見出し画像

鑑賞ログ「窓辺にて」

230102

今泉力哉監督作品。と言ってもあんまり作品見てないんだよな。不勉強。でも「愛がなんだ」は良かった。「猫は逃げた」も最後以外は好きだった。なんか良さげ、という印象で観ること決定。

フリーライターの主人公・シゲミ(稲垣吾郎)は、穏やかに2人の時間を過ごす妻・サエ(中村ゆり)の愛が自分にないことに気づいている。編集者の妻は担当する新進気鋭の若手作家と関係を持っているのだ。
それを知りながら、淡々と日々を過ごすシゲミは、友人のアリサカ夫妻(若葉竜也・志田未来)には自らの心のうちを明かす。
また、とある文学賞の取材で新人作家のルア(玉城ティナ)と親しくなり、20歳以上も歳の離れた変わった友人として付き合うようになる。高校生の彼女にはちょっとヤンチャな彼氏がいる。
自らの妻との関係、友人夫婦、高校生の恋人同士と3つの恋と愛のそれぞれがそれぞれの結末、あるいは通過点へと進んでいくーといった話。

濃厚な会話劇。
会話を重ねるという特徴だと「ドライブ・マイ・カー」があるけれど、個人的にはこっちの方が好きだな。
物語の世界の広さを図るとしたら、そんなに間口は広くないんだけれど、そこの奥には豊かで深い世界が広がっているという感覚を持った。

感情の起伏が少ないシゲミ。それゆえに誰にも言えない悩みを抱えてしまう。それがこの物語の発端。それは本人にとってかなり大きな悩みだけれど、この人ならそうなのかもしれない、と思えるぐらいには吾郎ちゃんはシゲミだった。
シゲミとサエがお互いの感情をぶつけるシーンはちょっと胸に迫るものがあった。
一方で若葉竜也演じる友人の軽さというか、ルーズな感じというか、甘えん坊な感じが作品における大きな余白。
あまり立体的というか、具体的というか、説明はされないキャラクター。でもこのキャラクターがいるからリアリティがある気もする。

玉城ティナがいいな。大人っぽいところと子どもっぽいところが共存するキャラクターをぴちぴちした感じで演じている
マスカットを食べたシーンってあれアドリブかな?落ちたところも含めてあまりにも偶発的で気になる。物語のオチにも関係してくる。淡い感じのオチ。重なっていく時間の中の一片、という感じだ。

あと、稲垣吾郎の指が意外と節ばっていたのがなんだかとても印象的だった。

埋められていない空白がたくさんあるけれど、それがいい作品だと思う。監督の次作は「ちひろさん」。原作漫画もちょっと読んでるし、有村架純主演だし楽しみ。

ちなみに、この映画を観る前に立体駐車場の柱で車を擦った。
なかなか動揺の2023年映画始めだった。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?