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UPDRSって知っています?

UPDRSとは

The Unified Parkinsonʼs Disease Rating Scale (UPDRS)といって、1980年代に制作されたパーキンソン病の臨床評価スケールです。

The Movement Disorder Societyによって改訂されたものが、UPDRS (MDS-UPDRS)といいます。


UPDRSの構成

4つのパートで構成されていています。

Part I:Non-motor Experiences of Daily Living
Part II:Motor Experiences of Daily Living
Part III:Motor Examination
Part IV:Motor Complications

という構成になっています。

日本語にすると
パート1は、日常生活における非運動症状
パート2は、日常生活で経験する運動症状の側面 
 パート3は、運動症状
パート4は、運動の合併症

です。


UPRDSの特徴

Part Ⅰの一部とPart Ⅱは、患者さんと介護者へのアンケートで行います。
Part ⅠとⅣは、評価者のインタビューで行えます。
Part Ⅲは客観的な評価方法です。

そして、全て5段階評価となっています。

日本語版もありますのでご参考まで。
参考までに、UPDRS日本語版PDFのリンクを載せておきます。

http://www.movementdisorders.org/MDS-Files1/PDFs/MDS-UPDRS_Japanese_Official_Translation_FINAL.pdf
出典:Official MDS Translation Copyright | Last Updated January 29, 2019

ですが、印刷すると相当な量です。

UPDRSの実際

パーキンソン病診療ガイドライン2018によると
UPDRSは、運動症状の1つである振戦の治療についての、効果判定に使われています。
【参考元】日本神経学会 https://www.neurology-jp.org/index.html

振戦については、UPDRS 2-10と3-15〜18でみることができます。

UPDRS 2-10は下記のようになっています。

【引用開始】
2.10 振戦
この1週間のあいだ、ふるえあるいは振戦がありましたか?
0:正常: まったくありません。ふるえや振戦はありません。
1:ごく軽度: ふるえあるいは振戦がありますが、どんな活動にも
支障はありません。
2:軽度: ふるえあるいは振戦のために、いくつかの活動に支
障があります。
3:中等度: ふるえあるいは振戦のために、多くの活動に支障が
あります。
4:重度: ふるえあるいは振戦のために、ほとんど、あるいは
すべての活動に支障があります。
【引用終了】
【出典元】Official MDS Translation Copyright | Last Updated January 29, 2019

そして、UPDUR 3-15と3-16は下記のようになっています。
この項目は左右の手を評価します。振幅を測定するときは、メジャーなどを用います。

【引用開始】
3.15 手の姿勢時振戦
評価者への指示:姿勢を保つと再出現する静止時振戦(re-emergent rest tremor)を含むす
べての振戦を評価に含めます。左右別々に評価して下さい。観察される最も大きな振幅で評
価します。患者に手のひらを下にして、腕を身体の前に伸ばし、手首は真っすぐにし、指は互
いに触れない程度に軽くひろげるように指示します。10秒間、この姿勢を観察します。
0: 正常: 振戦なし。
1: ごく軽度: 振戦があり、振幅は1cm未満。
2: 軽度: 振戦があり、振幅は1cm以上3cm未満。
3: 中等度: 振戦があり、振幅は3cm以上10cm未満。
4: 重度: 振戦があり、振幅は10cm以上。

3.16 手の運動時振戦
評価者への指示:これは指鼻試験の手技でテストします。腕を身体の前に伸ばした姿勢から開始し、少なくとも3回指鼻試験の手技を試行しますが、毎回評価者の指に可能なかぎり届くようにしてください。指鼻試験はできるだけゆっくり行わせます。速すぎると振戦を見逃すことがあります。他方の手でも同じことを繰り返して行わせ、それぞれの手を別々に評価して下さ
い。振戦は、運動時を通して出現する、あるいはいずれかの目標物(指または鼻)に達するときに出現することがあります。観察される最も大きな振幅を最終評価として下さい。
0: 正常: 振戦なし。
1: ごく軽度: 振戦があり、振幅は1cm未満。
2: 軽度: 振戦があり、振幅は1cm以上3cm未満。
3: 中等度: 振戦があり、振幅は3cm以上10cm未満。
4: 重度: 振戦があり、振幅は10cm以上。
【引用終了】
【出典元】Official MDS Translation Copyright | Last Updated January 29, 2019

そして、3-17では四肢と口唇と下顎も検査していて
3-18では全身の静止振戦を検査します。

【引用開始】
3.17 静止時振戦の振幅
評価者への指示:この項目と次の項目は、意図的にパート III の最後に配置しました。それは、いつ出るかわからない振戦に関する情報をすべて集めるためです。例えば、静かに座っているとき、歩行時、身体のある部分が動いていて他の部分が静止しているときなどです。診察中に観察された最大の振幅を最終スコアとして評価して下さい。振幅だけを評価し、振戦の持続や中断は評価しません。この評価のため、患者は手を椅子の肘掛に置いて(膝ではなく)、静かに座り、足を楽に床につけ、10秒間、静かに座っています。静止時振戦は四肢別々に評価し、口唇/下顎も評価します。検査中観察された最も大きな振幅を最終評価として下さい。
四肢の評価
0: 正常: 振戦なし。
1: ごく軽度: 最大振幅≦1cm。
2: 軽度: 1cm<最大振幅<3cm。
3: 中等度: 3cm≦ 最大振幅≦10cm。
4: 重度: 最大振幅>10cm。
口唇/下顎の評価
0: 正常: 振戦なし。
1: ごく軽度: 最大振幅≦1cm。
2: 軽度: 1cm<最大振幅≦2cm。
3: 中等度: 2cm<最大振幅≦3cm。
4: 重度: 最大振幅>3cm。

3.18 静止時振戦の持続性
評価者への注意:この項目では振戦の持続性に注目して、全ての身体の部位の静止時振戦をまとめて評価します。それは、診察中は身体の異なる部位がいろいろな静止状態になっているからです。診察の最後に、診察中を通しての振戦の持続状況をまとめて評価して下さい。
0:正常: 振戦なし。
1:ごく軽度: 静止時振戦は全診察時間の25%以下でみられる。。
2:軽度: 静止時振戦は全診察時間の26~50%でみられる。
3:中等度: 静止時振戦は全診察時間の51~75%でみられる。
4:重度: 静止時振戦は全診察時間の75%を超えてみられる。
【引用終了】
【出典元】Official MDS Translation Copyright | Last Updated January 29, 2019


これらの項目が、投薬治療によって改善しているかの効果判定に使われています。

参考までに、振戦についての項目についても、読み解いています。
是非是非、みてください。


UPDRSとリハビリテーション

リハビリテーションは、運動機能へのアプローチが多くなっているため、パート3を使うことで、現在の運動能力がどのようになっているかを評価しています。

パート3は、言語や顔の表情、固縮、タッピング、下肢の敏捷性、立ち上がり、歩行、すくみ、姿勢の安定性、振戦、ジスキネジアの評価となっています。

さらに、パート4のジスキネジアやオンオフについての項目は、日中の過ごし方を指導する際には確認しておきたい項目です。

このような評価スケールを用いることは、研究活動につなげることももちろんできます。が、それだけではなく、パーキンソン病となった方々の症状を勝手な経験値判断して、見落とすことを防いでもくれます。

それでは。
次回は、UPDRS Part Ⅰから順にみていきます。


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