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旅先の本


こんにちは。
旅先には本を持っていく派ですか?私は駅や空港の書店で購入して持っていってなおかつさすがにそれはやめておきなさいよとくり返し自分に言い聞かせたにもかかわらず旅の記念だからとなんやかんや現地でも調達してしまいがち派です。



荷づくりの段階で、ハードカバーの厚めのものが旅行鞄のスペースを埋めているのに、鞄に入らなかったら手で持てばいいじゃない、と、マリー・アントワネットばりに謎に強気を発動して勇んで旅先の書店へ向かいます。荷物が増えてしんどいおもいをしてもぜったい後悔しないのが本。本。本!!お互い気をつけましょうね。



3月末、ふくい桜マラソン2024へ参加するため福井県を旅する。今回はちょっと例外で、旅のお供となる本はあらかじめ購入している。雑誌「アンアン」で連載された村上春樹さんのエッセイと大橋歩さんの銅版画をいっしょにたのしめるシリーズ、『村上ラヂオ』『村上ラヂオ2 おおきなかぶ、むずかしいアボカド』『村上ラヂオ3 サラダ好きのライオン』の3作品。つまり3冊。なにも言わないでください。



どうして例外かというと、なにしろはじめてのフルマラソンに挑戦する旅。3月31日(日)大会当日の朝、無事にスタートラインに立って号砲を聞くまで、私の心と体はどことなくわにわにそわそわと落ち着かない。おまけに移動も長い。緊張と疲労と、土地勘のない場所で迷子になることも考慮すると、旅を共にする本はできるだけ負担なくおだやかであってほしい。


こういうとき小説だと、登場人物や物語の流れを順番に覚えたり、乗り換えなどで読めないあいだにつづきが気になり、場合によっては衝撃の展開に気持ちがついていけず、乗車中の窓辺に頭を打ちつけて周囲を震撼させてしまう。いかん。そこへきてエッセイ。暮らしのなかで起こったこと、感じたこと。以上。1話完結ドラマ的で精神衛生上とてもいい。移動しながら目次を確認し、ここまで読んでおこう、とキリのいい準備もできる。



なので、予行演習をふまえてさっそく1冊目の『スーツの話』を読んでしまいました。いい。「肩の力を抜いて、わりに気楽に読んでいただければなによりです。」と、村上氏ご本人もおっしゃるその心持ちのまま、旅のあいだ読み進められそうな脱力感と気楽さ。よかった。ひとつわかったことは、私の服装だとイタリアのレストランで確実にひどい席に案内される。え。



よし、準備万端。とは思ったものの、旅の出発まではまだ2ヶ月弱ある。そのあいだにこの本を読まないでおくことが、実は一番たいへんなことなのかもしれない。わにわにそわそわ。









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