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ネタを握るな!魂を握れ!!|『ボーン・アルティメイタム』(3)

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テーマ発表!!


 第1回第2回に引き続き、映画「ボーン・アルティメイタム」をベースに新しい物語を妄想します。

※「ボーン・アルティメイタム」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「ボーン・アルティメイタム」は、超人的なパワーを持つ主人公が、
「敵組織の内部にいながら、組織に疑問を抱く者」と連携するなどして敵に打ち勝つ物語ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「『ボーン・アルティメイタム』 ~『僕は妹に恋をして』編」でした。


案②


嘉村 それでは「案②」にまいりましょう!

三葉 はい。「案②」は、「『ボーン・アルティメイタム』 ~『寿司職人のプライド』編」です。


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嘉村 ほぉ、寿司職人!

三葉 詳細をご説明する前に、「ボーン・アルティメイタム」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。


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三葉 ……ですね(より詳しくは第1回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上を踏まえて「案②」ですが……ところで、「将太の寿司」というマンガをご存知でしょうか?


嘉村 えーと、有名な料理マンガですよね?

三葉 そうですね。料理マンガ界の古典的名作ですが……。

嘉村 ふむ。

三葉 これからご紹介するのは、「『将太の寿司』の設定をベースとした『ボーン・アルティメイタム』風物語」です。

嘉村 ほぉ……つまり、「『ボーン・アルティメイタム』 meets 『将太の寿司』」?

三葉 ええ、その通りです。

嘉村 なるほど。訳がわかりませんね。

三葉 まず、「将太の寿司」の基本設定をざっとご紹介しましょう。すなわち、舞台は北海道の小樽です。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公は、中学3年生の少年。彼の父は寿司職人で、「巴寿司」という寿司屋を経営しています。小さいながら、「最高の素材を、最高の寿司職人が握る名店」として知られていたのですが……。

嘉村 ええ。

三葉 ある時、彼らの前に巨大寿司チェーン「笹寿司」が立ちはだかった!

嘉村 ほぉ。

三葉 「笹寿司」の社長は、強烈な拡大志向を持つ人物。彼は、「寿司の街 = 小樽」を支配せんと画策しました。かくして……辺りの寿司屋を片っ端から吸収合併し、チェーン店をどしどし増やしていく。また、市場の旨い魚を独占してしまう。

嘉村 ふーむ。

三葉 「笹寿司」は、「巴寿司」にも打診をかけました「うちの傘下に入らないかい?」。しかし、主人公の父は職人気質の頑固者です。「いくら金を積まれたって、店は売らねぇよ!ええい、帰れ帰れ!」と拒否した。

嘉村 なるほど。

三葉 その結果……嗚呼、何と言うことか!「巴寿司」は、まともな魚を仕入れられなくなってしまった!無論、「笹寿司」の嫌がらせです。主人公の父は困り果てる。いくら腕がよくても、肝心のネタがダメでは話にならない。客が離れる。父はやる気を失う。……悪循環です。いまや、ネタがダメなら、職人の覇気もない。安さ以外に売りのないダメダメ寿司屋になってしまったのでした。

嘉村 ふーむ……。

三葉 主人公は悔しい。じつに悔しい。彼は、父の腕をよく知っています。また、誇りを持ち、活き活きと仕事をしていた頃の父の背中も知っています。何とかして、どうにかして、父を励ましてやりたい!「三流店」「三流職人」として見下されるのは許せない!……が、どうしていいのかわからぬ。

嘉村 まぁ、まだ中学生ですもんねぇ。

三葉 そうですね。そして……さぁ、やってきました!そんなある日のことです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 主人公は、寿司職人コンテストが開催されることを知る。主催は「笹寿司」です。

嘉村 ほぉ。

三葉 主人公は思う。こっ、これだ!オレが求めていたのはこれだ!コンテストに出場し、優勝をかっさらう。そうすれば、憎き「笹寿司」の鼻を明かし、さらに「巴寿司」と父の名誉を回復することができる。一石二鳥じゃないか!……うーむ、素晴らしい!

