見出し画像

誠光社さんに行ってきた!

本屋さんが大好き。

お気に入りの本屋さんも何軒かある。

でも、お気に入りの本屋さんで本を買うかといえば、そうでもないってことに、気がついた。

いや、買えないというか。

それが、大きな書店だったら、まあ、他の人たちがたくさん買ってくれるだろうから、どうぞ私の分もよろしくお願いしますって、思えるんだけど、
小さな書店だと、それはちょっと申し訳なさすぎる。

じゃあ、買えばいいやん。
買えないって、なに?


それは、
本屋さんでの時間が楽しすぎるから。
なんだか、妙にテンションがあがってしまい、そんなテンションで何かを選び出すなんて、とうてい無理なんである。
一人なのに、なんだかしゃべりだしたくなるくらい、ハイテンションになる。
思わず、飛び出しそうになる独り言を、必死で抑え込むほど。

でも、きっと見た目は、初老のおばさんが、静かに本を選んでいる風にしか見えへんと思うけど。

ただ、しばらくの間、ちょっと眺めていただいたら、

ちょっと、本との距離が近すぎん?
なんや、ニヤニヤしてはるで。
あっ、めちゃくちゃ驚いた顔したはるわ。
いっぺん棚に戻した本を、またすぐにとりだしてるわ。
なんや、忙しいなあ。

くらいの感想は、持たれるかもしれへんけど。

さてさて、そんな私がずっと行ってみたかった誠光社さんに行ってきたのである。

いつもの通院治療の帰り道。
この日は、それを楽しみに治療の時間もやり過ごせた。
なんや。病院から、こんなに近かったんや。
知らんかった。

というか、大通りから一本入っただけで、別世界。
昔ながらのおうちが、ずらずら~っと並んでいる。
看板がないと、絶対にわからない。
ときおり、自転車に乗ったおばあさんが通り過ぎる。
一本西にいくだけで、バスや車がゴウンゴウン通る大通りなのに、なんて静かなんや。

お隣のカフェも、ちょっと扉を開けるには勇気がいりそうだけど、でも、なんだか開けたくなる雰囲気。
そして、同じく誠光社さんも、気楽に立ち寄れる感じではないけど、なんとなく扉に手をかけてしまう、そんな感じの店構えである。

いよいよ。到着。

外からのぞいてみると、先客が一人いる。
よかった。ちょっとはいりやすくなる。

とっても小さな店内。
そこに、文庫も単行本も新書も雑誌も、まぜまぜになって、並べられている。
分類が優先されているので、とっても見やすい。
そして、本のセレクトがこれまた面白い。
時代もあちこちにとび、へ~へ~へ~と、心の中で唸り続ける。
お店の真ん中には平積みと、本棚があり、あとは、左右の壁面に本が配置されている。
小さなお店なので、めちゃくちゃ本が多いわけではない。
でも、それだからこそ、普段は見ないようなジャンルの本にも、目を向けることができる。

おっと、先客は、もう2周めにはいっている。(3周めかもしれんけど・・。)
2人がすれ違うには、ちょっと難しい通路。
どちらともなく、ちょっと身体をずらす。
その時に、先客がどんな棚を見ているのかを、さりげなくチェック。
これがまた、本屋さんでの楽しみでもある。
自分がされたら嫌やねんけどね。
でも、やめられへん。

わたしも、2周めにはいる。

と、ようやく、奥の方にいる店主らしき人が視界に入る。
そういえば、「いらっしゃいませ。」とかはなかったなあ。
それで、すんなりお店に、とけ込むことができたんやろか。

ただ、店主。
写真で見たあのさわやかな感じとは、かなり異なる印象を受ける。
違う人なのか?
いや。
あの風貌で、バイトとは考えにくい。
やっぱり店主なんやろか。
寺内貫太郎一家に出演していた、伴淳三郎さんのような雰囲気。
店主は、もっと若いはずやけど。
でも、あの、わしの店感を漂わせているところは、きっと店主やな。
その奥の店主のコーナーまで行ってみたいけど、なかなか勇気が出ない。

そんなことを思いつつも、次々と、指で本の背をなぞり続ける。(触ってへんよ。)

あれも面白そう。
でも、あんなんも一度読んでみたいし。
それやったら、こっちとちゃうか。
こっちやったら、それも一緒に買った方がよくないか。
いやいやいや。
せっかく来たんやから、他の本屋では絶対に買えへんようなんにした方がいいんちゃう。
そんなん。自分が好きなんでいいやん。
え~。でも~。

心の中は、大忙し。
大忙しを通り越して、もうパニック状態である。
難しすぎるねん。
どうやって、決めろっていうねん。

お金がたんまりとあったら、何にも迷わずにさっと買えるのに。

でも、それも違うねん。
きっと、迷うねん。
迷って、迷って、なかなか決められへん。
そこが楽しすぎるねんなあ。


そんなこんなで、一人忙しくしていると(心の中のみ)、次の客が入ってきた。

あかん。
もう出よ。
もう、限界や。

心の中の叫びのまま、店を飛び出してしまった。

もちろん、「ありがとうございました~。」
なんてのはない。

すっと入って、すっと出てきた。
それだけ。


それから、近くにあるベーグルやさんで、ベーコンとブラックペッパーのベーグルを買い、京都御苑のベンチに座って、新聞を読みながら食す。

初老のおばさん、いやおばあさんが、ベーグルを食べながら新聞を読む姿って、どんな風に見えるんやろう。
まあ、ええか。

でも、ベーグルを食べ終わるころには、買いたい本がはっきりとしてきた。

よし。
あれやな。

誠光社さん
なんにも買わずにでてきてしまって、ごめんなさい。
今度いく時には、絶対に買うからね。

でも、気がついたん。
いい本屋さんて、入るのも出るのも、すっとできるんやなあ。
それが、また行こうって思わせられるんやなあ。

大型書店も、もちろん出入り自由やけど、私の存在なんで、誰も気にとめていない。

でも、誠光社さんのような小さな本屋さんでは、少なくとも、その時にいた客の一人として、伴淳三郎さんには認識されてるわけで。
それでいて、すっと出てこれるって、すごいじゃないか。

妙な圧がないのかなあ。

なんや、絶対にまた行こうって思う。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?