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失敗から逃げ続けた先に見えたもの(30代男性)

皆さん、こんにちは。
今回は海外での人種差別や海外赴任の挑戦と挫折を経験した方のストーリーをご紹介します。
壮絶な人生を経て何を感じたのか、是非ご覧ください。


1. 理想を追い続けた学生時代

1) 小学校生活は人種差別に合うところから始まった

小学校に入って1年後、父親の仕事の関係で僕は米国の小学校に転校することになった。期待半分、不安半分。いつだって新たな環境に飛び込むのは勇気のいることだが当時の自分は期待の気持ちの方が大きかった事を覚えている。ただその気持ちも束の間、米国での生活が始まった途端、自分に降りかかってきたのは露骨な人種差別だった。

いじめに似ている、いやいじめ以上なのかもしれない。日本人だからという理由で会話も交わしてもらえず、ある日学校に行ったら自分の用具が丸っきりなくなっていた。

2) アメリカで培われた「個」を主張する価値観

人種差別に遭う過程でいつの日からか自分を日本人という括りではなく、一個人として見てほしいという気持ちが芽生えるようになった。多様な人種が無数にも入り乱れている国アメリカ。小学生ながらにも感じていたのは「個」がなければ誰からも相手にされず、周囲から追いていかれる恐怖感だった。学校だろうがどこだろうが、子供も大人もとにかく「個」を主張していた。 

自分も「個」を主張しなくては・・・そう思い始めるまでそんなに時間はかからなかった。
相手にされずただただ悲しい日々を過ごしていたから。

3) 学生生活を通して作り上げられた理想像

「俺はこういう人間だ」「俺はこういう考えを持っている」。

アメリカに6年間いたことで、日本に帰ってくる頃には日本で小学生時代を過ごした同級生とは異なり、常に「個」を主張する人間になっていた。周囲を見渡しても「個」を主張する人間は見当たらなかった。「個」を主張することを一番の理想像に掲げ、いつしか「自分は米国帰りだから、みんなと同じではいけない。常に異なる考えを持っていないといけない。そんな人間で自分はあるべきだ。」という理想像を勝手に築き上げていた。 

誰もそんなこと求めていないのに勝手に自分が自分自身に対して理想像を押し付けていた。周囲と意見がぶつかる事があっても、自分の意見を貫き通そうとした。本当はしたくないのに。何故かそうしないといけないと思い込んでいた。

2. 失敗から逃げ続けて暗転した人生

1) 怒られるのを恐れて「いい子」でいた自分

理想像を自分の中で掲げるのは社会人になっても変わらなかった。社会人は言われた事を言われた通りにやる。そしてやり切れるまで残業してでもやり通す。それがあるべき姿だと新入社員の頃から思っていた。 

ただしこの想いは自分を萎縮させることに繋がる。何でも正しく実行できないといけないと思うがあまり、失敗して怒られるのをいつの間にか恐れるようになった。怒られないように常に「いい子」を振る舞い、学生時代は「個」を主張していた自分が、いつの間にか組織の中においては「個」は消え去っていた。

2) 他人と自己を比較し自分の行動を正当化

本当はやりたい事や言いたいことがあるのに怒られるのが怖い自分。自分が掲げる理想像から逸脱してはいけないと考え、仕事が苦しくても「苦しい」と言えない自分。常に自分と向き合うことから逃げ、他人と比較をすることによって「自分はまだマシ」「自分の方が〇〇より仕事ができている」と自分の考えや行動を必死に正当化していた。その一方で自分はこのままでいいのか、自分は何がしたいのか、将来に対する期待と不安だけが積み重なっていった。

3) 挑戦しない者にとって海外赴任は試練の連続

入社して5年が経った頃、海外赴任のチャンスが訪れた。念願であった海外赴任。しかしいざ言い渡されると不安しか芽生えなかった。ただ、理想を追い求める自分が邪魔をし、その不安や悩みは周囲に打ち明ける事ができないまま米国に赴任をした。

 赴任をして業務の守備範囲は急拡大し、見も知らぬ人たちと急に仕事をすることになった。環境もガラッと変わり、ただでさえ仕事をするのに精一杯なのにそこにコロナが猛威を振るってきて更に環境は悪化した。

いつしか仕事に集中することはできなくなり、パソコンの前に座ることもできなくなり急遽設定された産業医面談で強制休職を言い渡され診断の翌日日本行きの飛行機に強引に乗せられた。当たり前だが自分の追い求めていた理想像からはかけ離れ、冷静でいられる心も体力もなく、パニック障害を発症し、気づいたら階段を20段以上飛び降りていた。

2. 小さな挑戦を続けることで見えてきた新たな光

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