僕の哲学に影響を与えた本



この2つの本は、僕の思想、信仰、哲学に大きな影響を与えた。

「ある死刑囚との対話」は、メッカ事件で、殺人を犯し、死刑囚となった正田昭と当時、精神科医であった加賀乙彦との往復書簡を加賀が紹介したものである。
正田は、獄中でキリスト者となった。
加賀は、キリスト者ではなかった。
そんな正田が、加賀と信仰、哲学、文学などについて、やり取りしたものである。
死刑執行前に、正田が母親に宛てた手紙は、非常に心をうつものだった。

キリスト教や聖書というのは、頭で考えるだけでなく、聖書学や神学、哲学などを学ばないと理解できない。
聖書は、書いてあることを、そのまま解釈していては、訳のわからないものになる。
どうして、そういうことが書いてあるのかということを、学ばねば、創造論も復活もわからない。


しかし、聖書学や神学を学ばなくても、この本を読めば、少なくとも、宗教やキリストについて、頭でっかちに理解するより、いい理解ができると思う。
一つの読み物としても、とてもいい本である。


なぜ、いいのかというと、正田が加賀以外に、書簡のやり取りをしていた女性がいたことで、それが「死の淵の愛と光」という本で紹介されている。

この本では、加賀とのやり取りと違う、正田の全く違う一面が見える。
信仰や思想、哲学は、頭と心、両方の理解が必要であると僕は考える。

円満な良識をもつ人とは、創られたものと創ったものとのふたつの実在を信じる人である。
物質界のみを認める人もだめ、物質界を心の影だなどとして、否定して霊界のみを認める人もだめ。
いずれも円満な良識をもつとは言われない。

超越的なもの、物質的なもの、両方の理解が必要である。
その意味で、この2つの本は、僕に、大きな示唆を示したもので、神を信じるという超越的なことと、現実を生きるということが、科学的にも、論理的にも、両立するということを改めて認識するに至った。
僕の哲学は、そういうものの上に成り立っている。

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