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「キャラAは車の運転がど下手で、ホラー映画が苦手→単にそういう人物かと思いきや、『じつはAは11歳の少年』と後で明かされる」という展開を通じて、「そうか、11歳だから運転はど下手だし、ホラー映画が苦手だったのか!」と読者・鑑賞者にアハ体験を楽しんでもらう ~映画「レディ・プレイヤー1」の場合

ショウ「11歳だよ!だから何?悪い!?」

映画「レディ・プレイヤー1」


◆概要

【「キャラAは車の運転がど下手で、ホラー映画が苦手→単にそういう人物かと思いきや、『じつはAは11歳の少年』と後で明かされる」という展開を通じて、「そうか、11歳だから運転はど下手だし、ホラー映画が苦手だったのか!」と読者・鑑賞者にアハ体験を楽しんでもらう】は「読者・鑑賞者の心を掴んで離さない語り口」のアイデア。


◆事例研究

◇事例:映画「レディ・プレイヤー1」

▶1

本作の舞台は近未来。人々は、仮想空間「オアシス」の中でたくさんの時間をすごしている。

また、「オアシスに眠る3つの謎を解いた者には、報酬として大金とオアシスの運営権を与える」というゲームが現在開催されており、人々はどうにかして謎を解こうと必死になっている。

主人公・パーシヴァル(若い男性)も例外ではない。


▶2

パーシヴァルには4人の仲間がいる

・Step1:彼らは普段行動を共にすることが多い。とはいえ、あくまでもオアシス内での付き合いであり、現実で会ったことはない

・Step2:ここでは仲間の1人、ショウに注目したい。なお、ショウは男性忍者のアバターを着用している(オアシス内では誰もが好きなアバターを着用して、好きな外見になれるのだ)。


物語序盤、

・Step3:パーシヴァルたちはカーレースに仕掛けられた謎を解き、それまで誰も到達できなかったゴールに至った

・Step4:この時、パーシヴァルたちの車が無傷なのに対して、ショウの車だけは大破している。ゴールに着いた時には火が出ており、ショウが降りてすぐに爆発する。彼が実際に車を走らせるシーンは画面には映らないが、しかし特に障害物もないコースでこれだけ車をボコボコにするって……こいつ、運転がど下手だぞ!


次いで物語中盤、

・Step5:皆でホラー映画「シャイニング」について話していた時のことだ。

・Step6:仲間の1人が訊いた「『シャイニング』って怖いの?」。彼は観たことがないそうだ。

・Step7:ショウが答える「あー、僕は指の間から見たよ」。……どうやらショウはホラー映画が苦手らしい。


その後いろいろあって、

・Step8:パーシヴァルたちが初めて現実に対面した時のことだ。

・Step9パーシヴァルたちが20-30代の青年である一方、ショウだけは弱冠11歳の少年(!)だった。さすがのパーシヴァルもこれには仰天する。えっ、そんなに若かったの!?


▶2

ご注目いただきたいのは、Step4と7である。

Step4では、ショウだけが車をぶっ壊しながらゴールに到達した。またStep7では、怖すぎて「シャイニング」を直視できなかったと語る。

これらのシーンを見た時、多くの鑑賞者は「ショウは運転がど下手らしいぞ」「ホラー映画が苦手らしいな」と感じたはずだ。というか、そうとしか感じなかったはずだ。

しかし、じつはそこには意味があった。


Step9にて、じつはショウは11歳の子供だったと明かされる。

「あー、そうか!子供だったのか!」「弱冠11歳なのだから、そりゃ大人と比べれば運転は下手だろうし、ホラー映画が苦手というのもうなずける」と膝を打ち、「まったく気づかなかったー!(笑)」と嬉しくなった鑑賞者は少なくないだろう。


つまり、【「キャラAは車の運転がど下手で、ホラー映画が苦手→単にそういう人物かと思いきや、『じつはAは11歳の少年』と後で明かされる」という展開を通じて、「そうか、11歳だから運転はど下手だし、ホラー映画が苦手だったのか!」と読者・鑑賞者にアハ体験を楽しんでもらう】というテクニックである。


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