役員退職金を生命保険で準備する意味とは[Webマガジン001]
法人で契約される解約返戻金を伴う生命保険は時に会社に役員退職金の原資を準備する為の手段として使われています。
今回は、法人契約の生命保険を手段として上手に活用しながら
役員退職金を準備する意味について考えていきます。
法人役員には公的な退職金制度の選択肢が少ない
従業員と経営者・役員との違い
従業員(労働者)であれば
現状では、法人から掛金を経費として捻出する場合
代表的な退職金制度として下記の様な共済があります。
中小企業退職金共済
独立行政法人勤労者退職金共済機構
中小企業退職金共済事業本部(中退共)
この中退共制度は、独立行政法人勤労者退職金共済機構・中小企業退職金共済事業本部(中退共)が運営しています。
特定退職金共済制度
各地域の商工会議所
※上記の内容の解説は、別記事を作ろうと思います。
現状では、法人から掛金を経費として捻出する場合
他に、経営者、役員の退職金制度と銘打つものとして、企業型拠出年金制度を利用したものがありますが、企業で導入する制度の選択肢としては経営者向けというものは従業員向け程のバリエーションでは無い事が分かります。
(※小規模企業共済やiDeCoは個人の所得から掛金を捻出します。)
この様に、法人役員は退職金制度の選択肢が少ない為、会社の内部留保や個人資産として自助努力で勇退後の資金を作っていく事が多いともいえます。
お金を貯める上で有効な基本ルールは3つだけ
上記の様な退職金制度の本質であって役目は
退職金としてのお金を経営資金と分離させる事にあると思います。
そして、お金を貯める上で有効な事は3つだけです。
・強制的に天引きされる仕組みを作る
・運転資金(生活資金)と分離させる事
・時を味方に山を作る発想で時間を掛ける事
上記の3つは、従業員のみではなく
法人での役員退職金の原資を作る際にもいえる事で
入口(役員退職金の積み立て開始)の時点から
経営資金から分離させて時間をかけて積み立てる事で
出口(役員退職金の受け取り時)の時点でも
経営資金から分離させたまま、経営に影響の無いお金として
役員退職金を法人から受け取る事に
一貫した1本のお金の筋道を作り出す事が出来ます。
退職金制度の代替手段として生命保険を使う
「生命保険」は要らない、けど「退職金」は欲しい
社長との面談時によくお聞きするご意見です。
皆様は生命保険というと
「亡くなったら」幾ら、「病気」になったら幾ら、でしかない。そうお考えではありませんか?
勿論、それらは生命保険の保障の本質です。
ですが、生命保険は様々な手段に置き換える事が出来る「お金」の仕組みそのものだと思っています。
前述に繋がりますが、公的な退職金の本質は
退職金としてのお金を経営資金と分離させる事にあると思います。
反面、それさえ満たしていれば
退職金制度と名前が付く何かであっても、解約返戻金が伴う法人の生命保険であっても、定期預金であっても、お金に色を付ける為だけの銀行口座を作って資金管理をしても社長・役員の退職金のご準備には有効な手段となってきます。
では、なぜ生命保険で役員退職金を貯めるのか?
「経営者」兼「労働者」としてのリスクを埋める
経営者の中でも椅子に座っているだけで、組織が動く
という方は、そう多くはないと思います。
そういった方は、ご自身の働き方そのものが労働集約型である事が多いと思います。労働集約型とは、ご自身が動く事で初めて収益が発生するビジネスの事です。
例えば、家族経営の社長であったり、中小企業の社長においては
ご自身そのものが動いた結果、ビジネスが動く
ビジネスが動いた結果、売上、利益の源泉が生まれ
売上、利益の源泉が生まれた結果、報酬を獲得できる。
といった構図になられている方が多くいらっしゃると思います。
その社長にとっては、身体こそが資本であり、お金の源泉です。
そこに生命保険の保障の本質である
「死亡」の際の経済的損失、「病気」の際の経済的損失に備えながら、お金を貯める事が出来たらお役に立てるのではないでしょうか。
経営者ならではのリスク「経営者保証」に備える
中小企業の多くの経営者は銀行からの融資、借り入れを「経営者保証」によって実現しています。
この保証債務では会社が債務を履行できない場合
個人にも影響を及ぼす可能性があります。
例えば、経営者死亡の際には、連帯保証人の地位も相続されるため
相続人であるご家族が連帯保証人になります。
その場合は、相続人であるご家族の個人資産で債務を返済しなければならないケースが考えられます。
これは、会社員にはない経営者ならではのリスクです。
個人にとっての身近で分かりやすい例でいうと
人生における最大の買い物である居住用の住宅を購入する場合
個人の住宅ローンを組む際に住宅ローン債務者に連帯保証人を立てます。
この場合、債務者の返済が困難になってしまえば連帯保証人が債務の返済をしなくてはなりません。
そこで住宅ローンにおいては、ほとんどの金融機関において団体信用生命保険への加入が求められます
この住宅ローンを経営者保証に置き替えて
生命保険の保障の本質である「死亡」の際の経済的損失、「病気」の際の経済的損失に備えながら、お金を貯める事が出来たらお役に立てるのではないでしょうか。
属人的な経営者だからこそ生命保険で役員退職金を準備する意味がある
投資の世界ではリターンとリスクというのは対の振れ幅です。
事業においても、忘れがちですが、ヒト・モノ・カネを動かしているのは、経営者です。
それらを動かしている「経営者」だからこそ事業によってリターンが最大化できるはずです。単純な話ですが、だからこそ事業が成り立ち金融機関も社長を信用しお金を貸します。
これが貴社にとって、いつ経営者が去っても全く影響の無い状況で手放し経営が出来るのであれば場合によっては、生命保険は不要かもしれません。
ただ、前述に繋がる部分ですが
経営者であり、労働者としての側面にあるリスクを埋める
経営者ならではのリスクである「経営者保証」に備える
といった事を満たしながら
退職金としてのお金を経営資金と分離させる事
が出来るのは、生命保険ならではの特徴だと思っています。
では、そこで準備するべきリスクは何なのか
準備するべきお金は幾らなのか
可視化したい、数値化したいという疑問にこそ
保険屋というヒトが介在する意味が出てくると考えています。
ここまで読んで頂きまして、ありがとうございました。
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