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役員退職金を生命保険で準備する意味とは[Webマガジン001]

法人で契約される解約返戻金を伴う生命保険は時に会社に役員退職金の原資を準備する為の手段として使われています。

今回は、法人契約の生命保険を手段として上手に活用しながら
役員退職金を準備する意味について考えていきます。

法人役員には公的な退職金制度の選択肢が少ない

従業員と経営者・役員との違い

従業員(労働者)であれば
現状では、法人から掛金を経費として捻出する場合
代表的な退職金制度として下記の様な共済があります。

中小企業退職金共済

独立行政法人勤労者退職金共済機構
中小企業退職金共済事業本部(中退共)

制度の概要
中退共制度は、昭和34年に中小企業退職金共済法に基づき設けられた中小企業のための国の退職金制度です。
中退共制度をご利用になれば、安全・確実・有利で、しかも管理が簡単な退職金制度が手軽に作れます。

制度の目的
中小企業者の相互共済と国の援助で退職金制度を確立し、これによって中小企業の従業員の福祉の増進と、中小企業の振興に寄与することを目的としています。

制度のしくみ
事業主が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付します。従業員が退職したときは、その従業員に中退共から退職金が直接支払われます。
https://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/seido/seido01.html

この中退共制度は、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営しています。

特定退職金共済制度

各地域の商工会議所

特定退職金共済は
従業員の勤労意欲を高め
人材を確保して事業の安定成長
をはかることを目的とした制度で
本所が国の承認を得て実施しています。
将来必要な従業員の退職金を
毎月計画的に準備でき
次のようなすぐれた特色を備えております。
http://www.osaka.cci.or.jp/Jigyou/Kyousai_Hoken/taishokukin.html


※上記の内容の解説は、別記事を作ろうと思います。

現状では、法人から掛金を経費として捻出する場合
他に、経営者、役員の退職金制度と銘打つものとして、企業型拠出年金制度を利用したものがありますが、企業で導入する制度の選択肢としては経営者向けというものは従業員向け程のバリエーションでは無い事が分かります。
(※小規模企業共済やiDeCoは個人の所得から掛金を捻出します。)

掛金は税法上、全額を小規模企業共済等掛金控除として、課税対象となる所得から控除できます。また、1年以内の前納掛金も同様に控除できます。なお、掛金は、共済契約者ご自身の収入の中から払い込んでいただきますので、事業上の損金または必要経費には算入できません。
https://www.smrj.go.jp/kyosai/skyosai/about/installment/index.html

この様に、法人役員は退職金制度の選択肢が少ない為、会社の内部留保や個人資産として自助努力で勇退後の資金を作っていく事が多いともいえます。

お金を貯める上で有効な基本ルールは3つだけ

上記の様な退職金制度の本質であって役目は
退職金としてのお金を経営資金と分離させる事にあると思います。

そして、お金を貯める上で有効な事は3つだけです。
・強制的に天引きされる仕組みを作る
・運転資金(生活資金)と分離させる事
・時を味方に山を作る発想で時間を掛ける事

上記の3つは、従業員のみではなく

法人での役員退職金の原資を作る際にもいえる事で

入口(役員退職金の積み立て開始)の時点から
経営資金から分離させて時間をかけて積み立てる事で

出口(役員退職金の受け取り時)の時点でも
経営資金から分離させたまま、経営に影響の無いお金として

役員退職金を法人から受け取る事に
一貫した1本のお金の筋道を作り出す事が出来ます。

退職金制度の代替手段として生命保険を使う

「生命保険」は要らない、けど「退職金」は欲しい

社長との面談時によくお聞きするご意見です。

皆様は生命保険というと
「亡くなったら」幾ら、「病気」になったら幾ら、でしかない。そうお考えではありませんか?