嘉村 なるほど。

三葉 かくして主人公は特訓を積み、コンテストに出場して……というのが、「将太の寿司」の導入エピソードです。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて、いよいよここからは「ボーン・アルティメイタム」のストーリー構造を応用していきましょう。

嘉村 はい。

三葉 上述の通り、「ボーン・アルティメイタム」において特に私が注目したいのは、「『ボーン = 主人公』と『パメラ = 敵組織の内部にいながら、組織に疑問を抱く者』による暗黙の連携プレイ」です。

嘉村 ふむ。

三葉 そしてこれを「案②」に置き換えて考えると、「主人公 = 『巴寿司』の跡取り息子」、「敵 = 大手寿司チェーン『笹寿司』」ですから……。

嘉村 ええ。

三葉 「敵組織の内部にいながら、組織に疑問を抱く者」には、「笹寿司」の寿司職人が該当します。すなわち、以下の通り。


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嘉村 あこぎなやり方で「寿司の街 =小樽」を支配せんとする「笹寿司」ですが……「笹寿司」の内部にも良識を持った人間はいる。例えば、「笹寿司」のナンバー1職人・A氏です!

嘉村 ふむふむ。

嘉村 職人気質の彼は、社長のやり方に疑問を抱いていました。彼は思う「職人ってのは、元来自由であるべきだ。それを丸ごと自社の傘下に収めようってのはどうかと思うねぇ……」「職人ってのは、己の腕一本で勝負するものだ。吸収合併だの、チェーン店だの……オレは好きじゃねぇなぁ」。

嘉村 なるほど。

三葉 しかしその一方で、社長にはこれまで世話になった恩義がある。彼は疑問を抱きつつも、口ごたえすることなく、黙々と寿司を握り続けていました。

嘉村 ふむ。

三葉 さて……上述の通り、「笹寿司」の主催でコンテストが開催されることになりました。「笹寿司」の代表は、ナンバー1職人のA氏です。彼のもとには、「『○○寿司』も出場するそうだ」「△△氏が審査員を引き受けてくれたようだ」なんて情報がひっきりなしに入ってきますが……A氏は興味がない。自惚れるわけじゃねぇが、誰が出場しようと、誰が審査しようと、オレに敵う者がいるとは思えぬ。

嘉村 ふーむ。

三葉 しかしそんな彼も、「巴寿司」がエントリーしたと聞いた時には驚きを隠せませんでした「おいおい、本気かよ。『巴寿司』といえば、いまはすっかり三流店に落ちぶれたはずだぜ」。後輩職人が応える「それが、どうも跡取り息子が出場するとか」「ほぉ。跡取りがいたのか!」「ええ。まだ15歳らしいですがね」「15歳でコンテスト!そりゃすごいな」「いや、それがちっともすごくないようで……」「ん?どういうことだい?」「ええ。噂によると、まったくの素人だって言うんですよ」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 A氏は怪訝な顔をする「……母乳の代わりにマグロを食い、ツケ場(寿司屋の調理場のこと)で育った。最初に覚えた言葉は『サビ抜き』。3歳から修行を始め、15歳にして職人歴12年……なんてエリートじゃないのかい?」「それがどうも違うようで」「つまり、ど素人ってわけか?」「ええ、そうですね」。A氏のこめかみにぶちぶちぶちっと青筋が立つ。

嘉村 おー……。

三葉 彼は寿司を愛していました。寿司職人であることに誇りを持っていました。それゆえに……「ど素人が出場するだぁ?寿司をナメてんのか!」。

嘉村 なるほど。

三葉 イライライライラ。寿司を握っていても、どうにも胃の辺りがムカついて仕方がない。次の休日、A氏は「巴寿司」へ向かいました。

嘉村 ふむふむ。

三葉 しかし……店の前までやってきたものの、「巴寿司」からは活気が感じられない。店中の様子をそっと伺う。案の定、客はいない。だが、ツケ場には少年が立っている。まだ顔に幼さが残る。アレが噂の跡取り息子に違いない。さては、コンテストに向けて特訓しているのだろう。A氏は思う「無駄無駄無駄無駄ぁ!付け焼刃だぜ。寿司をナメるんじゃねぇよ」。


