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JCI認証「病院の国際基準」

Written by 病院建築note

病院の国際的な評価基準にJCI(Joint Commission International)というものがあります。JCIはアメリカの医療分野における第三者評価機関「The Joint Commission」の国際部門として1994年に設立された非営利組織です。「患者安全」と「医療の質向上」を継続的に促進する組織を醸成することを目的としています。

正直あまり聞いたことのない認証ですが、評価は1,270項目におよぶ非常に厳しいもので、JCIの認証は医療機関の国際的信用度をはかる一つの指標となります。

医療の質と安全性が国際基準に満たされていることを示すもので、感染予防の管理や病院経営のガバナンス(統治)などが審査項目になっています。

最近ですと医療ツーリズムとして日本に来る外国人の需要も増えてきているので、質の照明として有効そうですね。

書類審査だけではなく、JCIから病院に審査員が派遣され病院の医療の質と安全に対する活動がJCIの認定基準に合致しているかについて具体的に審査を受けます。

審査員からはこんなことを聞かれるそうです。※ほんの一例です。

・障害のある方への配慮。目の見えない方のための点字や音声ガイドがあるのか?

・手術に使用した医療機器のトレーサビリティ。医療事故が発生した場合、その患者に使用した機器や診療材料が明確になっているか?

・防火扉に「手動で開け閉めできます」の記載があるか(非常時に記載がないと患者が分からず非難が遅れる)

・駐車場で事故が起こった場合は誰が対応するのですか?(各場所の責任者が明確になっているか)

・子供の誘拐に対する対策はされているのか?防犯カメラは設置されているのか?(基準がアメリカなので、こういう項目もある)

・薬品が目に入ったときに備えて、目を洗う設備を備えているのか?等々

本当に細かい事項のチェックは入るそうです。

JCI認定のニーズは今後より高まってくると思います。
JCI認定のために設備の改修や追加が必要になってくるので、7,000万円程度の費用が発生した病院もあるそうです。

病院を建築した後では簡単に変更できない仕様もあるので、JCI認定のノウハウを当初から設計に落とし込むことができれば付加価値になるのではないでしょうか。

またJCI認定に当社が深く関わっている実績を示すことができれば、他社と差別化できると思います。病院が完成した後も、定期的に施設の課題を取り込みながら、「JCI認定のために考えておくポイント」をアドバイスできる立場は今後需要がありそうです。

しかもコンサルタントではなく、実施に病院を建築するゼネコンができれば、思想をそのまま設計に還元できるのでスピーディに顧客の要望を満たすことが可能です。

ある病院の事務長さんは「JCI認定は作成する資料が増えるので大変」と仰っていました。

JCIは高い目標ですが、組織全体で患者様にとって安心な医療体制の提供に繋がるのと同時に働く職員含めて病院全体にも良い影響を与えるのではないでしょうか。

この事務長さんの言葉は、高い目標を一致団結して乗り越えたからこそ感じる非常に価値のあるものだと感じました。

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hospital architecture note
mail:07jp1080@gmail.com
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