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#公開反応 - 公開前記事の編集後記

去年に僕のクラスを受講してもらってから、いろいろと活動を一緒にしている佐藤純平さんのnoteに公開反応してみようと思います。

純平さんとコウタが属する第二編集部

まず基本情報。

佐藤純平さんと僕は、greenz.jp第二編集部=greenz challengers community(通称: GCC)というチームに属していて、その枠組みは16年・7000本の記事発信で老舗となり、マンネリ感が否めなくなったgreenz.jpを破壊し再創造するための挑戦と実験の拠点として、僕が2020年の最初の緊急事態宣言時に始めたものです。

GCCは、言い出しっぺ・媒体の副編集長として責任は僕が負うけれど、リーダーにはならないよということ。そして所属メンバーは「インターン」ではないよ、ということを大事にしていて。

僕は副編集長なのだから、原稿を書いたら即公開という権限を持つことはできるけど、あえてGCCチームに投げてダメ出しをしてもらったりしてます。(フィードバック・ループはすべての技術職で必須のこと

なので失敗覚悟で自由に実験して、たまに成功すると、その技法を深堀りしたり、ひとつのスタイルとして確立するべくマネジメントもしていくんですが、去年から僕が特に実験しているのが、リモート時代の共創です。

僕が企画するミーティングや授業では、Zoom経由での作文、企画づくり、原稿の校正、コピーライティングなど、現場で会えなくてもデジタルツールの恩恵を生かした共創的なワークショップを数多く取り入れています。

なぜそういうことを始めたかというと、編集者という孤独な生業を10年続けてきた僕なりの、”全世界孤独化”に対する提案がしたかったからですね。

あと、METAFIVEのようなメンバーが会わずして行われる共作が、Logic ProやDigital Performerといったデジタルツールで実現しているのを目撃したことも大きいかもしれません。

編集者・ライターにはWordpressもJamboardもGoogle Documentsもあるんだもん、うちらだってできるでしょ、という。

リモート時代の共創

一昨日に取り組んだのは、彼のnoteに書いてあるとおりです。

greenz.jpというメディアの第二編集部に所属をしている。今日はその週次のミーティングだった。内容は、映画『Don’t Look Up』を見て、思ったこと、感じたことを議論しながら、みんなで1つの記事を作り上げるというものだった。(出典元:https://note.com/moja0801/n/n51ddbf1103db

当日参加したのは8人ぐらいでしたかね。メンバーには事前に映画『Don’t Look Up』で記事を書くという共創の実験をすることを伝えたんですが、僕は、その映画を”あえて”観てこないという立ち位置で望むことも、このコラボレーションにおけるひとつの貢献だと思ってました。

が、みんな真面目だから、ちゃんと観てきてくれましたけどね(笑)

2時間ぐらいで終わるワークショップのプランをつくり、その中でアイデアを膨大につくり、可能性を感じるものを選び、磨いていく。そうして方向性を決めたあとは、文章の断片をひたすら書き出して終わり、というところ。

ワークショップはこんなプロセス

CHECK IN / SHORT(1人30秒以内、ひとことずつ)
個人棚卸し・整理タイム(10分)
2班に分かれて記事の視座・切り口・感想の共有(15分)
各班でどんなアイデアが出たかを可視化する -> 視座・切り口を絞る(15分)
再度同じ2班に分かれて視座・切り口の掘り下げをし、文章断片を集めつくっていく(20分)
全体で文章の断片を選び磨き、足し引きして時間内にできることやる(20-30分)
CHECK OUT

(※)直前に参加した、友だち・小笠原祐司くんのワークショップでのファシリテーションには、とっても刺激を受けました。サンキュー!

事前に配ったメンバーへのガイダンス

場のファシリ役(1-2人)、記事製作の中枢・判断決定役(1人)は決めておいたほうがいいかも


事前準備の貢献はいろいろある:映画を観る、映画の関連情報をいっぱい観る、映画も情報も何もみない


当日の貢献もいろいろある:解像度が高い人に聞き出す役、解像度高く話す・舵取りする役、各ワークで出てくる言葉を文章断片にしてストックする役、画像や映像などの素材収集をする役etc


映像でもブログでも解釈はあふれ出ている作品。GCCだから、グリーンズだから、書き手のあなただから持つ視点は何か?