嘉村 ふむ。

三葉 A氏が店内に入る。少年は作業に没頭しており、A氏に気がつかない。ほぉ。集中力は1人前じゃねぇか。A氏が咳ばらいをする。少年がハッとして顔を上げた「あっ……いらっしゃいませ。いま父ちゃん……じゃなくて、えーと、親方を呼んでまいります。お待ちください」。

嘉村 ふむふむ。

三葉 しかし、A氏は言った「おぅ、ニイチャン」「えっ……」「わざわざ親方さんにお出ましいただく必要はねぇよ。お前さんの握った寿司をもらおう」「いや、でも」「そこにたくさんあるじゃねぇか」「これは練習で握ったもので」「なぁに、気にするなよ」。少年はあまり気が強くないようで……有無を言わさぬA氏の口調に逆らえず、困った様子でモジモジしている。

嘉村 うーむ……。

三葉 A氏が笑う「そう堅くなるなよ」「はぁ……」「じゃあ、タイを貰おうかな。あと、ヒラメだ」。少年が握り、下駄(寿司を載せる板のこと)に並べた。


三葉 ふむ。見た目はまずまずだ。悪くない。では肝心の味は……?A氏が口に放り込む。最初に感じたのは、「旨い」でも「マズい」でもなく、「何だ、これは?」でした。

嘉村 ほぉ……。

三葉 どこか違和感がある。何かがおかしい。A氏は黙々と食う。2個、そして3個。この違和感は……彼の鍛え抜かれた舌が答えを弾き出した。

嘉村 ふむふむ。

三葉 結論から申し上げますと……上述の通り「巴寿司」は、良質な魚を仕入れられていません。三流のネタしかない。だからマズい。しかし、主人公の握る寿司はマズさを感じさせなかった。なぜか?それは、少年の腕がいいからです。「まだまだ半人前だ。基礎がなっちゃいねぇ。だが……天才的なひらめきを感じるぜ!」。つまり、ネタのクオリティと比して、少年の腕がよすぎる。その解離ゆえの違和感だったのです。

嘉村 ふーむ。

三葉 A氏は思う「このガキは、ネタに寄り添い、ネタの声に耳を傾け、ネタのポテンシャルを限界まで引き出す握り方を心得てやがる……!これは、誰かに教わって身につく技術じゃねぇ。生まれ持った才能だ。才覚だ。このガキは……いつかオレのライバルになり得るかもしれねぇな」。

嘉村 ネタと対話って……「キャプテン翼」の名ゼリフ「ボールはともだち  こわくないよ」に通じる狂気を感じますねぇ。


三葉 A氏はさらに考える「惜しむらくは環境だ。このガキのオヤジは、元は名人だったかもしれねぇ。だがそれは昔の話。いまやもう、すっかり腕がなまっているに違いない。このガキの才能を引き出すには力不足だ。そしてもう1つ……ネタだ。このガキは、三流のネタとしか対話した経験がない。それじゃあダメだ。寿司職人のてっぺんを目指すなら、当然一流のネタを握る必要がある。一流のネタを握り、一流のネタと語り合い、そして超一流の寿司を生み出さねばならねぇ」。

嘉村 ははぁ。

三葉 A氏は我慢ならない。寿司を愛する者として、寿司道を歩む1人の求道者として、寿司の神に愛された者がその才を発揮することなく埋もれていくことが我慢ならない!かくして、A氏は立ち上がり、懐から大トロを取り出した。

嘉村 ……ん?懐から大トロ?

