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リンダリンダと異邦人

元々の性格もあるけど、2番目に生まれた息子の子育てはかなりテキトーだったなと思い返す今日この頃。

ある日、大学3年になる息子が、ユーチューブに合わせて脳天気に歌ってる私を見つめて、なぜかフリーズしている。よく見ると微妙に目が笑ってる。「え?なに?」と訊くと、「ああ、そういう歌なんだ」とすごく納得して「そうかそうか」みたいに反芻してる。

その時歌っていたのは、久保田早紀の『異邦人』。そういえば息子が小さい頃、寝かしつけで絵本を読むのに飽きた時なんかは、かなりの頻度でアニソンと懐かし歌謡曲みたいなのを、眠るまで延々と歌ってたっけ。童話全集を読み聞かせてた娘の時とは大違い。ほんと手抜きだったなぁ。

で、ポイントはそこじゃなくて、彼が言いたいのは、「ああ、裏拍子だったんだ」ってとこだったらしい。確かに、めくるめく大スペクタクルな前奏は私の頭の中でのみ繰り広げられてた訳で、幼い息子にしてみれば、突然始まるヘタウマ系「🎶子どもた〜ちは〜」だったから、十数年後に完璧な曲として聴いた時の驚きたるや想像に難くない。

気を取り直した息子が、「じゃあ、リンダリンダぁーとかいうやつは?」と訊いてくる。

そうそう。『リンダリンダ』もよく歌ってたっけ、、とブルーハーツを探して流してみる。、、、、、息子、大爆笑。

どうにも説明はできないようだが、大体言いたいことはわかる。ちっともパンクでもなければ、心の叫びでもない、ただ楽しそうな母の『リンダリンダ』。お遊戯会の歌みたいに聴こえてたんだろな。

娘の子育ては東京で始まり、少し開いて息子のは国外だ。だからなんなんだって話だけど、それにもちろん、ちゃんとしたママは周りにたくさんいたけども、大雑把な子育ては楽しかった記憶しかない。

もともと運転好きだったところに、ある日夫が「いい値段で買えちゃった」と超大型SUVに乗って帰ってきた。それからの平日は、自分と子供たちとで毎日のように出かけてた。犬のクレートも子供用ワゴンもそのままドンと乗っけて、砂だの泥だの気にせず西へ東へ。時には『Baby on board』のサイン外せば?っていう運転だったかもしれない。

少し前に、地元のジャズフェスが、コロナ明けに久々に開催された。息子が高校生の頃は、学校のジャズバンドの活動が盛んだったから、素人部門でよく参加してた。親バカ丸出しだが、息子はまあまあいい感じのサックス吹きだったと思う。

今も家のどこからか、小学校でもらうリコーダーの音が聞こえてくる。アルバイト終わりの息子が、あのチクワに毛が生えたようなシンプルな楽器でジャズを吹いている。上手いなあ。そして今、音がピアノに変わった。

でもいや待てよ、、と思う。彼のこのジャズな精神は、あの異邦人であり、リンダリンダであり、ラスカルやハイジやルパン三世のテーマ、もっというならポケモンゲットだぜ!を暗闇で自己陶酔しながら歌い続けたこの母のおかげなのではなかろうか。少なくともステージ度胸みたいなもんは培われたと思うんだけど。

今日の午後はずっと曇り空。窓から見える景色が、なんとなく昔を思い出させたので、つらつら書き始めたはいいけれど、イメージの連鎖に文章力がまったく追いつかない。毎度と言っちゃあ毎度のことだ。頭に浮かんだものが勝手に指に伝わったらいいのにな。ドラえも〜ん!だ。


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