「何に気づかせてくれる」作品かというよりも、「どんな問いを投げかけているか」、その問いと読者の暮らしはどの部分で地続きなのかを可視化する
グリーンズの読者・ピープル・編集部に気を遣わない、合わせに行かない。

異色作上等!


記事が完成できない、うまくいかなくても責めない。実験! 遊び!

プロセスの記録

ウェブ媒体の編集者が未公開記事の企画メモをnoteに出すというのはタブーかもしれないけれど、クライアントや競合他社がいるわけでもないし、別にいいじゃんって思います(笑) 

なので、当日の共創タイムから少し作業の痕跡が見えるものを載せておきましょう。

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結果をお知らせすると・・・

2時間で完成させ、公開可能な状態までに持っていくことはできませんでした。ただ、いろいろな可能性は見えてきました。

まずは書籍や作品の鑑賞をきっかけとして、ひとりで・みんなで熟考し、その結果見えてきた仮説や問いの交換をすることの意義。直接的に社会について考え言及することのハードルが高い人ならば、とても前進感がある試みになると思います。

ただし。大事なのは、その鑑賞や思索を通じて、自分が社会とどのようにつながっているかを可視化すること。これを怠ると、自分の内発的な社会に対する願いと紐付かないので、結果は表層的にしかならないんじゃないかなという印象でした。

もうひとつ大事なのは、考えておしまい、問いが見えておしまいじゃなく、アウトプットをすることを前提で場づくりをし、そこに参加しようということ。思考段階で、自分自身とのつながりを感じ、社会とのつながりを見出すわけですが、それにプラスして表現し発信することで、社会変革の一部になれるなろうよ! と言った感じでしょうか。

僕はいわゆる、交流する・出会う・SNSのフォロワーを増やすだけが目的のコミュニティやネットワーキングイベントが嫌いな人間です。なので、その場が人のクリエイティビティの発揮現場として機能すること、そして完成しなくともアウトプットは明確にすることは、場づくりの企画をする際の必須要素としています。

ちなみに。ひとつの作品を複数人で鑑賞したり読んだりして、コミュニケーションをする場づくりにはいろいろ手法があって、既存のものにはアクティブ・ブック・ダイアログというワークショップがあります。

1冊の本を分担して読んでまとめる、発表・共有化する、気づきを深める対話をするというプロセスを通して、著者の伝えようとすることを深く理解でき、能動的な気づきや学びが得られます。(出典元:http://www.abd-abd.com) 

ならば、アクティブ・ムービー・ダイアログもあっていいし、アクティブ・組曲・ダイアログも、アクティブ・骨董品・ダイアログ・・・想像力は広がっていくなあと思います。

ちょこっとだけ余談。

ちなみに数日前に斎藤幸平さん・安宅和人さん・石山アンジュさんのレポート記事製作の裏側を紹介しました。

この記事のライターをしてくれた石村研二さんは、「映画観察者」という「beの肩書き」を持ちますが、彼の映画の観察の仕方や、映画を媒介とした場のつくり方もなかなかおもしろいので貼り付けておきます。(手前味噌ですみません。厳密に言うと、この記事の編集に僕は関わらなかったので、媒体責任者ではあれど、フラットな感覚でのレコメンドです。)

あと以前に紹介した、グリーンピースの活動についての記事は、リモート時代の共創を最大限に取り入れた手法。もし編集プロセスに興味があれば。

あと、そんなリモート時代の共創を中継する「ライヴ」というものをやったこともあるのでした。3時間で記事を書けるかというもの。小学生のときに参加した、矢沢永吉さんの『Open Recording Gig』に影響を受けた気がする。

異例が好き

映画『Don't Look Up』の記事@グリーンズ、どんなものになるのでしょう。僕も少し関与しながら完成を見守りたいと思います。たぶん月内には公開になると思うんですが、事前に編集後記を出すというのも異例だな。

異例が好きなんだな・・・(笑)

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