◆飛躍の要因

ドラマ「地獄が呼んでいる」は、新興宗教団体＜新真理会＞と、それに対抗する人びとの戦いを描いた物語である。

新真理会は、動画共有サイトによって飛躍する。

例えば……新真理会は【神の意志によって＜試演＞と呼ばれる超常現象が発生し、悪人は地獄に落ちる】と主張している。荒唐無稽な主張だ。地獄だの何だのと言われても、そんな話を信じる人は少ない。

ところがある日、都会のど真ん中で＜試演＞が発生した。そして多くの人がそれをスマホで撮影し、動画共有サイトに投稿。かくして新真理会の主張を信じる人が激増した。

また、若きインフルエンサーは動画共有サイトで煽った「新真理会の主張は正しい！」「新真理会を邪魔する者は、神に逆らう罪人だ！」「我々の手で罪人の個人情報を集めて、罰を下そうではないか！」。

若者たちは熱狂。かくして、新真理会に疑問を唱える文化人や刑事、弁護士が襲撃されるといった事件が多発した。

とまぁこんな具合に、彼らは動画共有サイトによって飛躍していく。

◆破滅の要因

だが後に……新真理会はその動画共有サイトに足をすくわれ、破滅するのだ！

すなわち第6話。

新真理会と戦う人びとが、新真理会の主張は嘘だという証拠を動画共有サイトで配信したのだ。

その結果、皆が気づいた「新真理会は詐欺師じゃないか！」。

◆「飛躍の要因が破滅の要因にもなる」という展開の巧さ

動画共有サイトによって飛躍した新真理会が、動画共有サイトによって破滅する。つまり飛躍の要因が破滅の要因にもなったわけだが……これが巧いと思うのだ！

まず、ストーリーにまとまりが感じられる。

多くの鑑賞者は「ほぉ！きちっと計算された作品・洗練された作品だなぁ」と感じ、満足度がアップしたはずだ。

また、テーマが明瞭になるというメリットもある。

本作の場合、＜「動画共有サイトによって情報が拡散し、それに扇動された人びとが時に暴徒と化す」という現代社会の恐ろしさ＞がテーマの1つだ。

【人びとが動画共有サイトによって新真理会を信じるようになる／煽られ、暴徒と化す → 動画共有サイトによって目が醒め、新真理会は滅亡する】という展開のおかげで、それが明確になっている。

参考

ドラマ「地獄が呼んでいる」について知りたい方は、以下の記事をどうぞ🍎