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第8次医療計画(各都道府県が策定する医療体制)


written by 病院建築note@医療機器出身のゼネコン社員

■医療計画とは何か

■都道府県毎に6年間の医療提供体制を制定する


国の定める基本方針に即し、地域の実情に応じて、当該医療提供体制の確保を図るために都道府県が策定するものです。昭和60年(1985年)から導入されました。

都道府県が策定するので、「都道府県医療計画」「地域医療計画」とも呼ばれます。

地域毎に必要な病床数を算定し、実際の病床数が必要以上に上回る地域では、病床の開設や増設を認めないことで総量を抑えます。

同時に、過剰な地域から不足している地域に誘導することで地域偏在を是正していくというアイデアです。これにより1985年から病床数が制限されるようになりました。

医療計画は6年毎に改定され(以前は5年毎)ており、現行の7次医療計画の期間は2018~ 2023年です。次の第8次医療計画(2024年~2029年)についても検討が進んでいます。

医療計画に必要な記載内容は大きく下記の5つ

国からのガイドラインを元に地域ごとの特性に合わせた計画を策定します。

厚生労働省 第1回 第8次医療計画等に関する検討会 資料2より引用


厚生労働省 第1回 第8次医療計画等に関する検討会 資料2より引用

①「医療圏」の設定、「基準病床数」の算定


一般的な入院医療を提供するのに相当される「2次医療圏」と、特殊な医療(専門性の高い救急医療、先進技術を必要とする医療、特殊な医療機器を必要とする医療等)が提供される「3次医療圏」を設定します。

②地域医療構想(平成26年~)


厚生労働省HPより


「地域医療計画」と「地域医療構想」が名称が似ているので混合するのですが、「地域医療計画」の中に「地域医療構想」が存在します。

平成26年の医療介護総合確保推進法の制定により、医療法において都道府県には地域医療構想の策定が定められました。

各都道府県は、2025年度の4つの医療機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)ごとの医療需要と将来の病床数の必要量、在宅医療等の医療需要を推定します。

この実現のために「病床機能報告制度」がスタートしました。

各医療機関が有する病床において担っている医療機能(高度急性期機能・急性期機能・回復期機能・慢性期機能)の現状と今後の方向性を選択し、病棟単位で都道府県に報告します。

③「5疾病6事業および在宅医療に関する記載」

  • 5疾病・・・5つの疾病=がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)

  • 6事業・・・5つの事業=救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療小児医療(小児救急医療を含む。)、新興感染症等(令和6年~)

    疾病又は事業ごとの医療資源・医療連携等に関する現状を把握します。

課題の抽出、数値目標の設定、医療連携体制の構築のための具体的な施策等の策定を行い、その進捗状況等を評価し、見直しを行います(PDCAサイクルの推進)

④医療確保に関する事項(平成30年~)


上記以外看護職員等の医療従事者の確保に関する事項についても定めることとされています。

⑤外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項「外来医療計画」(平成30年~)


外来医療機能に関する情報の可視化、協議の場の設置、医療機器
の共同利用等を定めた「外来医療計画」の策定します。

このように都道府県では会社が事業計画を作るのと同じように、6年ごとに医療体制の計画を策定しています。

今後の医療費の増加に備えて、無駄のない効率的な医療の提供をするためにも都道府県ごとにマネジメントしていく必要があるのです。

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hospital architecture note
mail:07jp1080@gmail.com
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