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医療機器営業とゼネコン営業の違い。「既にある製品を売る」に対して「ないものを作る」

ゼネコン営業と医療機器営業の違い
Written by 病院建築note@医療機器出身のゼネコン社員

ゼネコンに転職して9カ月が経ち仕事にも慣れてきました。
同じ営業職でも必要なスキルにかなり違いを感じる部分があります。入社する前にも沢山調べましたが、実際に入って仕事をしないと分からないとことも多いです。

初心を忘れず、今後に活かすためにも今回はそれぞれの営業の違いや必要なスキルについて書きたいと思います。

医療機器営業とゼネコン営業の違い。

医療機器という「既にある製品を売る」に対して、ゼネコンは「まだ世にないものを作る」

■商品が手元にない

医療機器:商品を手に取り説明ができる。顧客に試用してもらえる

医療機器はあくまで道具なので、持ったときの感覚や使用感が重要です。手に取ったことや触ったことがある人しか分からない感覚を元に説明ができます。

しっかり準備をすれば、著名な医師からも感謝されるような製品説明をすることが若手でも可能です。

医師から使い方のアドバイスを求められることも頻繁にあります。

商談では色々な目標設定がありますが、私は「商品を使ってもらうこと」をショートゴールに商談を組み立てることが多かったです。

興味がなければ試用までたどり着かないので、顧客の購買意欲も把握しやすいです。

医療機器は道具。手に取って商品説明ができる。

ゼネコン:まだ世にないものを作る。商品は全てオーダーメイドの1点もの

顧客の要望を聞きながら、その顧客に合った建物を作ることができます。ただ商品が最初からあるわけではないので、相手の購入意欲や描いているイメージが掴みにくいです。

また信頼関係ができていないと、要望も話してはくれません。
競合他社に知られたくない新製品の工場建築や、人員削減を伴う設備の改修など顧客も水面化で動いている場合もあります。

「まずは商品を使ってもらう」という簡単な目標設定が難しいですが、時間を掛けてお客様のためだけの建物をつくることができます

建物という数十年に渡る大きな箱を作ることになるので、数百万人~数千万人の方々に価値の提供をすることができます。

まだ世にないものを作る(売る)

この「商品が手元にあるかどうか」は営業の仕方や必要なスキルに与える影響は非常に大きいです。

■営業なのに見積を作らない


医療機器:見積作成や商品の納入、アフターサービスまで営業が全部やる

もちろん社内には専門の部署があり連携しますが、営業の「全部やる意識」が顧客との信頼に繋がります。

見積もりについては現場の状況(機器の保有状況、互換性、予算感)を把握している営業しか作ることができません。


自分の仕事にある程度線を引かずに柔軟に対応することを大切にしていました。

ゼネコン:見積さえ自分では作れない

各プロセスに専門家がいます。自分だけでは到底できない、様々な資格とスキルが融合した商品を作ることができます。

そのため常に各部署のキャパシティを把握して顧客と接するとのが大切です。

顧客の要望や他社競合の状況を営業が「社内展開」することがとくかく重要です。医療機器メーカーでも重要ですが、その比ではありません。

■数字の感覚が違う

食品メーカーの1,000万円は1,000万円。

医療機器の1,000万円は10万円くらいの感覚。
商品が高額で顧客も自分の財布で買っている感覚は少ないので。

ゼネコンの1,000万円は100円くらいの感覚。
定価がなく、自分で数字を弾けないほど金額が莫大なので。

お客様をそういう目で見ているわけではありませんが、比較するとこれくらい感覚の違いがあります。

■面談のスタンス


医療機器:医師が外来から手術室に移動する間に歩きながら商談。商品プレゼンの場をもらえても朝のカンファレンス後20分だけ等。
医師は20分は時給換算したら、数万円しますので貴重な時間です。

目的は明確なので、端的に無駄なく伝えて話を聞くに徹する。

ゼネコン:会議室で飲み物が出てくるような面談は前職ではなかったので、最初は慣れませんでした。

それまでの関わりや歴史を大事にしています。顧客も組織で動き、幹部も変わるのでキーマンが中々特定できず、意思決定時期や条件も曖昧な状態での話になることも多いイメージがあります。

相手の状況を探るために、明確な訪問目的がなくても顧客と定期的に面会したり、商品から一旦離れて会話する場面もあるので、雑談力が必要とされると思います。

相手の話を聞くよりも、話す側になる営業の方が多い印象があります。

■売れるまでの時間が長い

医療機器:内視鏡本体など1,000万円以上の高額製品は院内の予算申請する必要があるので採用まで半年~1年程度掛かります。

消耗品であれば、早くて1か月程度で売上が立ちます。

ゼネコン:建物が建つまで2年、プロジェクトの始動から5年以上掛かることも普通です。

国からの補助金が絡むこともあるので、基準を満たすため確認することも多いです。

また設計と施工を分離発注したり、入札したりと購入プロセスも施主によっては複雑なのでとても時間が掛かります。


ほかにも会議に仕方の違い、上司との関係、日々のルーティンの違いなど違いは多岐に渡りますが、特に違いを感じたポイントについて絞って書かせて頂きました。

これからゼネコンを目指す方にも参考になれば幸いです。

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hospital architecture note
mail:07jp1080@gmail.com
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同じように病院建築に関わっている方、ご質問がある方がいましたら、是非メールで情報交換させて下さい。ご返信させて頂きます。

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