三葉 ええ。彼は超一流の職人ですからね。常にネタを持ち歩き、ネタとの対話を怠らないんですよ。

嘉村 はぁ……。

三葉 少年が驚く。

嘉村 そりゃ、突然懐から大トロを取り出されたらねぇ……。

三葉 A氏はズカズカとツケ場に入り、おもむろに寿司を握った。初めは困惑していた少年ですが……すぐに気づく。ただ者ではない。彼は、A氏の腕前に目を見張った。A氏が「お前もやってみろ」と促す。少年が握る。A氏は首を横に振る「違う。それは三流のネタの握り方だ。オレをよく見ていろ」。

嘉村 なるほど。

三葉 とまぁ、こうして少年……すなわち主人公はA氏に導かれ、才能を開花させていきます。彼は握る。昼夜を徹して握る。A氏は3日に1度のペースで「巴寿司」を訪れ、厳しく指導する。主人公と彼の父は、間もなくA氏の正体に気がつきました。A氏は「笹寿司」の職人です。すなわち「巴寿司」の敵……ですが!3人とも、敢えて何も言おうとはしませんでした。彼らにとっては、敵味方なんてどうでもいいことなのです。寿司道を歩む同志……ただそれだけ。それ以外はどうでもいい。

嘉村 おー、カッコいいですね!

三葉 ところが……しばらくして「A氏が『巴寿司』の跡取り息子を指導しているらしい」という噂が立ち、「笹寿司」の社長の知るところになる。社長は激怒しました。何しろ彼は職人ではなく、経営者です。彼にとっては、A氏の行いは「裏切り」以外の何ものでもありません。

嘉村 ふむふむ。

三葉 社長は厳命する「2度とこんなことをするな。もしまたオレを裏切ったりしようものなら……一生寿司を握れぬ体にしてやるからな。覚悟しておけよ」。A氏は黙って頭を下げる。社長はヤクザとも通じていると聞く。本当にやりかねない男です。

嘉村 ほぉ……。

三葉 ただし……もう十分に指導はした。周りがヤツを引っ張り上げる時期は終わったのだ。あとは、あの少年自身の問題だ。オレの教えを生かすも殺すも、あの少年次第だ。

嘉村 なるほど。

三葉 とはいえ、1つ気になることがありました。すなわち……コンテスト当日のネタをいかにして用意するかです。修行用のネタはA氏がこっそり都合してやったものの、コンテストで使うものまで用意するのは難しい。アドバイスの1つも送ってやりたいが……あれ以来、A氏の一挙手一投足は社長に監視されていました。さぁ、どうしたものか……。

嘉村 ふむふむ。

三葉 A氏の想像通り……その頃、主人公は途方に暮れていました。コンテスト用のネタをどうやって入手すればいいんだ!?

嘉村 ふーむ。

三葉 主人公は頭を抱える。彼は、A氏が社長の監視下に置かれ、自由に動けなくなっていることに気づいていましたが……それでも他に頼れる人がいない。何か1つ。ほんの些細なことで構わぬから、何か1つヒントがほしい!

嘉村 ふむ。

三葉 主人公は、断腸の思いでA氏に電話をかけました。A氏が受話器を取る。電話は、社長に盗聴されているに違いありません。迂闊なことは言えぬ。主人公は「いよいよコンテストが近づいてきましたね。お互い頑張りましょう」などと無難な言葉を並べた。一方A氏は……開口一番怒鳴り散らした「やいやいやい!いっぱしの口を利くんじゃねぇよ、ど素人が!先日食ったお前のカツオとウニとボラ、ありゃあ酷かったぜ。逆立ちしたって食えたもんじゃないね。いまからでも遅くはねぇ。コンテストの出場を取り消して、〇〇港からフェリーで東京あたりに逃げるんだな。ケッ!」。A氏は、電話を叩きつけるようにして切った。

嘉村 ほぉ……。

三葉 案の定電話を盗聴していた「笹寿司」の社長は、A氏の言葉に満足する。フフッ。どうやらAのヤツもわかったようだな。そう、「巴寿司」はわれらの敵!叩き潰すのみ!

