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ショートショート:オバケレインコート

黒猫のつぶちゃんは、工藤さんちの車庫で雨宿りをしていました。
工藤さんの家には、ケンスケという茶色い犬がいます。
あいつ、今日はさすがに家にいるのかな。
つぶちゃんは雨音を聞きながらそんなことを考えていました。

ざあざあ
ぱらぱら

わん

雨音の隙間からケンスケの声がしました。つぶちゃんはじっと耳を澄ませます。

わん
タッタッタッ
ケンスケ、待って
わんわん

やっぱり。
ケンスケと工藤さんの声、そして足音です。

だんだん影が見えてきました。

「うわあ!」
近付いてきた影に、つぶちゃんは悲鳴をあげました。
見たこともない、変な格好の人間と犬みたいな生き物だったのです。

「あ、つぶちゃん」
変な奴らが言いました。おや、声は工藤さんとケンスケです。よく見ると、顔も。

「ケンスケ、なんだその格好」
「これはレインコートだよ。雨を避けるんだ」
「ふうん。変な格好」
「びっくりした?」
「するもんか!」

本当は、ケンスケと工藤さんがオバケに見えた、っていうのは、秘密です。



(410字)




※フィクションです。

たらはかに(田原にか)様の企画『毎週ショートショートnote』に参加いたしました。
今日は、ずっと雨です。




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