草原の中で土を掘り返している男性がいる。塩顔でカッコいい。私は声をかけた。


あの迷子ですけど

ふん

しかし彼が掘り返していたのは私の本だ。幼い私が好きだった絵本がある。

まださわるな

塩対応で涙目になる。

気にしないで。彼は塩人 しおんちゅだから

いつのまにか、私の横に甘いマスクの優男がお菓子を抱えて立つ。過去食べたものばかり。

ぼくは甘人 あまんちゅ♡どうぞ

　お言葉に甘えてチョコを食べたら、辛い物が欲しくなった。刀傷のある渋いマッチョがスナック菓子を抱えて登場した。

俺は辛人 からんちゅ

　夏みかんを抱えた酸人 すっちゅ、ゴーヤを持つ苦人 くっちゅからも、もらう

満腹になった私は改めて階段をさがす。しかし誰も教えてくれず、食べろしか言わぬ。すると塩人 しおんちゅが私の好きだった絵本を渡し、今だ行けと怒鳴った。目の前に階段があった。私は亡父たちが待つ天国への階段を上った。もう思い残すことはない。