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掌編/短編小説

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基本的に連作ではない小説をまとめています。日常から一歩だけ外れた世界、そこらへんに転がっている恋、病とふだんの生活、鬼との友情なんかを書いています。
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2022年12月の記事一覧

掌編小説 『よだかと、ふたり』

掌編小説 『よだかと、ふたり』

「来年のことを言うと鬼が笑う」と言うけれど、新年を明日に控えた青年3人、ボロアパートの一階で電源オフのこたつに三方向から足を突っ込みつつ、来年こそ鬼でも悪魔でもなんでもいいから、いやできれば満席のお客さんをどっかんどっかん笑わせたいよな、などと語らっておりました。

貧しさゆえに暖房器具に頼らなくても3人が愛する「お笑い」へ熱意ゆえか、窓に結露した水滴は音もなく静かにつう、つうとしたたり落ちていき

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