嘉村 うーむ。

三葉 しかし……主人公はわかっていました。A氏の言葉には、何か暗号が隠されているに違いない。何しろ、A氏の言葉は奇妙なのです。彼は「カツオとウニとボラ」が云々と言っていましたが……じつは、主人公はそんなネタを握ったことはありませんでした。つまり、ここに何か暗号が仕込まれているのでしょう。

嘉村 なるほど。

三葉 主人公は、首をひねる。首をかしげる。首を傾ける。……が、わからぬ。自慢じゃないが、クイズやパズルの類は苦手なのだ。主人公は、改めてA氏の言葉を振り返る。彼は言った「逆立ちしたって食えたもんじゃないね」。逆立ちねぇ……逆立ち、逆立ち……主人公は逆立ちしてみる。うーむ……わからぬ!しかし、それでも諦めずに考え続け……彼はやがてA氏の言葉の真意に気づきました。

嘉村 ほぉ……と言うと?

三葉 すなわち……「カツオ」を逆立ちさせる(= ひっくり返す)と、「オツカ」になる。「ウニ」は「ニウ」。「ボラ」は「ラボ」です。3つ合わせて「オツカ・ニウ・ラボ」……「大塚ニューラボ」!地図を見ると、「〇〇港」の傍に「大塚ニューラボ」という水産研究所がありました。

嘉村 ははぁ。

三葉 主人公は「大塚ニューラボ」に駆け込み、事情を説明した。所長がうなずく「A氏にはいろいろ借りがあってね。よろしい。全面的に協力しよう」。かくして、「水産研究に使う」という名目で、所長が活きのいい魚を買い集めてくれました。

嘉村 ふむ。

三葉 そしていよいよ……決戦の時です。主人公は、立派なネタを携えて会場に入った。A氏はそれを一瞥して、密かに微笑む。

嘉村 ふむふむ。

三葉 コンテストが始まる。主人公は死力を尽くす。一方のA氏も出し惜しみはしない。主人公をライバルと見なしたからこそ、全身全霊で迎え撃つ。結果は……A氏の優勝でした。しかし、主人公にも特別賞が授与された。

嘉村 おー!やりましたね。

三葉 審査員曰く、「まだまだ荒っぽいところはあるが、光るものがある。今後に期待大」。主人公は喜ぶ。彼の父も、そしてA氏も喜んだ。面白くないのは……「笹寿司」の社長です。

嘉村 でしょうねぇ……。

三葉 彼は怒りを爆発させた「一体どういうことだ!ヤツは、なぜあんなにいいネタを持っているんだ!?誰が裏切ったんだ!」。その時……「聞き捨てならねぇな」。そう言ったのは、日本寿司連盟の会長でした。「寿司界のドン」なる異名を持つ重鎮です

嘉村 ふむふむ。

三葉 ドンは言った「寿司職人が、選び抜かれたネタを持ち込む。何が不思議なんだい?何をそんなに訝しんでいるんだい?」。大物の言葉に、社長が怯む「えっ、いや……」「お前さんがあこぎなマネをしているっていう噂は、私の耳にも入っているよ。悪質な冗談だと思っていたが、どうやらそうではないようだね。話を聞かせてもらおうか」「いや、そんな……」「おう!ネタは上がってんだよ!神妙にしろぃ!」……とまぁ、そんなわけで、主人公は「巴寿司」と父の名誉を回復し、「笹寿司」の社長の鼻を明かし、さらに彼自身も寿司職人の道を歩み始めたのでした。で、ハッピーエンドです。

嘉村 なるほど。

三葉 ご説明するまでもないと思いますが……今回ご注目いただきたいのは、主人公とA氏の間の「信頼関係」です。2人は、ほとんどまったくの赤の他人。共に過ごした時間は短い。しかしその一瞬の内に、お互いの度量、そして技量を見抜き、「こいつは逸材だ」「この人は悪い人ではない」と認識した。つまり……「ボーン・アルティメイタム」におけるボーンとパメラのような関係。これが見どころですね。

嘉村 ふむふむ。

三葉 以上、「『ボーン・アルティメイタム』をリスペクトした物語」のアイデアをご紹介しました!


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 「ボーン・アルティメイタム」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

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(担当:三葉)

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