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敵組織にスパイを潜入させる

敵に追いつめられたジュノ。彼は上司に電話をかけて「いま南西のどこかの島にいます。電話の位置を追跡して、すぐ応援を送ってください!」「海洋警察と機動隊の1個中隊以上を!!」。

ドラマ「イカゲーム」(第8話)


◆概要

【敵組織にスパイを潜入させる】は、創作の技術の1つである。


このテクニックには3つの価値がある。

まず、「主人公が活躍するシーン」と「スパイが動き回るシーン」を交互に描けば、ストーリーが単調になるのを防げるはずだ。途中で飽きて離脱してしまう読者・鑑賞者を減らす効果があるだろう(価値1)。

また、スパイが敵に見つかりそうになったり正体がバレそうになったりするシーンを描けば、読者・鑑賞者をハラハラドキドキさせられる(価値2)。

さらに、スパイが次第に真実に近づいていくシーンを描けば、「えっ。これはどういうこと?」「あー、そういうことか!」と読者・鑑賞者の関心を惹きつけることもできるだろう(価値3)。


◆事例研究

◇事例:ドラマ「イカゲーム」

▶1

「イカゲーム」は、いわゆるデスゲームものだ。参加者たちは命懸けのゲームに挑む。そして醜い争いをしたり、助け合ったり、時には運営サイドに怒りをぶつけたりする。

だが、それだけではない。ご注目いただきたいのは、ジュノというキャラだ。

彼は警官だが、とある事情からたった1人でデスゲームを運営する組織に潜入。そして変装してあちこち動き回り、少しずつ情報を集めていく。


▶2

ジュノは重要なキャラだ。彼の存在価値は3つに大別できるだろう。

そもそも……もしもジュノがいなければ、本作はデスゲームを繰り返すだけの作品になっていたはずだ。それでは単調になりかねない。

しかし実際には、デスゲームに挑戦する参加者たちの姿と、あちこち嗅ぎまわるジュノの姿が交互に描かれる。だからストーリーが単調にならず、飽きづらい(価値1)。


また多くの鑑賞者は、ジュノが登場するたびに「正体がバレてしまうのではないか!?」「殺されてしまうのではないか!?」とハラハラドキドキしたはずだ。だって、彼はデスゲームなんてものを運営する危険な組織に潜入しているのだから!

つまりジュノは、私たち鑑賞者をハラハラドキドキさせてくれるキャラなのだ(価値2)。


さらに。上述の通り、ジュノはあちこち動き回り、少しずつ情報を集めていく。そして最終的に、デスゲームの黒幕の正体を暴くに至る。

つまり彼が登場するシーンには、少しずつ真実が明らかになっていくというミステリ的な面白さがあるのだ。多くの鑑賞者は、「えっ。これはどういうこと?」「もしかして○○なの?」「あー、そういうことか!」などと惹きつけられたはずだ(価値3)。


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