコ→いら立つハマー>

・Step7:ハマーの研究施設にて、新型アーマーの開発に乗り出したヴァンコ。彼が作ったものを「ハマー社の新製品です!すごいでしょ!」と米軍に売り込むのがハマーの計画だが……しかし、ヴァンコはひと癖もふた癖もある男だ。ハマーの指示を無視。「アーマーよりも無人ロボットの方がいいだろ」と勝手にロボットを作り始めるなど、傍若無人にふるまった。

・Step8:ハマーはいら立つ。だがここで怒っても仕方がない。すべてはトニーを倒し、自社の利益を増大させるためだ!彼はグッと堪える


<ヴァンコの真の狙いが明らかになる→そしてメチャクチャ>

・Step9:やがてヴァンコは無人ロボットを完成させた。ハマーはそれを米軍に売り込んだ。いろいろあったが、まぁすべては順調だ。すべては上手くいくかに思われた。

・Step10:間もなく、ハマー社のハイテク機器のお披露目会が開催された。ハマーはノリノリだ。ついにトニーを越える時がきたのだ!

・Step11:ところがその時だった。ヴァンコが無人ロボットを遠隔操作で暴走させた。かくして会場はメチャクチャ。一般市民は悲鳴を上げて逃げ出した。さらにヴァンコは、こっそり開発していた自分用のアーマー(新型ウィップラッシュ)を着用してアイアンマンに決闘を申し込んだ。……そう、ヴァンコは最初からこうするつもりだったのだ。ハマー社のためにアーマーやロボットを作る?冗談じゃないぜ!俺はあくまでも自分の手でトニーを抹殺したいんだ!!

・Step12:ハマーはショックを受ける。ええい、ヴァンコめ!よくもやってくれたな!!だがもう遅い。すべては手遅れだ。凶悪犯たるヴァンコとのつながりがばれ、ハマーは逮捕された

・Step13:一方、ヴァンコはアイアンマンと対決。激闘の末……アイアンマンが勝利した。ヴァンコは自爆して死亡した。


▶3

以上を整理してみよう。

まずハマーは、

・概要:ヒーロー(=トニー)に憧れ、嫉妬する敵。

・目標:ビジネスパーソンとしてトニーに勝つこと、スターク社を越えること。

・ヴァンコとの関係:トニーに勝つべく奮闘するが、どうしても勝てない。だからヴァンコとタッグを組んだ。好き勝手にふるまうヴァンコにいら立ちつつも、打倒トニーのためにグッと堪え、できる限りヴァンコの意思を尊重する。……で、裏切られる。


一方のヴァンコは、

・概要:ヒーロー(=トニー)を逆恨みしている敵。

・目標:自らの手でトニーを抹殺すること。

・ハマーとの関係:じつはヴァンコは、最初からハマーをバカにしていた(ヴァンコはロシア人ながら英語を話せる。しかしハマーの前ではわからないフリをしている。おちょくっているわけだ)。そして終始傍若無人にふるまい、最後にはハマーの晴れ舞台をメチャクチャにしてしまう。


続いて、ハマーとヴァンコの関係をまとめると、

・特徴1:「ハマーが発注者(資金を提供し、アーマーを作るよう依頼する)で、ヴァンコが受託者(ハマーの指示を受けてアーマーを作る)」といえるだろう。

・特徴2:つまり本来ならば、ハマーの方が立場は上だ。しかしヴァンコは傍若無人にふるまう。そしてハマーは散々な目に遭う。


ヴァンコの悪党っぷり(目的のためなら平然と仲間を裏切る。というか、そもそも最初から仲間とは思っていない!)と、ハマーのダメっぷり(トニーに憧れるが追いつけず、かといって悪の仲間にも裏切られる……哀れ!)が目立つ。


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