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忘れられない初めての映画鑑賞ソロ活動

まだソロ活なんて言葉が流行るずっと前。

やっと都会では一人で食事をする女性がいるとかいないとか
そんな話を聞くくらいの価値観の頃。

私はなぜか思い立って一人で映画に行くことにした。

地元ではソロ活をしている女性など
ほとんど見かけることもなく
大抵は家族やカップル、友人と訪れるそんな場所だったが
何を思い立ったのか私は一人で映画に行く
ということをしてみることにした。


平日の昼間。
仕事がなかった私は自転車で20分ほどこいで
自宅から一番近い映画館に向かった。

ショッピングモールの中にあったその映画館について
私は自転車置き場に自転車を停めていた。


その時、

あの〜

と聞こえるか聞こえないかの声がしたので
振り向いたら全然知らない男性が立っていた。


オタクの男性とはこういう格好をしています
という見本のような出立ちで
銀縁の眼鏡をかけ
こちらに小さな声で話しかけてきていたのだ。


私はなんだろう?
道にでも迷ったか?と

その薄くて小さな声を一生懸命聞き取ろうとして
はい?なんでしょう?と
意識をその男性に向けた。


そしたらまたボソボソと何か言っていて
全然聞き取れないので

なんですか??どうしたんですか?と
不安になりながら聞き返したら


あの〜
お茶にでもいきませんか?


とまさかのナンパだった。


急に腹が立ってきて


なんなんですか?
どうして私に声をかけるんですか!
行くわけないでしょ!
どいて!!!


と怒鳴り散らして映画館に向かった。
多分ジブリ映画だったと思うが
感情が昂りすぎて全くその時の状況や内容を覚えてない。


そして、なぜか「映画」ときくと
このエピソードを思い出す。


大好きな人と見た映画でもなく
なにかインパクトがあった映画でもなく
映画というキーワードと
この悲しいエピソードがいつもべったりくっついている。


無性に腹が立って仕方がなかったのだが
今になってその時の気持ちが理解できる。



ショッピングモールには
いろんな女性がいるわけで
それなのになぜ私に声をかけた?
私がお茶にでも応じると思ったか?
私なら声かけてもいいと思ったか?
私なら勇気が出たか?
私ならあわよくばと思ったか?


舐められた気がして
みくびられた気がして
非常に気分が悪かった。


当時はそう思って疑わなかったが
今考えると


お眼鏡にかなったのかもしれないし
ショッピングモールで一番好みだったのかもしれないし
私とお茶をしたいと衝動に駆られたのかもしれないし
魅力的に見えたのかもしれない。


なのに私は卑屈に物事を捉えて
舐められた!軽んじられた!としか思えなかったし
いかに自分に自信がなかったか
自己受容ができてなかったか
とにかく自分への決めつけがひどい。


顔が幼くて年齢よりもずっと若く見られていることも
かなりコンプレックスがあったし
同年代の男子からは
そういう理由からか(他の理由かもだけど)
全然モテなかったし

なのに

オタクの聖地とかにあつまる
趣味に生きている人たちや、一部の専門知識が深い人から
なぜか声をかけられることが多かった。


写真撮らせてください。
お茶でもどうでしょうか?


幾度となく声をかけられてうんざりしていた。


なんで?
なんで私は特定のジャンルの人にしかモテないの?
なんでジャニーズ系は私に興味を示さない!!!???



コンプレックスが心の傷に昇格するくらい
悩んでいたところにこの出来事が起きたので
怒りが爆発したのかもしれない。


今考えるとすごい思考の偏りがそんなふうに
思わせていたのかもだけど


オタク男子は恋愛に興味がない
女性には話しかけるのが苦手

という勝手な決めつけを持っていたため
そんな彼らなのに私に声をかけてくるなんて
ちょろそうとか、俺でもいけそうとか
そんなふうに思考を短絡的に繋げていたのかもしれない。
すごい偏見。


バカな若い私。


そういう道を極めた見る目がある
一途な男子に好かれるなんて
今考えると名誉のような気もするが
当時はそんなふうには思えなかったのだから仕方がない。



私はオタクにしかモテない根暗女子(思い込み・決めつけ)
みたいなレッテルを自分にペタペタ貼って
自分の価値をマイナスまで持っていき
自分の存在をどんどん地中深くに
埋めていっていったのかもしれない。


あ〜あ〜そりゃ
こんなだと毎日楽しくないよね。


いや、そんな私はもういない。
どうやら視点が変わったようだ。


夫は見た目は普通のおじさん(いや、普通じゃないかも)だけど
中身はかなりのオタクだ。


昔から最近のアニメ、ガンダム、バイク、車、音楽、スターウォーズ
と、いろいろ詳しい。たいていの質問には答えてくれる。
ガンダムに至っては、
モビルスーツを型番で把握していたりもする。
ファーストから最近のものまで相関図までバッチリだ。


そして結局のところ
あんなにオタクに好かれることを嫌がっていたし
そんな自分を自己卑下していたのに
オタクに好かれて結婚しているから
人生なんて奇妙でしかない。


そういうチグハグな自分の人生を
整えていくことで
自分のなりたい未来を引き寄せていくのかもしれない。


あ〜そうか私は
一途に好きなことに邁進して
道を極める男子に好かれるんだな〜。
なんかステキ女子に思えてきた。


#映画にまつわる思い出

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