見出し画像

エッセイ『人の小説にとやかく言うと殺される』

私のYouTube「百年経っても読まれる小説の書き方」、誰も言わない感想と文章の分析シリーズ。今まで取り上げたのは、夏目漱石、芥川龍之介、梶井基次郎、高村光太郎、太宰治、川端康成、江戸川乱歩、坂口安吾、三島由紀夫、池田満寿夫、村上龍

全ての書評が観られる再生リスト。


今年五月の文学フリマに誘われた。小説家の常世田美穂さんが主催する、全部で六人が書くアンソロジー。それで、御互いにフィードバックと誤植チェックをしましょう、と言われたけど、どうしても言い過ぎてしまう。

難しいね。


そもそもさ、小説を書く、ってなんでこんなにエモーショナルなことなの?

芥川賞とった人なんて、神様みたいに思われるじゃない。あれってなに?

自分の書いた原作と、テレビドラマが違う、とかで大騒ぎになったけど、私だったら、出版社とテレビ局から、老後に困らないだけの御金をたっぷりしぼりとって、人がどう自分の作品を料理しようがほっておいて、自分は次の作品を書く。亡くなった人がいるから言いにくいけど、作品はコメディだったわけだし、人生を賭けて守るべきだと、そう思ったのはなぜだろう?

私はファッションの勉強をしたから、なおさらなんだよね。ファッションの世界はコピーされるのが当たり前だから、他の人が自分のコピーをしているあいだに、自分はもっと先に行く。新しい作品を創る。過去の作品はもう世界中の人の物になってるから、もう忘れる。先に行く。


私は普段、人の書いた小説は読まないし。読むのは自分のYouTubeで書評をやる時だけ。現在は、伊坂幸太郎の『マリアビートル』の準備中。ここまで新しい人は珍しいからお楽しみに。

最新作はこれ。


サークルを長年やっているけど、ここ半年は、他の人の作品は読んでいない。人の小説について言わなくてもいいことを言い過ぎるらしいから、休憩中。私的には嘘は書いていないけど、批評が受け入れられないのであれば、時間を掛けてやる意味がない。

だけど、サークルは好きだし、作品は極力提出しようと思っている。三月末締め切りのテーマが『蜜蠟』。こんな馬鹿馬鹿しくも素晴らしいテーマを出してくるサークルは他にないと思う。


しかし、この「愛を間違わないように」というアンソロジー。全員の小説を読んだけど、やっぱり難しいね。言わなくていいことを言ってしまう。フィードバックと誤植チェックと言うけれど、それがどこまでのことなのか、判断が難しい。


それでね、

その中のひとつに、とんでもなく素晴らしい小説があって、小説になくてはならない要素が全て完璧に書いてある。書いてはいけないことはなにも書いてない。情景は非常に美しく、まさに目に見えるよう。

しかし、

文法が滅茶苦茶で、トートロジーが信じられないくらいある。トートロジーについて、全く勉強をしたことがないのだと思う。ひとつの小説の中にこれだけの数のトートロジーを見付けるチャンスは、後にも先にもこれだけだと思う。

だからね、

私は、小説の良し悪しと、文法には、なんの因果関係もない、と、人生で初めて知った。

そうだけれども、

それを本人に伝えて、なにかいいことがあるのか、と、問われれば、それは全く見当が付かない。トートロジー満載の小説を、本人は自身の作風として、書き続けたいのかも知れない。

だとしたら、

私のやったことは全くの余計な御世話。


だからね、人の小説についてなにかを書くって、本当に難しい。小説はただのアートのひとつの分野なんだけど、非常にエモーションの奥深くから出て来るものだから、あんまり下手にいじってはいけない。それに、なんでだか知らないけど、小説を書く人って、なんて言えばいいの、自分の作品はいいものだと信じ込んでいるケースがほとんど。

私はたまたま、とてもいい小説の先生が何人かいらして、いろいろいじられたから、よかった。言われた時は、そんなことは絶対ない、私はそんな風に言われるようなことは書いてない、とか、心が傷付くけど、私の経験だと、言われてから、二年、三年、経って、それでもずっと書き続けると、先生に言われたことが、ある時を境にだんだん分かってくる。私の経験だとね。

私が何年も悩んでいた、プロットの問題も、やっぱり他の人に作品を読んでもらって、それで、ああ、そうか、やっぱり他の人が読むと、私の小説は単なるプロットのない小説にしか見えないんだな、と知った。

まだプロットのある小説は書いてないけど、次のはそうしようと思っている、っていうか、次の次。今、書いている「蜜蠟」のやつは、私が大好きなお巡りさん小説で、それはプロットがない。楽しみで書くやつだから、それはいい。

これが「蜜蠟」のサークル。書きたい人は三月末までに投稿しよう。今回は卑猥な作品が集まるという予想。私が書いているのは、卑猥以外のなにものでもない。作品の感想をもらいたい人には最適。

私の小説が買える。アンソロジー。



ちょっとだけ御紹介。


この記事が参加している募集

文学フリマ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?