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部署の分断

最近世界情勢などを考えたり過去の歴史に触れたりすることがあるから、“分断”という言葉をよく聞くのだが、ついに、我が会社、いや、我が部署にも分断の兆候が見え始めた…と嘆いてみるw

ものすごく俯瞰してみると、あまりにもみんな余裕なさすぎて自己保身のことしか考えていなくて(私も含む)、周りの人がどうとかしったこっちゃないって感じになっているのだ。誤った個人主義。

そうなるまで放置していた管理職よ、いったいあなたたちは何をしていたんだ…と思うけど、管理職は管理職で数字に追われて忙しかったんでしょう…と慰めの言葉もかけてやりたいところだが、ちょっと事態は深刻だと思っている。

ここでは“新人研修”を取り上げよう。

うちの会社では入社1年目の社員はまず全員自社商品を開発する部署(私はこの部署にいる)に1年間所属。知識ゼロでも、1年かけて自社商品のことをしっかり学べるという謳い文句。開発員はいくつかのジャンルに分かれているので、数か月はローテーションで新人全員一斉に各ジャンルの講義・実習(合同研修、としよう)を受ける。
その後、OJTとなり、先輩一人に新人一人がつくスタイルで3月まで過ごす。そして基本的には新人は2年目にほとんど営業に出てしまうのだ。開発部署に残る新人は毎年ひとりかふたり。…営業員養成所感は否めない。ちなみに私は営業に出ず残った組だ。

さて、ここ数年、営業からこんなクレームが来ているらしい。
「ちょっと、今年の2年目全然うちの商品のことわかってないんだけど!?一体何教えてんの?ちゃんと教えてんの?」

同じように、1年間の新人研修を終えた新人(春から2年目)からもOJTや研修について「OJT担当してくれた先輩がやってる仕事のジャンルのことしかわからないので、もっと他のジャンルを勉強したかった」という声が毎年上がるようになった。ここ数年の新入社員たちは、自分たちが受けてきた新人研修への意見(不満が多い)を課長クラスに進言してきている。

最近は若手の離職が…という世間的なあれもあるためか、うちの人事も、新人と2,3年目の若手には何かとフォローが増えた気がする。面談の数も自分が入社した時と比べると格段に増えた(というか自分の頃は無かった)し、彼らの意見が人事に届く機会は多い。あと内定者にも手厚いフォローが為されている笑

私は入社3,4年目(すなわち4,5年前)からOJTを担当したり、合同研修の準備をしたりするようになった。私が入社1年目の時に合同研修やOJTを担当してくれた先輩方は今も同じようにOJTや合同研修を担当されている。新人へのこういう指導は、うちの会社においては誰からも評価されないし、なんのインセンティブも無いし、なんなら社内からのフォローなど一切無い中でやっている(やらされている、というのは言いすぎだが、何年もそういう状態が続けば誰でも「やらされている」という表現を使わざるをえない)仕事であるが、皆責任感が強いのでそれぞれのやり方できちんとこなしている。

何のフォローも無い中、手探りで、しかも自分の仕事の傍ら新人の仕事を見るというのはとても大変な仕事だった。自分はOJTを担当して初めて気づいた。実際に現場で二人分の仕事をしているOJT担当者へのフォローがこんなにもなくていいのだろうか、と。
文句を言いながらも真面目な気質が多いうちの社員は表向きちゃんと仕事をしてくれるから表面上は問題は起きないのだが、その背後で大分鬱憤がたまっているのを私は感じていた。

私は、鬱憤を溜める先輩たちと、研修への不満・変革を求める若手のちょうど中間の世代である。しかも異動や退職により、部署に置いて私の前後は空白である。人口の谷間。

これまでの研修のやり方の継続では良くないなと思っていたのでその点は若手の人たちの意見と合致する。そういう若手の意見を直で聞くこともあり、自分は彼らの意見に賛同したし、変えたいと思っている側の人間だ。

一方で、実際に指導する立場を4,5年やってきたので先輩たちのやり場のない憤りもよくわかる。自分はその先輩方の力でここまで成長できたと思っている。しかしここ数年、若手社員や営業からの新人研修へのクレームの矛先が私たちに来ている状況で、上司から「新人研修のやり方変えます」って動きが出たら、「なんで何にも知らない若手の意見を採用して新人研修の改革しなきゃいけないの?うちら今まで何にもフォローない中であんなにまじめに頑張ってきたのに、、、意味わかんない。頑張り損じゃん。」ってなるじゃん。そこをわかってほしい。人間合理的には動けない。

もう分断である。溝が深すぎる。深すぎて私には荷が重すぎるというか息が苦しい。

そして完全に挟まれてしまった私。どちらにもいい顔できてしまうし、下手すればどちらからも裏切り者扱いされてしまう。

下支えしている現場の中堅社員へのフォローが無く、そういう環境下にいる中堅社員が今、自分さえよければいいという思考になってしまっていること、いや、中堅だけじゃなくてそれに気づかぬふりをしているのか気づくことすらできない管理職の鈍感さに身の危険を感じるのだ。

「利己主義は良くない!自分を犠牲にして会社に尽くせ」とかそういう鬼みたいなことを言いたいわけじゃない。むしろきちんと芯のある個を確立して利己的であろうと思ってるくらいだもの。

ただあまりにも芯のない利己主義(すごく抽象的な表現で申し訳ない)が蔓延しすぎやしませんか、と感じている。

この社内の分断はいずれ統治できるものなのだろうか?
最近読みたい本リストに入れているジェイン・ジェイコブズ著「市場の倫理 統治の倫理」にこれ系のヒントはあったりするのだろうか?

意識重い系の世界にようこそ。エゴイズムは型におさめるもの。