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有罪、とAIは告げた 中山七里著

大好きな、中山七里の最新作。

本作品は裁判の判決をAIにゆだねるか否かといったことがテーマになっている作品です。
中国で開発され、日本に送り込まれた<法神>と名付けられたそれは、果たして採用されるかどうか。行方が気になってどんどん先を読む形になりました。

中盤で父親を殺害した少年の裁判の行方が描かれており、こちらも注目して読み進めました。家庭内DVの苦悩から致し方なく犯行に及んだ少年の行く末はいかに。そしてこの判決もAIがジャッチするのかと疑問に思いながら読みました。

このテーマいかがですか?犯罪の判決をAIが請け負うとは何ともドライだなと思いました。しかし、公平という意味ではAIによる判決がいいとも思うし。
人間が考える判決は、もし殺人罪で死刑判決が下された場合、裁判に携わった人たちの心に少なからずしこりが残るはず。
AIなら感情がないし、感情によるしこりは少ないはず。

けれど、人間が起こした罪はやはり人間があれこれ考えて判断を下すのが正しい道筋だとも思えたり。難しいですね。私にはどっちがいいとも言えないです。最終的にAIを採用するかどうかは作品を読んでください。どっちにしても納得のいく結末になっているはずです。

それよりも少年の父親殺しの展開がびっくりするものでした。著者の作品は最後の最後にどんでん返しがあるものが多いですが、本作品もそれにしかり。
実をいうと本を読みながら推理した内容に当てはまっていたので、うれしいようなちょっとがっかりしたような気持になりましたが、十分楽しめました。
ラストでページ数が残りわずかになっていく中で、もっと読んでいたいなという気持ちになりました。ちょっとどんでん返し後のストーリーが物足りないように感じて、もっとふくらませてくれたらよかったになと思ったり。

この本を読むのにまとまった時間が取れたので、迷子にならずに読み進められてよかったです。もちろん集中して読めたのは著者の本が面白いからにほかなりません。
推理物って単調になりがちでそれが読んでいて安定感のあると感じることもあるけれど、本作品はAIとの向き合い方を考えさせられるいい機会になったし、家庭内DVとか少年犯罪とか注目すべきことがたくさんあってよかったです。

裁判所を舞台にした本作品は続編があるのかな。もしかしてこの本が何かの続編だったしして。まだまだ読みたい著者の作品は数多くあります。また、面白い作品をここで紹介できればと思っています。



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