さよならくちびる

「どうせ止まってしまうこの心臓に水を与えて時に走らせ動かしていく私達」

この歌詞が胸に残っている。

どうせ人は死んでしまうし、何をやったって結果は変わらない。それでも、一生懸命に生きて、生きて、生きがいを探して、時に人を愛して、愛されて、そんな風に生きていく私達はどこか奇妙で、滑稽で、美しいとさえ思える。大失恋をして泣きじゃくって今にも死んでしまいそうだったあの子は今になってはケロッと新しい彼氏と幸せそうだし、なんだかだるそうで楽しくなさそうだったあの子はSNS上で満面の笑みを浮かべている。そんな世界で、苦しんでいる人もいる。

思いが通じない切なさと、思いが通じなくても思い続ける強さと、思いを断ち切れない弱さと、音楽の美しさを感じた映画だったなあ。個人的には、3人は解散するべきだと思うけれど、そんな風に現実をみて割り切って考えてしまう私は、ハルレオのようなスターにも、ホームレスのおじさんにマッサージしてもらう強い水商売の女性にもなれないんだろう。

しまを殴った昔のバンドマン達は、しまを殴ることが精一杯の愛と優しさだったのだろう。いつだって人は愛に満ちて生きているのだと信じたい。信じられる強い大人になりたい。それが、「あんな大人になったらだめよ」と見知らぬ誰かに後ろ指を指されても。

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