勿論、それらは生命保険の保障の本質です。
ですが、生命保険は様々な手段に置き換える事が出来る「お金」の仕組みそのものだと思っています。

前述に繋がりますが、公的な退職金の本質は
退職金としてのお金を経営資金と分離させる事にあると思います。

反面、それさえ満たしていれば
退職金制度と名前が付く何かであっても、解約返戻金が伴う法人の生命保険であっても、定期預金であっても、お金に色を付ける為だけの銀行口座を作って資金管理をしても社長・役員の退職金のご準備には有効な手段となってきます。

では、なぜ生命保険で役員退職金を貯めるのか?

「経営者」兼「労働者」としてのリスクを埋める

経営者の中でも椅子に座っているだけで、組織が動く
という方は、そう多くはないと思います。

そういった方は、ご自身の働き方そのものが労働集約型である事が多いと思います。労働集約型とは、ご自身が動く事で初めて収益が発生するビジネスの事です。

例えば、家族経営の社長であったり、中小企業の社長においては
ご自身そのものが動いた結果、ビジネスが動く
ビジネスが動いた結果、売上、利益の源泉が生まれ
売上、利益の源泉が生まれた結果、報酬を獲得できる。

といった構図になられている方が多くいらっしゃると思います。
その社長にとっては、身体こそが資本であり、お金の源泉です。

そこに生命保険の保障の本質である
「死亡」の際の経済的損失、「病気」の際の経済的損失に備えながら、お金を貯める事が出来たらお役に立てるのではないでしょうか。

経営者ならではのリスク「経営者保証」に備える

中小企業の多くの経営者は銀行からの融資、借り入れを「経営者保証」によって実現しています。

経営者保証とは
中小企業が金融機関から融資を受ける際、経営者個人が会社の連帯保証人となること(保証債務を負うこと)。企業が倒産して融資の返済ができなくなった場合は、経営者個人が企業に代わって返済することを求められる(保証債務の履行を求められる)。
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/

この保証債務では会社が債務を履行できない場合
個人にも影響を及ぼす可能性があります。

例えば、経営者死亡の際には、連帯保証人の地位も相続されるため
相続人であるご家族が連帯保証人になります。

その場合は、相続人であるご家族の個人資産で債務を返済しなければならないケースが考えられます。

これは、会社員にはない経営者ならではのリスクです。

個人にとっての身近で分かりやすい例でいうと
人生における最大の買い物である居住用の住宅を購入する場合
個人の住宅ローンを組む際に住宅ローン債務者に連帯保証人を立てます。

この場合、債務者の返済が困難になってしまえば連帯保証人が債務の返済をしなくてはなりません。
そこで住宅ローンにおいては、ほとんどの金融機関において団体信用生命保険への加入が求められます

団体信用生命保険とは
「死亡または高度障害状態」、あるいは
「特定のご病気に罹患され就業が困難な状態」等
ローンの支払いが難しい状況に陥った際に
保険会社から金融機関に残りのローンの返済が行われる生命保険

この住宅ローンを経営者保証に置き替えて
生命保険の保障の本質である「死亡」の際の経済的損失、「病気」の際の経済的損失に備えながら、お金を貯める事が出来たらお役に立てるのではないでしょうか。

属人的な経営者だからこそ生命保険で役員退職金を準備する意味がある

投資の世界ではリターンとリスクというのは対の振れ幅です。
事業においても、忘れがちですが、ヒト・モノ・カネを動かしているのは、経営者です。

それらを動かしている「経営者」だからこそ事業によってリターンが最大化できるはずです。単純な話ですが、だからこそ事業が成り立ち金融機関も社長を信用しお金を貸します。

これが貴社にとって、いつ経営者が去っても全く影響の無い状況で手放し経営が出来るのであれば場合によっては、生命保険は不要かもしれません。

ただ、前述に繋がる部分ですが
経営者であり、労働者としての側面にあるリスクを埋める
経営者ならではのリスクである「経営者保証」に備える
といった事を満たしながら

退職金としてのお金を経営資金と分離させる事
が出来るのは、生命保険ならではの特徴だと思っています。

では、そこで準備するべきリスクは何なのか
準備するべきお金は幾らなのか
可視化したい、数値化したいという疑問にこそ
保険屋というヒトが介在する意味が出てくると考えています。


ここまで読んで頂きまして、ありがとうございました。
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